労働者派遣事業の許可とは?申請要件・手続き・更新を完全解説
労働者派遣事業の許可とは?申請要件・手続き・更新を完全解説
労働者を派遣先に派遣して就労させる「労働者派遣事業」を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です(労働者派遣法第5条第1項)。2015年の改正により、従来の「一般労働者派遣事業(許可制)」と「特定労働者派遣事業(届出制)」の区分が廃止され、すべての労働者派遣事業が許可制に統一されました。
労働者派遣事業とは
派遣元(派遣会社)が雇用する労働者を、派遣先の指揮命令下で就業させる形態です。雇用関係は派遣元と労働者の間にありますが、実際の業務指示は派遣先が行います。
派遣と請負・業務委託の違い
| 区分 | 指揮命令 | 雇用関係 | |---|---|---| | 派遣 | 派遣先 | 派遣元(派遣会社) | | 請負・業務委託 | 受注者(自社) | 受注者(自社) |
請負・業務委託の形態でありながら実質的に注文主が指揮命令する「偽装請負」は違法です。
許可要件
労働者派遣法第7条および省令に基づき、以下の要件をすべて満たす必要があります。
1. 欠格要件に該当しないこと(法第6条)
- 禁錮以上の刑に処せられて5年を経過しない者
- 労働者派遣法・職業安定法に違反して罰金刑に処せられて5年を経過しない者
- 労働保険・社会保険の適用事業所でないこと(未加入は不可)
- 暴力団関係者
2. 事業所の要件
- 事業所の面積が20㎡以上(個室または間仕切りにより独立した場所)
- 風俗営業・性風俗関連特殊営業と同一の場所でないこと
3. 資産要件(財産的基礎)
基準資産額: 事業所数 × 2,000万円以上
現金・預金: 事業所数 × 1,500万円以上
自己名義の現金・預金確認: 直近の確定申告または開業後1年未満の場合は残高証明書で確認。
4. 派遣元責任者の要件
以下の要件を満たす派遣元責任者を選任すること。
- 日本国籍または永住・定住資格を持つ者
- 未成年者でないこと
- 派遣元責任者講習を3年以内に受講していること
- 雇用管理の経験が3年以上あること
事業所単位で派遣労働者100人に1名以上の割合で選任が必要です。
5. 個人情報の適正管理
派遣労働者・登録者の個人情報を適正に管理するための措置が講じられていること。
申請手続きの流れ
- 派遣元責任者講習の受講: 申請前に講習(1日)を受講し修了証を取得
- 書類の準備: 許可申請書・事業所の平面図・法人の場合は定款・財務諸表等
- 都道府県労働局への提出: 主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出
- 審査: 約2〜3ヶ月(書類審査+実地調査)
- 許可証の交付: 厚生労働大臣(実際の交付は都道府県労働局経由)から許可証を受領
申請手数料(登録免許税・手数料)
| 区分 | 金額 | |---|---| | 登録免許税 | 90,000円(1事務所あたり) | | 許可手数料 | 55,000円 × 事業所数 |
例: 1事業所の場合 = 90,000円 + 55,000円 = 145,000円
許可の有効期間と更新
- 初回許可: 有効期間3年
- 更新後: 有効期間5年(以降5年ごとに更新)
更新申請は有効期間満了の3ヶ月前までに提出が必要です。更新時も財産的基礎要件(基準資産額・現金預金額)の確認が行われます。
キャリアアップ措置の義務(2020年施行)
「同一労働同一賃金」ルールにより、派遣労働者の賃金を決定する方式は以下の2つから選択します。
- 派遣先均等・均衡方式: 派遣先の通常の労働者と同等の待遇
- 労使協定方式: 同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準以上の賃金を労使協定で定める
多くの派遣会社は運用のしやすさから「労使協定方式」を採用しています。
まとめ
労働者派遣事業の許可取得には、財産的基礎の確保・派遣元責任者講習の受講・事務所要件の整備が主な準備事項です。2ヶ月以上かかる審査期間を逆算して早めに準備を始めることが重要です。
出典: