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美容室開業の開設届ガイド(美容師法 第11条)保健所への届出手順・必要書類・費用・設備検査まとめ
美容室開業には保健所への開設届が必要(美容師法 第11条)。費用16,000〜18,000円、届出から確認証交付まで1〜2週間。必要書類・構造設備基準・管理美容師要件・掲示義務を解説。
この記事でわかること
美容室・ヘアサロンを開業するには、保健所への開設届が法律上の義務です(美容師法 第11条第1項)。この記事では以下を解説します。
- 開設届が必要なケース・不要なケース
- 必要書類の一覧(個人・法人別)
- 開設届の申請の流れ(STEP1〜7)
- 費用の目安:16,000〜18,000円(都道府県により異なる)
- 保健所の設備検査で指摘されやすい箇所
- 開業後に必要な変更届・掲示義務
届出制のため、営業許可証の「更新」は不要です。ただし開設後も変更届・廃業届の義務があります。
美容室開業で開設届が必要なケース・不要なケース
開設届が必要なケース
美容師法第11条第1項は「美容所を開設しようとする者は、都道府県知事に届け出なければならない」と定めています。以下の施設を開設する場合に届出が必要です。
- 美容室・ヘアサロンを新規に開設する
- まつげエクステンション・まつげパーマを提供するサロンを開設する
- ヘアセット・着付け専門店など、美容行為を業として行う施設を開設する
- 既存の美容所を移転・建て替えする(新規開設届が必要)
- 既存の美容所を譲り受けて経営する
開設届が不要なケース
以下の業態は美容師法の「美容所」に該当しないため、開設届は不要です(ただし別の許認可が必要な場合があります)。
- 理容行為のみを行う施設(理容所として別途届出が必要)
- エステティックサロン(美容師法上の美容行為に該当しない施術のみ)
- ネイルサロン(美容師法上の美容行為に該当しない)
- 出張美容のみで固定施設を持たない場合
注意 ネイルやエステでも、カット・パーマ・カラーリング等の「美容」行為を行う場合は美容所の届出が必要です。施術メニューの内容を管轄保健所に確認してください。
無届けで美容室を開業すると?罰則と行政処分
開設届を提出せずに美容所を開設した場合、または虚偽の届出をした場合は以下の罰則が適用されます。
30万円以下の罰金(美容師法 第18条第2号)
さらに、構造設備基準を満たさない場合や、届出後に衛生管理規定に違反した場合は以下の行政処分の対象となります。
美容所の閉鎖命令(美容師法 第15条第1項) 都道府県知事が期間を定めて美容所の閉鎖を命じることができます。閉鎖命令に違反すると、さらに30万円以下の罰金が科されます。
開業前に必ず保健所に事前相談を行い、届出手続きを完了させてから営業を開始してください。届出を提出してから保健所の設備検査まで1〜2週間かかります。開業日から逆算して早めに準備を始めることが重要です。
申請前の準備:保健所への相談から工事完了まで
STEP前準備①:管轄保健所への事前相談
美容室の工事着工前に、管轄保健所の食品衛生・生活衛生担当窓口に事前相談を行いましょう。施設の図面(平面図)を持参し、構造設備基準を満たすかどうかを確認します。
保健所によっては「事前相談申込書」が必要なケースがあります。電話やWebで予約が必要な保健所もあります。
重要 工事完了後に構造設備基準の不適合が判明した場合、改修工事が必要になります。事前相談で保健所の担当者に確認することで、コストと時間のロスを防げます。
STEP前準備②:管理美容師の資格確認
従業者として美容師が常時2人以上いる美容所では、管理美容師を置くことが義務づけられています(美容師法 第12条の3)。
管理美容師になるための要件:
- 美容師免許取得後、3年以上の美容業務の実務経験
- 都道府県知事指定の管理美容師講習会を修了していること
オーナー自身が美容師である場合でも、スタッフを雇用する場合は管理美容師講習の受講歴を確認してください。
STEP前準備③:構造設備基準を満たす施設の整備
美容師法施行令・施行規則が定める構造設備基準を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 作業面積 | 13㎡以上(化粧・結髪等の業の場合) |
| 待合場所 | 作業場と区別して設けること |
| 消毒設備 | エタノール・次亜塩素酸ナトリウム・紫外線消毒器 等 |
| 洗髪設備 | 流水装置を設けること(まつエク専門は省略可の場合あり) |
| 採光・照明 | 作業面照度 100ルクス以上 |
| 換気 | 室内CO₂濃度を5cm³/L以下に保てる構造 |
| 床材 | コンクリート・タイル・リノリューム等の不浸透性素材 |
作業椅子が2席の場合、作業面積は9.9㎡以上(以降1席追加ごとに+3.3㎡)。保健所の指導に基づいて工事を進めてください。
必要書類一覧(個人開設の場合)
保健所に提出する書類は都道府県・市区町村によって異なりますが、一般的に以下の書類が必要です。
| No. | 書類 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 美容所開設届 | 保健所の指定様式。2部提出が多い |
| 2 | 施設の平面図・付近見取図 | 作業場・待合場所・洗髪設備の位置を明記 |
| 3 | 構造設備概要書 | 作業場面積・作業椅子数・消毒設備等を記載 |
| 4 | 従事する美容師全員の美容師免許証の写し | 原本の確認後に返却される |
| 5 | 従事する美容師全員の診断書 | 結核・感染性皮膚疾患の有無(発行から1ヶ月以内) |
| 6 | 手数料 | 16,000〜18,000円(現金) |
美容師が常時2名以上いる場合に追加で必要な書類:
| No. | 書類 | 備考 |
|---|---|---|
| 7 | 管理美容師講習会修了証の写し | 管理美容師を証明する書類 |
| 8 | 管理美容師免許証の写し |
手数料は都道府県によって異なります。例:東京都・名古屋市・大阪府 = 16,000円、札幌市 = 18,000円。申請前に管轄保健所に確認してください。

必要書類一覧(法人開設の追加書類)
法人(株式会社・合同会社等)が美容所を開設する場合、個人の必要書類に加えて以下が必要です。
| No. | 書類 | 備考 |
|---|---|---|
| 9 | 登記事項証明書 | 法務局で取得(発行から3ヶ月以内) |
法人開設届では、開設届の「開設者」欄に「法人名・代表者氏名」を記載します。個人開設と異なり、「生年月日」欄は不要です。
法人開設の注意点 法人名義で開設した美容所の代表者が変更になった場合、「開設者変更届」の提出が必要です。代表者変更のたびに手数料(16,000円前後)が再度必要になるため、法人形態の選択時に考慮してください。
申請書の記入ミスが起きやすい欄
保健所での届出でよくある記入ミスと注意点を解説します。
① 管理美容師欄の記入漏れ 美容師が常時1名だけの場合は管理美容師欄の記入は不要ですが、スタッフを雇用する予定がある場合は必ず確認してください。
② 作業面積の計算ミス 作業場の面積は「作業椅子2席なら9.9㎡以上」が基準です。間仕切りや待合スペースを除いた純粋な作業場の面積で計算する必要があります。
③ 診断書の有効期限 診断書は発行から1ヶ月以内のものが必要です。工事が長引いて届出が遅れた場合、診断書を取り直す必要があります。
④ 消毒設備の記載漏れ 紫外線消毒器・蒸気消毒器・薬物消毒器の台数を正確に記載してください。現物と届出の台数が一致していないと検査で指摘されます。
重要 保健所によっては申請書の様式が異なります。管轄保健所のWebサイトから最新の様式をダウンロードするか、窓口で受け取ってください。他の保健所の様式を流用すると受理されない場合があります。

美容室開業届の申請の流れ(STEP1〜7)
STEP1:管轄保健所へ事前相談(目安:工事着工前)
施設の図面(平面図)を持参し、構造設備基準を満たすか確認を受ける。開設届の様式・必要書類の最新情報もここで入手する。
STEP2:施設の工事・設備の整備(目安:工事期間に依存)
保健所の指導に基づき、作業面積・消毒設備・洗髪設備・床材等の基準を満たす施設を整備する。
STEP3:必要書類の収集(目安:工事完了の2〜3週間前から)
美容師免許証の写し・診断書(発行から1ヶ月以内)・管理美容師講習修了証等を揃える。
STEP4:開設届の提出(目安:営業開始の10日前まで)
管轄保健所の窓口に必要書類と手数料(16,000〜18,000円)を持参して届出を提出する。
STEP5:構造設備検査の受付(目安:届出後1〜2週間以内)
保健所の担当者が施設を訪問し、届出の記載内容と実際の設備が一致しているか確認する。
STEP6:検査合格・確認証の交付(目安:検査当日〜数日後)
構造設備が基準に適合していれば「検査確認済証」が交付される。
STEP7:営業開始
確認証の交付後に営業を開始できる。確認証の交付前に営業を開始してはならない(美容師法違反・30万円以下の罰金)。
費用と審査期間のまとめ
費用の内訳
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 保健所への検査手数料 | 16,000〜18,000円 |
| 行政書士への代行費用 | 49,800円前後(依頼する場合) |
| 合計(代行依頼の場合) | 65,800〜67,800円 |
審査期間の目安
届出受付から確認証交付まで1〜2週間が目安です(保健所の混雑状況や施設の準備状況によって異なります)。開業予定日の2週間前までには届出を提出することをおすすめします。
有効期間・更新
美容所の開設届は届出制のため、飲食店営業許可のような有効期間や定期更新の制度はありません。一度届出を済ませれば、変更事項が生じるまで再提出は不要です。
美容所の開設届 詳細ページ
よくある失敗パターン5選
美容室の開業届で多い失敗パターンをまとめました。事前に把握して対策してください。
失敗①:工事完了後に構造設備基準の不適合が判明 最も多い失敗。保健所への事前相談を怠り、工事完了後に「作業面積が足りない」「消毒設備の配置が不適切」などの不備が発覚するケース。改修工事が必要になり、開業が大幅に遅れます。対策:工事着工前に必ず保健所に事前相談する。
失敗②:診断書の有効期限切れ 工事の長期化や書類収集の遅れで、診断書の発行から1ヶ月以上経過してしまい、取り直しが必要になるケース。対策:届出日から逆算して診断書の取得タイミングを調整する。
失敗③:管理美容師の要件を満たしていない 美容師スタッフが2名以上いるにもかかわらず、管理美容師の講習を受講していないまま開業しようとするケース。講習の申込から修了まで数ヶ月かかる場合があります。対策:採用計画と管理美容師講習のスケジュールを早めに確認する。
失敗④:他の自治体の様式を使用してしまう インターネットで入手した別の都道府県・市区町村の開設届様式を使って保健所に持参し、受理されないケース。対策:管轄保健所のWebサイトから最新の様式をダウンロードするか、窓口で入手する。
失敗⑤:確認証の交付前に営業を開始してしまう 届出を提出しただけで「後は届出済みだから大丈夫」と思い込み、確認証の交付前に営業を開始してしまうケース。美容師法違反(30万円以下の罰金)となります。対策:確認証を受け取るまで営業は開始しない。
特殊ケース:まつげエクステ・ヘアセット専門・自宅サロン
まつげエクステンション専門サロン
まつげエクステンション(まつげパーマ含む)は美容師法上の「美容行為」に該当するため、施術者は美容師免許が必要であり、施術場所は美容所として開設届が必要です。カットや洗髪を行わないため洗髪設備(洗髪台)の省略が認められる場合があります(管轄保健所に確認)。
ヘアセット・着付け専門店
ヘアセットや着付けも美容師法上の美容行為に該当します。専門サービスのみを提供する場合でも、施術場所には美容所の開設届が必要です。
自宅の一室での美容室開業
自宅開業でも美容師法の構造設備基準を満たす必要があります。特に重要なのは「居住部分と美容所部分の区画分離」です。共用の入口・廊下を使う場合でも、作業場と居住スペースが完全に分かれていることが求められます。自宅サロンを検討する場合は必ず保健所に事前相談してください。
許可取得後の義務:変更届・廃業届・掲示義務
変更届(開設後に変更が生じた場合)
以下の事項に変更が生じた場合は、速やかに管轄保健所に「変更届」を提出する必要があります。
- 美容所の名称・所在地
- 開設者の氏名・住所(個人の場合)
- 構造設備の変更(作業場の拡張・設備の追加等)
- 従業者(美容師)の変更
廃業届
美容所を廃業または休業する場合は「廃業届(廃止届)」の提出が必要です。廃業届を提出しないまま放置すると、後日の変更手続き等で問題になる場合があります。
掲示義務(美容師法 第12条の2・各都道府県条例)
美容所内には以下の書類・証明書を見やすい場所に掲示する義務があります。
- 検査確認済証(保健所から交付された証明書)
- 従業美容師の免許証(全員分)または氏名の掲示
- 料金表(都道府県条例で義務づけられている場合)
重要 検査確認済証を掲示しないまま営業すると、保健所の立入検査で指摘対象になります。開業初日から必ず掲示してください。
衛生管理の義務
- 使用器具(ハサミ・コーム等)の消毒を適切に行うこと
- 採光・換気・清潔の維持
- 皮膚疾患等の疾病を有する従業者の就業制限(美容師法 第8条)

まとめ:美容室開業の開設届は保健所への事前相談が最重要
美容室・ヘアサロンの開業には、保健所への開設届(美容師法 第11条第1項)が不可欠です。要点を整理します。
- 費用:16,000〜18,000円(都道府県によって異なる)
- 期間:届出から確認証交付まで1〜2週間
- 有効期間:なし(届出制のため更新不要)
- 注意点:確認証交付前の営業開始は違法(30万円以下の罰金)
美容室開業手続きは書類の種類が多く、構造設備基準の確認や管理美容師要件の判断が複雑なケースもあります。行政書士は開設届の作成・提出代行が可能です。書類準備や保健所との調整に不安がある場合は、専門家への相談を検討してください。許認可ナビでは行政書士への無料相談を紹介しています。
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2025年6月29日
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