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飲食店営業許可の申請方法を完全解説|必要書類・費用・審査期間・よくある失敗まで
飲食店を開業する前に必須の許可。申請手数料は16,000〜19,000円(都道府県によって異なる)、審査期間は2〜3週間。食品衛生法第55条に基づき保健所に申請。事前の保健所相談・食品衛生責任者の早期確保・掲示義務の把握が成功の鍵。
この記事でわかること
飲食店を開業する際に必ず取得が必要な「飲食店営業許可」について、申請から許可証受け取りまでを完全解説します。
- 飲食店営業許可が必要なケース・不要なケース(2021年法改正後の最新整理)
- 取得できない人(欠格事由)と施設基準の要点
- 必要書類の一覧(個人申請・法人申請別チェックリスト)
- 申請の流れ(STEP1〜5)と各ステップの目安期間
- 申請手数料 16,000〜19,000円(地域別料金表付き)と審査期間 2〜3週間
- よくある失敗パターン6選と対策
- 許可取得後の継続義務(更新・変更届・HACCP衛生管理・掲示義務)
2021年法改正の重要ポイント 2021年6月の食品衛生法改正で「喫茶店営業許可」は廃止・「飲食店営業許可」に統合されました。あわせて全飲食店に HACCP に沿った衛生管理 が義務化されています。古い情報(2021年5月以前)を参照しないよう注意してください。
飲食店営業許可が必要なケース・不要なケース
食品衛生法第55条第1項に基づき、調理した食品を客に飲食させる営業はすべて「飲食店営業許可」が必要です。
許可が必要な例
- レストラン・カフェ・居酒屋・バー・ラーメン店
- 喫茶店(2021年改正後は喫茶店営業ではなく飲食店営業として申請)
- ホテル・旅館の食事提供
- 宅配専門・デリバリー専門の飲食店(ゴーストレストラン)
- キッチンカー・移動販売の飲食業
- 学校・病院・工場等の給食施設(自前調理)
許可が不要な例
- 自宅で家族に料理を作る
- ボランティア活動での単発無償提供
- 密封包装された加工食品(菓子・パン等)の販売のみ(製造業許可は別途必要)
「喫茶店営業」は廃止されています 2021年5月までは「飲食店営業」と「喫茶店営業」に分かれていましたが、現在は すべて「飲食店営業許可」1 本 です。古い記事やテンプレートを参考にする場合は必ず最新情報を確認してください。
取得できない人・施設(欠格事由と施設基準)
食品衛生法第55条第2項により、以下に該当する場合は飲食店営業許可を取得できません。
人的欠格事由(個人・法人役員)
- 食品衛生法違反で処罰されてから2年を経過していない者
- 許可取消しから2年を経過していない者
- 法人の場合、役員に上記該当者がいる場合
施設基準を満たさない場合
各都道府県の条例で定められた「営業施設基準」を満たす必要があります。主な共通要件:
- 調理場と客席の区画(扉・カウンター等で明確に分離)
- 手洗い専用の設備(自動水栓 or 非接触水栓が推奨)
- 2 槽シンク(または仕切り付き 1 槽シンク)
- 十分な換気・照明・防虫設備
- 給水・排水設備(上下水道または適合する貯水槽)
施設基準は自治体ごとに差が大きい 東京都と大阪府、さらに同じ県内の市区でも細部が違います。必ず管轄の保健所に事前相談し、内装工事着工前に図面をレビューしてもらうことが最重要です。
申請前の準備(3 つの重要アクション)
飲食店営業許可の申請は「書類を揃える」より前に、以下の 3 点を確実に進める必要があります。どれか 1 つでも欠けると開業スケジュールが大きく遅延します。
1. 保健所への事前相談(着工前に必須)
内装工事の図面(平面図・設備配置図)を持参して、管轄の保健所に事前相談を行います。工事着工後に施設基準不適合が発覚すると、追加工事費が数十万円単位で発生します。事前相談は無料で、所要時間は 30 分〜1 時間程度です。
2. 食品衛生責任者の確保(講習予約は早めに)
飲食店には食品衛生責任者を 1 名以上置くことが各都道府県条例により義務付けられています。
講習不要でなれる資格保有者:
- 調理師・栄養士・管理栄養士・製菓衛生師
- 食品衛生管理者・食品衛生監視員
- 医師・歯科医師・薬剤師・獣医師
資格がない場合は養成講習会(約 6 時間・1 日)を受講:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受講費用 | 6,000〜10,000円程度(都道府県により異なる) |
| 受講時間 | 約 6 時間(1 日) |
| 修了証発行 | 受講当日に発行(即日資格取得) |
| 予約状況 | 定員制。繁忙期は 1〜2 ヶ月先まで満員になることあり |
講習予約は内装工事の依頼と同時に入れる 「工事が終わってから申し込む」は遅い。開業予定日に講習修了が間に合わず、許可申請すら出せない事態が頻発します。各都道府県の食品衛生協会サイトから予約してください。
3. 個人申請か法人申請かを決める
どちらでも申請できます。法人で申請する場合は、登記事項証明書・定款の写し・役員全員分の書類が追加で必要です。定款の事業目的に「飲食業の経営」等の記載が必要な点にも注意してください(記載がないと定款変更 + 登録免許税 30,000 円が発生)。
必要書類一覧(個人申請)
管轄の保健所に提出する書類は以下のとおりです。所定様式は各保健所窓口または都道府県の公式サイトで取得できます。
- 営業許可申請書(所定様式)
- 施設の構造及び設備を示す図面(平面図・設備配置図)
- 食品衛生責任者の資格を証明する書類(修了証 or 資格証の写し)
- 水質検査成績書(貯水槽・井戸水を使用する場合のみ)
- 登記事項証明書(法人の場合のみ、後述)
- 申請手数料(地域により 16,000〜19,000 円)
図面の書き方が分からない場合 設計事務所または内装業者に「保健所申請用の図面を」と依頼すれば対応してくれます。自前で作る場合は、保健所事前相談時にサンプル図面をもらえることがあります。
必要書類一覧(法人申請の追加書類)
法人で申請する場合は、個人の書類に加えて以下が必要です。
- 登記事項証明書(法人全部事項証明書・発行から 3 ヶ月以内)
- 定款の写し(代表者による原本証明が必要)
定款の「事業目的」を必ず確認 定款の事業目的欄に「飲食業の経営」または同等の文言(「レストランの経営」「飲食店の運営」等)が必要です。記載がない場合は定款変更の手続きが必要になり、司法書士費用 + 登録免許税 30,000 円 が追加で発生します。会社設立時に将来の業態も含めて広めに目的を設定しておくと安心です。

申請書の記入で間違えやすいポイント
営業許可申請書は一見シンプルですが、以下の欄で差し戻しが頻発します。
1. 営業の種類
2021 年改正以降、「飲食店営業」1 本で申請します。「喫茶店営業」は選択肢にありません。
2. 営業の施設の所在地
登記上の住所ではなく、実際に調理を行う施設の住所を正確に記載します。マンションの場合は部屋番号まで必要です。
3. 食品衛生責任者の氏名と資格
資格の種類(調理師・講習修了者など)を正確に記入。修了証や資格証の写しを必ず添付します。
4. 主要取扱食品
「一般食品」ではなく、「和食」「イタリアン」「中華」「カフェメニュー」など具体的に記入します。提供予定のメニューに**生食(刺身・生肉・生卵の提供)**が含まれる場合は必ず記載してください。

申請の流れ(STEP1〜5)
STEP 1:保健所への事前相談(目安:内装工事前)
内装図面を持参して管轄保健所に事前相談。施設基準の適合性を事前にチェックしてもらいます。着工前に必ず実施してください。
STEP 2:内装工事の実施(目安:2〜4 週間)
事前相談でのアドバイスをもとに内装工事を進めます。手洗い設備・シンク・換気設備など施設基準を満たす内装を整えます。
STEP 3:申請書類の提出(目安:工事完了の 10 日前)
管轄保健所に申請書類一式 + 申請手数料 16,000〜19,000円 を提出します。
STEP 4:施設検査(目安:書類提出から 1〜2 週間後)
保健所の食品衛生監視員が現地を訪問して、施設基準への適合を確認します。不適合箇所があれば是正を求められ、再検査になります。
STEP 5:許可証の交付(目安:検査合格から 1〜2 週間)
検査合格後、営業許可証が交付されます。許可証を受け取るまで営業は開始できません。
許可証交付前の営業は違法 書類提出〜検査〜許可交付の期間(約 2〜3 週間)は営業できません。無許可営業は食品衛生法第 82 条により 2 年以下の拘禁刑または 200 万円以下の罰金 が科せられます。オープン日は許可証交付日以降で設定してください。
費用と審査期間のまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請手数料 | 16,000〜19,000 円(自治体により差あり・不許可でも返金不可) |
| 審査期間 | 書類提出から 2〜3 週間(施設検査 + 許可交付) |
| 有効期限 | 5 年(多くの自治体。自治体により 6 〜 8 年もあり) |
| 更新手数料 | 8,300〜17,000 円程度 |
| 変更届 | 無料(原則 10 日以内) |
主要都市の手数料例
| 都道府県・政令市 | 新規許可手数料 |
|---|---|
| 東京都 | 18,300 円 |
| 大阪府 | 16,000 円 |
| 神奈川県 | 16,800 円 |
| 愛知県 | 16,000 円 |
| 福岡県 | 16,000 円 |
| 北海道 | 16,000 円 |
※ 2026 年 4 月時点。最新の手数料は各自治体の公式サイトで確認してください。
飲食店営業許可の詳細情報
よくある失敗パターン(申請前に必ず確認)
失敗1:事前相談なしで内装工事を完成させてしまう
施設基準を確認せずに工事を完成させると、検査で不合格になり 追加工事が発生 します。特に「シンクの数・手洗い設備の位置・換気設備の仕様」は自治体差が大きく、完成後の変更は費用がかさみます。工事前の保健所相談は必須です。
失敗2:食品衛生責任者の講習予約が遅れてオープンが延期
食品衛生責任者養成講習会は定員制で、1〜2 ヶ月先まで満員になることがあります。「工事中に申し込もう」と後回しにすると、開業予定日に講習修了が間に合わず、許可申請すら出せない事態になります。
失敗3:許可証交付前に営業を開始してしまう
「申請を出したから大丈夫」と思い、許可証が手元に届く前に営業を開始するのは 違法 です。無許可営業は食品衛生法第 82 条により 2 年以下の拘禁刑または 200 万円以下の罰金 の対象となります。
失敗4:有効期限が切れたまま継続営業
飲食店営業許可の有効期限(多くの都道府県で 5 年)を見落とし、更新しないまま営業を続けるケースがあります。許可証に記載の 有効期限日をカレンダーに必ず記録 し、期限の 1〜2 ヶ月前に更新申請を行いましょう。
失敗5:キッチンカーで出店先の都道府県の許可を取っていない
キッチンカーは移動販売のため、出店する都道府県・政令市ごとに許可が必要 です。自店舗のある都道府県の許可だけで他府県に出店することはできません。また、提供する食品の種類によっては「菓子製造業許可」等の別許可が追加で必要になる場合があります。
失敗6:法人申請で定款の「目的」に飲食業が記載されていない
会社設立後に飲食店を開業する場合、定款の事業目的に「飲食業の経営」等が含まれている ことが必要です。記載がない場合は定款変更(司法書士費用 + 登録免許税 30,000 円)が必要になります。
キッチンカー・深夜営業・接待営業の特殊ケース
キッチンカー(移動販売)特有の注意点
キッチンカーは「飲食店営業許可」を取得しますが、固定店舗と異なる要件があります。
- 許可の管轄単位:出店する都道府県の保健所管轄ごとに許可が必要。A 県の許可だけで B 県に出店はできません
- 給排水タンク容量:清水タンクと排水タンクを搭載し、自治体によって最低 40L 以上(清水・排水それぞれ)が義務付けられています
- シンク要件:多くの自治体で調理・食器洗浄用の 2 槽シンク または仕切り付き 1 槽シンクが求められます
- イベント出店:イベント主催者が「イベント用の臨時営業許可」を一括取得している場合もあるため、主催者に確認しましょう
深夜営業・接待がある場合
飲食店営業許可に加えて、追加の許可・届出が必要になる場合があります。
| 業態 | 追加で必要なもの | 根拠法 |
|---|---|---|
| 深夜 0 時以降に酒類を提供する店 | 深夜酒類提供飲食店営業開始届出 | 風俗営業法第 33 条 |
| 接待(ホステス・ホスト等)を伴う店 | 風俗営業許可(1 号営業) | 風俗営業法第 2 条第 1 項 |
| 深夜にカラオケ設備を設置する店 | 特定遊興飲食店営業許可 | 風俗営業法第 2 条第 11 項 |
許可取得後の継続義務
飲食店営業許可は取得して終わりではなく、営業を続ける限り以下の義務が発生します。
変更届(変更から原則 10〜30 日以内)
以下の事項が変わった場合、管轄保健所への変更届が必要です。
- 営業者の氏名・住所の変更(個人の場合)
- 法人の名称・所在地・代表者の変更
- 食品衛生責任者の変更(変更から 10 日以内を求める自治体が多い)
- 施設の増築・改築等の大幅な構造・設備変更
許可の更新(有効期限前に申請)
有効期限(多くの都道府県で 5 年)が切れる 1〜2 ヶ月前に更新申請を行います。更新時にも施設検査が行われる場合があります。更新手数料:8,300〜17,000 円程度。
廃業届(廃業後 30 日以内)
営業を廃止した場合は「廃業等の届出書」を管轄保健所に提出します(食品衛生法第 57 条の 2)。
営業許可証と食品衛生責任者プレートの掲示義務
以下の書類・プレートは、客から見える場所に掲示することが義務付けられています。
- 営業許可証(原本を調理場または客席から見える場所に掲示)
- 食品衛生責任者のプレート(氏名と資格を記載した所定のプレートを客席から見える場所に掲示)
掲示義務違反も罰則対象 許可証の未掲示は食品衛生法第 55 条の 2 違反として指導対象です。紛失・破損時はすみやかに保健所で再発行を受けてください。
HACCP に沿った衛生管理(2021 年 6 月から義務化)
2021 年 6 月 1 日以降、すべての飲食店に HACCP に沿った衛生管理が義務付けられています。
- 小規模事業者(一般的な飲食店):「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」
- 大規模事業者・と畜場等:「HACCP に基づく衛生管理」
具体的には、「一般衛生管理計画書」を作成し、日々の衛生管理記録を付けることが求められます。厚生労働省の「小規模な一般飲食店向け手引書」が無料で公開されているので活用してください。

まとめ
飲食店営業許可の申請について重要なポイントを整理します。
- 調理した食品を客に飲食させる営業はすべて「飲食店営業許可」が必要(食品衛生法第 55 条第 1 項)
- 申請先は施設を管轄する保健所。手数料は 16,000〜19,000 円(地域差あり)、審査期間は 10〜21 日(目安 2〜3 週間)
- 2021 年 6 月の食品衛生法改正で「喫茶店営業許可」は廃止・統合。すべて「飲食店営業許可」として申請
- 申請前の最重要事項:工事前の保健所への事前相談と食品衛生責任者の早期確保
- 有効期限(多くは 5 年)の更新を怠ると無許可営業扱い。期限はカレンダーに必ず記録を
- 無許可営業は 2 年以下の拘禁刑または 200 万円以下の罰金(食品衛生法第 82 条)
- 2021 年 6 月から HACCP に沿った衛生管理が義務化。衛生管理計画書の作成・記録が必要
- 取得後は 営業許可証と食品衛生責任者プレートの掲示義務あり
書類準備と事前相談に不安がある場合 飲食店の開業スケジュールは、保健所との事前相談・施設基準の適合・書類の揃え方など複数の工程が重なります。行政書士への相談は書類作成代行だけでなく、施設基準のチェックや自治体ごとの差異の把握にも有効です。初期費用の節約より、開業遅延のリスク回避を優先する場合は検討してみてください。
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2026年4月21日