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整体院を開業する手順|必要な許認可・届出・費用・審査期間まとめ

整体師に国家資格は不要。整体院開業に必要な手続きは税務署への開業届のみで費用は0円。ただし「マッサージ」名称や医療効果の広告表現には法的リスクがある。鍼灸・マッサージを追加する場合は施術所開設届(保健所)が別途必要。

許認可ナビ編集部·

この記事でわかること

  • 整体師に国家資格は不要(あん摩・マッサージ・鍼灸との違いを解説)
  • 整体院開業に必要な手続き:税務署への開業届のみ(費用:0円
  • 施術所開設届が必要になるケース(鍼灸・マッサージを追加する場合)
  • 広告で絶対に使ってはいけない表現(景品表示法・薬機法)
  • 法人設立で開業する場合の追加手続き(登録免許税:合同会社6万円〜)
  • 開業後に守るべき義務(掲示義務・帳簿管理・変更届)

整体師に国家資格は必要か?あん摩マッサージとの違い

整体院を開業するにあたって最初に知っておくべき重要な事実がある。「整体師」には国家資格が存在しない。民間団体が認定する「整体師」「カイロプラクター」等の称号はあるが、法律上は何の資格もなくても整体院を開業できる。

ただし、これには明確な境界線がある。

施術の種類必要な資格法的根拠
整体(手技のみ)不要規制なし
あん摩・マッサージ・指圧あん摩マッサージ指圧師免許(国家資格)あん摩師法第1条
はり・きゅうはり師・きゅう師免許(国家資格)あん摩師法第1条
柔道整復(骨折・脱臼・捻挫)柔道整復師免許(国家資格)柔道整復師法第1条

整体として手技施術を行う分には資格不要だが、「マッサージ」「指圧」の名称を使ったり、それと同一の行為を行ったりすると無資格営業として摘発されるリスクがある。この境界線は実務で非常に重要だ。

重要 「整体マッサージ」「整体指圧」など、あん摩師法が適用される名称と整体を組み合わせた表現は法的グレーゾーン。集客効果を優先して資格不要の範囲を超えると、警察や保健所から指導が入る。

無資格営業で摘発される3パターン

整体院は許認可不要と聞いて安心しがちだが、以下3パターンで摘発事例が実際に発生している。

パターン1:「マッサージ」「指圧」名称の使用 チラシや看板に「整体マッサージ」「整体指圧」と記載した場合、あん摩師法上のマッサージ行為と見なされる可能性がある。免許なし→あん摩師法違反(50万円以下の罰金)。

パターン2:骨折・脱臼・捻挫への施術 骨格矯正・ボキボキ系の施術で骨折や脱臼を扱う場合、柔道整復師法の適用を受ける可能性がある。施術範囲を「筋肉・筋膜・関節の調整」に限定し、ケガ・外傷への施術は断ることが安全策だ。

パターン3:「治る」系の医療効果の主張 「腰痛が治る」「ヘルニアが改善する」等の表示は景品表示法の優良誤認表示に該当する。消費者庁からの措置命令・課徴金(最大売上高3%)の対象になる。

法的注意 「整体」として開業するなら、施術メニュー・集客広告において「マッサージ」「指圧」「治療」「治癒」「完治」等の医療・あん摩師法関連用語を徹底的に排除することが最重要の自衛策だ。

申請前の準備

事業形態の決定(個人事業主か法人か)

整体院の開業形態は主に2択だ。

  • 個人事業主:手続き費用0円。開業届を税務署に出すだけ。年商1,000万円以下では消費税免除の恩恵も。副業や小規模スタート向き。
  • 合同会社(LLC):登録免許税6万円。社会的信頼性が上がり、融資・補助金採択にも有利。従業員雇用・複数店舗展開を見据えるなら法人化が有効。
  • 株式会社:登録免許税15万円〜。投資受け入れや株式上場を視野に入れる場合。整体院の初期開業としては過剰なケースが多い。

判断基準 開業初年度の見込み売上が1,000万円未満かつ従業員1〜2名以内なら、まず個人事業主でスタートして軌道に乗ってから法人化するのが資金効率の観点から有利。

テナント・物件の選定

整体院の施術スペースに法定面積基準はないが(施術所開設届不要のため)、実務上は以下の点を確認しておく必要がある。

  • 用途地域・建物用途の確認(居住専用地域での商業行為に制限がある場合がある)
  • オーナーへの業態申告(整体院として使用可能か事前確認)
  • 内装工事の可否確認(間仕切り追加・換気設備工事等)
  • 前入居者から業種が変わる場合の消防署への届出確認(後述)

消防法・建築基準法上の事前確認

整体院は一般的に消防法上のサービス業施設と同等の扱いを受ける。以下の基準を事前確認すること。

  • 延床面積30㎡超の施術所:自動火災報知設備・誘導灯の設置が必要になるケースあり
  • 前入居者と業種が変わる場合:消防署への防火対象物使用開始届が着工の7日前までに必要
  • 内装変更を伴う場合(100㎡超かつ特殊建築物への用途変更):建築確認申請が必要になる可能性あり

開業予定テナントで内装工事や用途変更を行う場合は、着工前に管轄の消防署・市区町村建築指導課に相談することを強く推奨する。

国税庁の個人事業の開業届出書の様式。事業の種類、事業所の所在地、事業開始年月日などの記入欄がある
個人事業の開業・廃業等届出書(国税庁様式)出典:国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

必要書類一覧(個人事業主として開業する場合)

整体院を個人事業主として開業する場合、必要な書類はシンプルだ。

必須書類

書類名提出先費用期限
個人事業の開業届出書所轄税務署無料開業から1ヶ月以内(推奨)/ 確定申告期限まで可
青色申告承認申請書(任意・節税目的)所轄税務署無料開業から2ヶ月以内(厳格な期限)
国民健康保険加入手続き市区町村役所無料(保険料別)退職等から14日以内
国民年金第1号被保険者切り替え市区町村役所無料(保険料別)退職等から14日以内

整体師免許証・資格証は提出不要(法定免許が存在しないため)。

開業届はe-Taxまたは紙の郵送どちらでも提出可能。マイナンバーカードがあればe-Taxが最も手間が少ない。

節税のヒント 青色申告承認申請書を提出すると、確定申告で最大65万円の青色申告特別控除が受けられる。税理士費用ゼロで節税効果を得られる最大の手段だ。開業から2ヶ月以内の提出期限を忘れずに。

国税庁が作成した開業届の記載要領。各欄の記入方法と注意事項が詳しく説明されている
個人事業の開業届の書き方・記載要領(国税庁)出典:国税庁 開業届の書き方

必要書類一覧(法人として開業する場合)

合同会社または株式会社として整体院を開業する場合、法人設立の手続きが追加で必要になる。

法人設立に必要な書類・手続き

手続き提出先費用(合同会社)費用(株式会社)
定款の作成・認証公証役場(株式会社のみ)不要5万円(公証費用)
設立登記申請法務局登録免許税6万円登録免許税15万円
法人設立届出書所轄税務署・都道府県・市区町村無料無料
健康保険・厚生年金新規適用届年金事務所無料(保険料別)無料(保険料別)

合同会社は定款認証が不要なため、株式会社より費用を約5万円節約できる。整体院のような小規模スタートでは合同会社が現実的な選択肢だ。

法人の場合、設立から2週間以内に法人設立届出書を税務署に提出する義務がある点に注意が必要だ。また、代表者1人の法人でも健康保険・厚生年金の強制適用(社会保険)となる。個人事業主時代と比べて保険料負担が増える場合があるため、事前にシミュレーションしておくことを推奨する。

開業届記入でよくあるミス

開業届は書き方が分かりやすそうに見えて、記入ミスで税務署から訂正を求められるケースが多い。

よくあるミス4点

  1. 業種欄が抽象的すぎる:「整体院」「カイロプラクティック施術業」など具体的な業種を記入。「サービス業」のみでは税務調査時に説明が必要になる。
  2. 青色申告申請を開業届と別日に提出して期限を過ぎる:節税効果のある青色申告申請書は別途提出が必要。開業届と同日提出が確実。
  3. 事業開始年月日の誤り:「店舗オープン日」ではなく「最初に収入が発生した日」が正確。準備期間は含めない。
  4. 提出先の税務署を間違える:提出先は「事業所所在地の所轄税務署」。自宅住所の税務署ではなく、事務所・施術所の住所で管轄を確認する。

確認方法 記入後、所轄の税務署に電話で事前確認することを推奨する。窓口持参なら書き直しもその場でできる。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(e-Tax)を使うと入力ガイドが自動表示される。

整体院開業の流れ(STEP1〜5)

STEP 1:事業計画・物件選定(開業3〜6ヶ月前)

事業形態(個人/法人)、施術スタイル、料金設定、ターゲット客層を決定する。物件探しは同時並行で進め、テナント契約前に用途・消防設備を確認する。

目安期間:1〜3ヶ月

STEP 2:内装工事・設備調達(開業1〜3ヶ月前)

施術ベッド・タオル・予約管理ツール等の調達と内装工事を行う。30㎡超のテナントで前入居者と業種が変わる場合は、消防署への防火対象物使用開始届を工事完了7日前までに提出する。

目安期間:1〜2ヶ月 / 費用:0円(届出自体は無料)

STEP 3:開業届・各種申請の提出(開業月)

開業日(または初収入が発生する日)に合わせて税務署へ開業届を提出する。青色申告承認申請書も同日提出を推奨。個人事業主から法人へ変更する場合は法人設立登記を先行する。

目安期間:即日/費用:0円(個人事業主の場合)

STEP 4:集客・広告開始(開業前後)

ホームページ・SNS・チラシ・ポータルサイト等での集客活動を開始する。広告表現は景品表示法・薬機法に従い「治療効果」「マッサージ」等の表現を避ける。

目安期間:継続的活動

STEP 5:施術範囲の拡大を検討する場合(開業後)

整体院として軌道に乗った後、国家資格(あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師)を持つスタッフを雇用して施術範囲を広げる場合は、施術所開設届を保健所に提出する必要がある(開設後10日以内)。

費用:0円 / 手続き期間:届出後即時〜2週間(実地検査がある場合)

費用と審査期間のまとめ

手続き費用審査期間
開業届(個人事業主)0円即日(受理のみ)
青色申告承認申請書0円即日(受理のみ)
合同会社設立登記6万円(登録免許税)1〜2週間
株式会社設立登記15万円〜(登録免許税+公証費用5万円1〜2週間
防火対象物使用開始届0円受理後即時
施術所開設届(鍼灸・マッサージ追加時)0円受理後即時〜2週間

整体院(整体のみ)として個人事業主で開業する場合、手続き費用は実質0円。これは他の業種(飲食店営業許可:約16,000〜20,000円、古物商許可:19,000円等)と比較して圧倒的にハードルが低い。

開業届の審査は存在しない(受理のみ)ため、提出当日から正式な個人事業主として活動できる。初期費用を最小限に抑えて開業できる業種の一つだ。

整体院開業でよくある失敗パターン5選

失敗1:「マッサージ」名称を使って保健所から指導を受ける 整体院なのにホームページや看板に「整体マッサージ」と記載してしまい、あん摩師法違反として保健所から指導が入るケース。名称の使用を即中止し、看板・ウェブサイトの修正対応に時間とコストがかかる。

失敗2:景品表示法違反で消費者庁から調査を受ける 「○○の症状が3回で改善する」「腰痛・肩こりを根本から治す」等の医療効果を主張した広告を出し続け、消費者庁の調査対象になるケース。措置命令を受けると企業名が公表される。

失敗3:青色申告申請を忘れて初年度から過大な税負担 開業届は提出したが青色申告承認申請書を忘れ、開業から2ヶ月が経過してしまうケース。最大65万円の控除が受けられず、初年度の税負担が跳ね上がる。

失敗4:消防設備の確認を怠りテナント退去を余儀なくされる 前入居者と業種が異なるテナントで開業届を出した後、消防署から「防火対象物使用開始届未提出・設備不備」として改善指導を受けるケース。工事費・移転費が追加発生する。

失敗5:法人設立後に社会保険適用を知らずに放置 法人を設立した場合、代表者1人であっても健康保険・厚生年金の強制適用となる(個人事業主より保険料が高くなる場合がある)。事前にシミュレーションせずに法人化して、保険料負担に驚くケースが多い。

対策の基本 名称・広告・消防・税務の4分野でリスクが集中している。開業前に各窓口(保健所・税務署・消防署)へ事前相談するだけで大半の失敗は防げる。相談は無料のところも多い。

広告・集客で注意すること(景品表示法・薬機法)

整体院の集客で最も法的リスクが高いのが広告表現だ。整体は医療行為でも医薬品でもないため、医療効果や治療効果を謳う広告は法律上許されない。

景品表示法(優良誤認表示の禁止)

❌ 禁止表現✅ 代替表現
「腰痛が治る」「腰のコリや緊張をほぐすお手伝いをします」
「ヘルニアが改善する」「体のバランスを整えるための施術を行います」
「3回で根本改善」「継続的なケアをサポートします」
「医師も認める整体技術」根拠がなければ使用不可

薬機法(未承認医薬品等の広告禁止) 施術に使用するオイルやクリームを「治療効果がある」と謳って販売すると、薬機法第68条違反になる可能性がある。販売する場合は「リラクゼーション用」「マッサージ用」等のリラクゼーション訴求に限定する。

あん摩師法第7条(広告制限)の類推リスク 整体院は直接の規制対象ではないが、「整体マッサージ」等の表記でマッサージ行為と判断された場合、広告できる事項が法定6項目に限定される可能性がある。名称の使用には慎重になる必要がある。

集客広告の法的リスクについては、行政書士・弁護士に開業前にレビューを依頼することを推奨する。

国税庁の所得税の青色申告承認申請書の様式。65万円の青色申告特別控除を受けるために開業から2ヶ月以内に提出する
所得税の青色申告承認申請書(国税庁様式)出典:国税庁 所得税の青色申告承認申請書

取得後の義務(変更届・廃業届・帳簿管理・掲示義務)

整体院として開業した後も、継続的に守るべき義務がある。

変更届 個人事業主の場合、以下の変更が生じたら税務署に届出が必要だ。

  • 事務所・事業所の移転:「個人事業の開業・廃業等届出書」を再提出
  • 屋号の変更:同上
  • 事業の廃止:「個人事業の開業・廃業等届出書(廃業用)」を提出

帳簿管理(青色申告の場合) 青色申告承認を受けた場合、複式簿記による帳簿の保存義務7年間)が生じる。会計ソフト(freee、マネーフォワード等)の活用を推奨。

掲示義務 整体院として届出不要の範囲で営業している場合、法令上の強制的な掲示義務は存在しない。ただし、顧客保護と信頼構築のために以下の掲示が実務的に推奨される。

  • 施術メニューと料金表(消費税込みの総額表示が必須:消費税法上の義務)
  • 店名・代表者名・営業時間・キャンセルポリシー
  • 個人情報保護方針(顧客情報を管理する場合)

注意:税込み表示の義務 料金表の「税別○○円」表示のみは消費税法違反となる。「○○円(税込)」または「○○円」と税込価格を明示すること。

鍼灸・マッサージを追加した場合の追加義務 あん摩師法該当の施術所になると、法的な掲示義務が発生する(施術者氏名・免許種別・有効期限の掲示等)。施術所開設届の提出時に保健所から詳細な指示が行われる。

まとめ

整体院の開業手続きを改めて整理する。

整体院開業の要点3点

  1. 許認可は不要、開業届のみ(費用0円):整体師は国家資格がないため、許認可・施術所届出なしで開業できる。税務署への開業届だけで事業開始可能。
  2. 名称と広告に細心の注意を:「マッサージ」「指圧」「治療効果」の表現が法的リスクの核心。集客広告は専門家のレビューを経ることで大半のリスクを事前に排除できる。
  3. 鍼灸・マッサージ追加時は施術所開設届が必要:整体院が成長し、国家資格保有者を採用して施術範囲を広げる段階では保健所への届出義務が発生する。

整体院は他の業種と比較して開業ハードルが最も低い部類に入る。ただし、法的グレーゾーンである名称・広告・施術範囲の3点については、開業前に行政書士に相談してリスクを整理しておくことを強く推奨する。費用は初回相談5,000〜15,000円程度が相場だ。

書類準備や広告表現の審査に不安がある場合は、整体院・サロン開業を専門とする行政書士への相談が有効だ。

許認可ナビ編集部

行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。

最終更新:2026年4月28日

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