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美容室の開業ガイド|美容師免許だけでは開業できない理由と全手続き
美容室の開業には美容師免許の取得に加え、保健所への美容所開設届出(手数料16,000〜18,000円)と構造設備基準の現地検査が必要。届出提出から確認証交付まで約1〜2週間。
この記事でわかること
美容室の開業を検討している方向けの手続きガイドです。
- 美容師免許だけでは開業できない理由:保健所の美容所開設届出と構造設備基準の検査が別途必要
- 開設届の手数料:16,000〜18,000円(都道府県・市区町村により異なる)
- 届出から確認証交付・営業開始まで:最短1〜2週間
- 必要書類(個人・法人別)、構造設備基準のチェックポイント
- 管理美容師の選任が必要になる条件(常時2名以上のスタッフがいる場合)
- 消防の防火対象物使用開始届出など、開業前に忘れがちな関連手続き
- よくある失敗パターン5選と対策
美容所開設届出が必要なケース・不要なケース
■ 届出が必要なケース(美容師法第11条)
- 美容室・ヘアサロンを新規に開設する場合
- まつげエクステンション・まつげパーマの施術サロンを開設する場合
- ヘアセット・着付け専門店など美容行為を業として行う施設を開設する場合
- 既存の美容所を移転・建て替えする場合(新規開設届が必要)
- 既存の美容所を譲り受けて経営を引き継ぐ場合
重要 開設届を出さずに営業を開始すると、30万円以下の罰金(美容師法第18条第2号)の対象となります。確認証が交付されてから営業を開始してください。
■ 美容所開設届が不要なケース
- 理容行為(カミソリによる顔そり等)のみを行う施設(→ 理容所の届出が必要)
- ネイルサロン(美容師法上の美容行為に該当しない)
- エステティックサロン(美容師法上の美容行為に該当しない施術のみ)
- 出張美容のみで固定施設を持たない場合
注意 まつげエクステンションは2008年に「美容行為」と明示されました。まつエク専門店も美容所開設届が必要です。
美容室・関連業種の許認可ページ
開設届が受理されない・営業停止になる欠格事由
以下のいずれかに該当する場合、美容所の開設届出が受理されない、または開設後に閉鎖命令を受ける可能性があります。
① 美容師免許を持つ者が在籍していない 美容師法第11条の2により、美容所には美容師の免許を持つ者のみが美容の業を行えます。無資格者による施術は禁止です。
② 構造設備基準を満たしていない 採光照度(100ルクス以上)・洗場・消毒設備・専用洗髪設備など、保健所が定める構造設備基準を満たしていない場合、確認証が交付されません。
③ 届出内容に虚偽がある 虚偽の届出は30万円以下の罰金(美容師法第18条第2号)の対象。開設者情報・施設情報は正確に記入してください。
④ 閉鎖命令歴がある 過去に美容師法違反で閉鎖命令(第15条)を受けた施設で同じ違反を繰り返した場合、再度の閉鎖命令対象となります。
重要 美容師免許のない者(見習い・アルバイトを含む)に美容行為を行わせることも禁止されています(美容師法第11条の2)。
申請前の準備
美容師免許の取得確認
美容所の開設者自身が美容師免許を持つ必要はありませんが、施設内で施術を行うスタッフ全員が美容師免許を持っていることが必要です(美容師法第11条の2)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 免許の種類 | 厚生労働大臣が認定する「美容師」免許 |
| 取得方法 | 厚生労働大臣指定の美容師養成施設を卒業 + 美容師国家試験合格 |
| 管理美容師 | 常時2名以上の美容師が従事する場合は、管理美容師修了証書が必要 |
ポイント 開設者が美容師免許を持たない経営者(投資家・法人)の場合でも、施術スタッフが有資格者であれば開業できます。ただし開設届の提出義務は開設者にあります。
構造設備基準の確認と施設整備
保健所の構造設備検査に合格しなければ確認証は交付されません。主な基準項目は以下のとおりです。
| 設備項目 | 基準 |
|---|---|
| 採光照度 | 100ルクス以上を保てる照明・採光 |
| 洗場・消毒所 | 設置必須(独立したスペースが必要) |
| 専用洗髪設備 | シャンプー台(洗髪専用シンク)が必要 |
| セット皿 | セット椅子1脚につき1枚以上 |
| 汚物箱・毛髪箱 | ふた付きのものを設置 |
| 消毒設備 | 消毒済み器具と未消毒器具を区分保管できる設備 |
| 床材質 | 清掃しやすい材質(タイル・コンクリート・リノリウム等) |
注意 工事着工前に保健所の「事前相談」を受けることを強くお勧めします。工事完了後に基準不適合が発覚すると、再工事が必要になり開業が大幅に遅延します。
管轄保健所への事前相談
施設の設計図面(平面図・付近見取図)を持参して、管轄の保健所に事前相談を行います。保健所担当者から構造設備基準への適合確認と、必要書類のリストを受け取ります。
ポイント 事前相談は原則無料です。開設届の提出・検査スケジュールについても事前に確認できます。
必要書類一覧(個人・法人共通)
保健所に提出する書類は以下のとおりです(保健所ごとに様式が異なる場合があります。事前に管轄保健所で確認してください)。
| 書類 | 詳細 |
|---|---|
| 美容所開設届 | 保健所指定の書式(窓口またはウェブからダウンロード) |
| 施設の構造設備概要書 | セット椅子数・作業所面積・消毒設備の有無等を記入 |
| 施設平面図 | 縮尺付きで作業所・洗場・消毒所の位置を明示 |
| 付近見取図 | 施設の所在地を示す地図(A4 1枚程度) |
| 美容師免許証の写し | 施術に従事するスタッフ全員分 |
| 従業者の健康診断書 | 3ヶ月以内に受診したもの(結核・皮膚疾患の検査項目が必要) |
| 管理美容師修了証書の写し | 常時2名以上の美容師が従事する場合のみ |
■ 法人が開設者の場合の追加書類
| 書類 | 詳細 |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 3ヶ月以内に法務局から取得 |
| 法人の定款(写し) | 事業目的に美容業が含まれていること |
注意 健康診断書は「結核」「皮膚疾患(その他厚生労働大臣が指定する伝染性疾患)」の検査項目が含まれているものが必要です。通常の健康診断書(定期健康診断)では要件を満たさない場合があります。

構造設備概要書・平面図の重要記入ポイント
構造設備概要書と施設平面図は保健所の現地検査の基準資料になります。以下の記入ミスが多いため注意してください。
① セット椅子数と作業所面積の不整合 セット椅子数に対して作業所面積が不足していると、採光・換気・消毒所の要件を同時に満たせない場合があります。
② 消毒所の場所を平面図に記入していない 「消毒済み器具の保管場所」と「未消毒器具の保管場所」を区分して平面図に記入しないと、基準不適合と判断されます。
③ 洗場と消毒所が作業所と区画されていない 美容師法施行規則では洗場・消毒所を「作業所と区画」することが求められます。仕切り・カーテンなど物理的な区画が必要です。
重要 平面図に寸法(縮尺)を必ず記入してください。無縮尺の平面図は受理されない場合があります。
④ 採光照度の確認を怠る 照明器具の配置と照度(100ルクス以上)を施設完成後に実測して確認するのが確実です。特に奥まったセット椅子エリアは照度不足になりがちです。

美容室開業の申請の流れ(STEP1〜6)
STEP 1:保健所への事前相談(開業予定日の1〜2ヶ月前)
施設の設計図面と平面図案を持参して、管轄保健所に事前相談を行います。構造設備基準への適合確認と、必要書類リストを受け取ります。費用は無料です。
STEP 2:施設工事・設備整備(着工〜完成)
事前相談の指導に基づき、構造設備基準を満たす施設を整備します。洗場・消毒所の設置、採光照度の確保、セット皿・消毒設備の準備を完了させます。
STEP 3:開設届・必要書類の準備と提出(営業開始の1〜2週間前)
美容所開設届・構造設備概要書・平面図・美容師免許証の写し・健康診断書を揃えて保健所に提出します。法人の場合は登記事項証明書も必要です。届出時に検査手数料16,000〜18,000円を現金で納入します。
STEP 4:保健所による構造設備検査(届出後1〜2週間以内)
保健所職員が施設に出向き、構造設備基準への適合を現地確認します。検査前に設備が整っていることを確認してください。
STEP 5:確認証(検査確認済証)の交付
検査合格後、保健所から「検査確認済証」が交付されます。この証明書を受け取るまで営業を開始できません。
STEP 6:関連手続きと営業開始
確認証交付後に営業を開始できます。なお、店舗の内装工事をしていた場合は消防の防火対象物使用開始届出(使用開始7日前まで)も別途提出が必要です。
費用と審査期間のまとめ
| 費用項目 | 金額(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 美容所開設届の検査手数料 | 16,000〜18,000円 | 都道府県・市区町村により異なる |
| 美容師国家試験受験料 | 25,000〜30,000円 | 免許未取得の場合 |
| 内装工事費(構造設備整備) | 100〜500万円以上 | 施設規模・立地による |
| 消防届出(防火対象物使用開始届) | 無料 | 管轄消防署へ提出 |
審査・手続きのタイムライン
- 事前相談〜施設完成:1〜3ヶ月(工事規模による)
- 開設届提出〜確認証交付:1〜2週間(保健所のスケジュールによる)
- 確認証交付後:即日営業開始可能
ポイント 繁忙期(年度末・年度初め)は保健所の検査待ちが発生することがあります。開業予定日の逆算で2週間以上の余裕をもって届出を提出してください。
美容所の開設届について詳しく見る
よくある失敗パターン5選
美容室の開業手続きで多くの人が陥る失敗パターンです。
① 美容師免許なしで開業準備を進める 施術スタッフの免許取得前に内装工事・開設届提出を進め、免許取得の遅延で開業日がずれ込むケースがあります。免許取得の目処を立ててから物件を契約することが重要です。
② 事前相談なしで工事を進め、検査で基準不適合になる 消毒所の面積不足・採光照度の不足・洗場の区画不備など、完成後に発覚する構造設備問題は再工事コストが高額になります。保健所への事前相談は必須です。
重要 構造設備基準の「最低採光照度100ルクス」は、セット椅子すべての位置で達成する必要があります。照明計画は設計段階で照度計算を行ってください。
③ 管理美容師の選任を忘れる 常時2名以上の美容師が従事する施設では管理美容師の選任が義務です(美容師法第12条の2)。管理美容師になるには都道府県が開催する「管理美容師資格認定講習会」を修了する必要があります。
④ 確認証交付前に営業を開始する 「内装が完成したから」「友達だから」という理由で確認証交付前に施術を行うと、無届営業として30万円以下の罰金の対象になります。確認証を受け取るまで一切の施術は禁止です。
⑤ 従業者の健康診断書の検査項目が不足している 開設届に添付する健康診断書には「結核」「皮膚疾患(伝染性疾患)」の検査項目が必要です。通常の雇用時健診では項目が不足することがあります。保健所に確認の上、指定の検査項目が含まれる健康診断を受診してください。
消防の防火対象物使用開始届出
美容室として店舗の内装工事(テナント改装を含む)を行った場合、消防の「防火対象物使用開始届出」が別途必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出先 | 管轄の消防署 |
| 提出期限 | 使用開始7日前まで |
| 必要書類 | 防火対象物使用開始届出書・施設の平面図・消防設備の配置図 |
| 費用 | 無料 |
注意 内装工事が「消防法上の工事」に該当する場合(間仕切りの増設・天井の改修等)は、使用開始届とは別に「工事中の消防計画書」の提出が必要になることがあります。管轄消防署に事前確認を行ってください。
その他の関連手続き
- 深夜酒類提供(バー業態等):アルコール提供を深夜0時〜翌6時に行う場合は「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」が必要(ヘアサロンのみの場合は不要)
- 有料職業紹介・スタッフ派遣:スタッフを派遣・紹介する場合は厚生労働省への許可が必要
- 開業届(確定申告):個人事業主として開業する場合は税務署への「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業後1ヶ月以内)
開設後の義務(変更届・廃止届・掲示義務・衛生管理)
美容所として確認証の交付を受けた後も、以下の継続義務があります。
■ 変更届(美容師法第11条第3項) 以下の変更があった場合は、変更後10日以内に保健所に変更届を提出する必要があります。
- 開設者の氏名・住所の変更
- 施設の名称・所在地の変更
- 構造設備の主要な変更(内装改修等)
- 管理美容師の変更
■ 廃止届(美容師法第11条第3項) 美容所を廃止する場合は、廃止後10日以内に保健所に廃止届を提出する必要があります。
■ 掲示義務(美容師法施行規則) 美容所には以下を見やすい場所に掲示する義務があります:
- 従業者全員の美容師免許証の写し(または原本)
- 料金表(お客様が見やすい場所に)
- 衛生措置に関する事項(消毒方法・清潔保持等)
■ 定期的な衛生検査・健康診断
- 美容師(従業者)の健康診断:少なくとも年1回(伝染性疾患の有無を確認)
- 器具・タオル等の消毒:毎日実施。消毒方法は美容師法施行規則の規定に従う
- 保健所による立入検査:定期的に実施(抜き打ち検査もあり)

まとめ
美容室の開業には、美容師免許の取得だけでなく保健所への「美容所開設届出」と構造設備基準の現地検査合格が必要です。開設届の手数料は16,000〜18,000円、確認証の交付まで1〜2週間程度かかります。
開業準備の流れをまとめると:
- 保健所への事前相談(施設設計段階で)
- 構造設備基準を満たす施設整備
- 開設届・必要書類の提出(開業予定日の1〜2週間前)
- 保健所の構造設備検査
- 確認証の交付 → 営業開始
常時2名以上の美容師が従事する場合は管理美容師の選任も忘れずに行ってください。内装工事を伴う場合は消防の防火対象物使用開始届出(使用開始7日前まで)も必要です。
まとめ 手続きの流れや必要書類の詳細は保健所によって異なる場合があります。開業準備の早い段階で管轄保健所に相談することが、スムーズな開業への近道です。書類準備や手続きに不安がある場合は、生活衛生関係営業に詳しい行政書士への相談も有効です。
美容・施術系開業ガイドの比較
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2026年6月20日
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