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一般貨物自動車運送事業の申請方法|必要書類・費用・審査期間まとめ
一般貨物自動車運送事業の許可申請は申請手数料無料だが、トラック5台以上・法令試験合格・500万円以上の自己資金など5つの許可基準をすべて満たす必要がある。審査期間は3〜6ヶ月。
この記事でわかること
- 一般貨物自動車運送事業許可が必要なケース・不要なケースの判断基準
- 申請に必要な5つの許可基準(車両・営業所・車庫・人員・資金)
- 必要書類の全リストと記入ミスが起きやすい箇所
- 申請から許可取得までの流れ(標準3〜6ヶ月)と法令試験対策
- 申請費用は無料だが初期投資は平均500万円〜1,000万円以上かかる理由
- 許可取得後に必要な義務(運輸開始届・標準的運賃届出・帳簿記録・掲示義務)
一般貨物・特定貨物・軽貨物の違い|どの許可が必要か
貨物運送事業は大きく3種類に分かれます。自分のビジネスモデルに合った区分を選ぶことが、申請の第一歩です。
| 項目 | 一般貨物自動車運送事業 | 特定貨物自動車運送事業 | 貨物軽自動車運送事業 |
|---|---|---|---|
| 手続き種別 | 許可制 | 許可制 | 届出制 |
| 車両種類 | 普通・大型トラック | 普通・大型トラック | 軽自動車・バイクのみ |
| 最低車両台数 | 5台以上 | 1台以上 | 1台以上 |
| 荷主の範囲 | 不特定多数OK | 特定の1社専属のみ | 不特定多数OK |
| 法令試験 | あり(正答率80%以上) | あり | なし |
| 審査期間 | 3〜6ヶ月 | 2〜4ヶ月 | 届出後即日〜 |
| 資金要件 | 所要資金全額の自己資金(目安500万円〜) | 所要資金の自己資金(一般より少額) | なし |
| 申請先 | 地方運輸局 | 地方運輸局 | 運輸支局 |
判断基準 「不特定多数の荷主からの仕事を取りたい」→ 一般貨物。「特定の元請け1社専属で運ぶ」→ 特定貨物。「軽バンやバイクで配送したい」→ 貨物軽自動車(届出のみ)。
このページでは3種類のうち**一般貨物自動車運送事業(許可制)**の申請手順を解説します。
一般貨物自動車運送事業許可が必要なケース・不要なケース
貨物自動車運送事業法第3条に基づき、以下のいずれかに該当する場合に許可が必要です。
許可が必要なケース
- 他人の荷物を有償でトラック(軽自動車・二輪を除く三輪以上)を使用して運送する
- 不特定多数の荷主から運送委託を受けて宅配・引越し・産廃等を継続的に行う
- 特別積合せ貨物運送(拠点間の定期積合せ輸送)を行う
許可が不要なケース(ただし別の手続きが必要な場合あり)
- 自社の荷物だけを自社トラックで運ぶ場合 → 特定貨物自動車運送事業(許可制)
- 軽自動車・バイクのみを使用する場合 → 貨物軽自動車運送事業(届出制)
- 有償の貨物運送を行わない自家用輸送
重要 「仕事として荷物を運んでいるだけ」でも、報酬を受け取っていれば許可が必要です。無許可での営業は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。
引越し業の許認可
取得できない人(欠格事由)
以下のいずれかに該当する場合、許可を受けることができません(貨物自動車運送事業法 第5条)。
- 1年以上の拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行が終わった日から2年を経過しない者
- 貨物自動車運送事業法・道路交通法等の違反により許可の取消しを受け、取消し日から2年を経過しない者
- 申請前2年以内に輸送の安全を確保するために支払う義務を怠った事実がある者
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者(親権者が欠格事由に該当する場合を含む)
- 法人の場合、役員のうちに上記のいずれかに該当する者がいる法人
- 財産的基礎を有しない者(所要資金の全額以上の自己資金を確認できない場合)
申請前の準備
一般貨物自動車運送事業の許可取得は「5つの許可基準」をすべて満たすことが前提です。申請前に以下を一つずつ確認してください。
① 車両要件(最低5台以上)
申請時点で、申請者が使用権限を持つ事業用トラックを最低5台確保する必要があります。
- 使用権限の証明: 車検証(所有)または賃貸借契約書・リース契約書(使用)
- 軽自動車・バイクは台数にカウント不可
- 許可申請後に車両を確保する場合は、台数が揃わないと「運輸開始前確認」が通りません
ポイント 申請時点では車両の確保が「使用権限の証明」で足ります。購入後でも賃貸・リースでも構いません。ただし、申請前に実際に乗務員が運転できる状態にしておくことが必要です。
② 営業所・休憩施設の確保
- 農地法・都市計画法・建築基準法等に違反しない場所であること
- 使用権限(所有または賃貸)を証明できること(不動産登記簿謄本または賃貸借契約書)
- 適切な広さの事務スペース・休憩室・仮眠室を備えること(乗務員の労働条件を満たす面積)
③ 車庫(自動車車庫)の確保
- 営業所に併設または半径2km以内(地方運輸局によって異なる場合あり)に設置
- 道路使用に支障がない広さ(車両全台数が収容できる面積。有蓋・無蓋の別も申請書に記載)
- 農地・市街化調整区域への設置は原則不可(事前に自治体へ確認必須)
注意 車庫は「収容能力」が申請書に明記されます。後から台数を増やす場合は変更認可が必要です。最初から余裕のある広さを確保することを推奨します。
④ 人員の確保(運行管理者・整備管理者・乗務員)
- 運行管理者: 国家試験(運行管理者試験)の合格者を最低1名選任。試験は年2回実施(3月・8月)。合格率は**約30〜40%**程度
- 整備管理者: 自動車整備士技能検定合格者または2年以上の整備経験を有する者
- 乗務員: 大型・中型・普通免許を保有し、適性診断受診済みの者(申請時に乗務員名簿の提出が必要)
⑤ 資金計画(所要資金の確保)
申請時に、所要資金(車両費・施設費・保険料・運転資金等)の全額以上の自己資金を銀行残高証明書で証明する必要があります。目安は最低500万円〜1,500万円程度(車両台数・施設規模による)。
- 残高証明書は申請受理後3ヶ月以内の発行日のものが有効
- 自己資金が確認できない場合は申請が受理されません(却下)
必要書類一覧(個人事業主・法人共通)
地方運輸局への申請に必要な書類の全リストです。申請書様式は各地方運輸局のウェブサイトまたは窓口で入手できます。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 一般貨物自動車運送事業経営許可申請書 | 事業計画を記載した申請書本体。地方運輸局様式 |
| 事業計画書 | 路線・区域・輸送力を記載(様式あり) |
| 施設関係書類 | 営業所・車庫の登記謄本または賃貸借契約書・使用承諾書 |
| 施設の図面 | 営業所・休憩施設・車庫の見取図(方位・寸法入り) |
| 車両関係書類 | 車検証の写し(所有)またはリース・賃貸借契約書 |
| 資金計画書 | 所要資金の全額以上を証明する残高証明書(申請時直近のもの) |
| 運行管理者証明書 | 運行管理者試験合格証明書の写し |
| 整備管理者証明書 | 資格証または実務経験証明書 |
| 乗務員名簿・運転免許証写し | 全乗務員の氏名・免許種別・適性診断受診記録 |
| 法令遵守誓約書 | 申請者が署名・押印 |

法人申請の場合の追加書類
法人(株式会社・合同会社等)で申請する場合は、以下の書類を追加で提出します。
- 登記事項証明書(法人登記簿謄本): 3ヶ月以内に発行されたもの
- 定款の写し: 目的欄に「一般貨物自動車運送事業」またはそれに類する記載があること
- 役員全員の履歴書: 欠格事由に該当しないことを確認するため
- 株主名簿または出資者名簿: 大株主(出資比率10%以上)の欠格事由確認のため
重要 法人の場合、常勤役員(代表取締役・業務執行役員)が法令試験を受験・合格する必要があります。個人事業主の場合は申請者本人が受験します。法令試験に不合格の場合、申請は却下されます(再申請可能)。
申請書の重要項目と記入ミスが起きやすい箇所
申請書には多数の欄があり、記入ミスや添付書類の不足で補正が発生すると審査期間が延びます。以下の箇所を特に注意してください。
① 事業計画(第2面)
- 「車庫の収容能力」欄: 有蓋・無蓋の別と面積を必ず記載(空欄不可)
- 「路線(区域)」の記載方法: 区域輸送の場合は「○○都道府県内及び隣接県」等の記載が必要
② 施設関係書類
- 車庫の「位置図」と「平面図」は縮尺入りで作成
- 賃貸借契約書は申請日時点で有効なもの(期限切れは不可)
③ 資金計画書
- 「所要資金」の計算根拠を明示(車両費・施設費・運転資金の内訳)
- 残高証明書の「発行日」が古すぎる場合は再取得が必要
④ 乗務員関係
- 運転免許証は表裏の写しが必要(片面だけは不可)
- 適性診断受診記録は受診機関が発行した証明書を添付

申請の流れ(STEP1〜7)
STEP 1:事前相談・要件確認(目安:1〜2ヶ月)
管轄の地方運輸局または運輸支局に事前相談します。5つの許可基準(車両・施設・人員・資金等)を確認し、不足があれば事前に整備します。この段階での相談は無料で、書類の不備による却下を防ぐために推奨されています。
STEP 2:施設・車両・人員の確保(目安:1〜3ヶ月)
- トラック5台以上の使用権限(購入・リース・賃貸)を確保
- 営業所・車庫・休憩施設の確保と使用権限の書類化
- 運行管理者試験合格者・整備管理者・乗務員の確保
- 残高証明書の取得(所要資金以上の自己資金を証明)
STEP 3:申請書類の作成・収集(目安:2〜4週間)
許可申請書・事業計画書・施設関係書類・資金計画書・人員関係書類を作成・収集します。書類は地方運輸局の様式に従って作成し、添付書類の最新性(発行日)を確認します。
STEP 4:地方運輸局へ申請(申請日)
管轄の地方運輸局(または運輸支局経由)に申請書類一式を持参・提出します。申請手数料は無料です。受理後、補正が必要な場合は窓口から連絡が来ます。
STEP 5:法令試験の受験・合格(申請受理後 1〜2ヶ月)
申請受理後、申請者(法人は常勤役員)に法令試験の受験通知が届きます。試験は50問の択一式で、正答率80%以上が合格基準です。不合格の場合は1回再受験が可能(合計2回まで)。再度不合格の場合は申請が却下されます。
STEP 6:審査・許可証受領(審査開始から 3〜6ヶ月)
法令試験合格後、書類審査が行われます。審査期間は標準3〜6ヶ月(地方運輸局の混雑状況による)。許可証を受領したら、事業を開始できます。
STEP 7:運輸開始届の提出(事業開始後 1年以内)
許可証受領後、実際に事業を開始したら1年以内に「運輸開始届出書」を地方運輸局に提出します。この届出を怠ると行政処分の対象になります。
費用と審査期間のまとめ
| 項目 | 自分で申請 | 行政書士に依頼 |
|---|---|---|
| 申請手数料 | 無料 | 無料 |
| 行政書士報酬 | なし | 30万〜60万円程度 |
| 審査期間 | 3〜6ヶ月 | 3〜6ヶ月(変わらず) |
| 初期投資 | 500万〜1,500万円以上 | 同左 |
申請手数料は無料ですが、以下の初期費用が別途必要です:
- 車両費: トラック5台 × 100万〜500万円 = 500万〜2,500万円(新車購入の場合。中古なら200万〜600万円程度)
- 施設費: 車庫・営業所の敷金・保証金・改修費(地域・規模による)
- 保険料: 自賠責保険・任意保険(大型トラック1台あたり年30万〜50万円程度)
- 運転資金: 人件費・燃料費・維持費(6ヶ月分相当を確保することが推奨)
ポイント 行政書士への依頼費用は30万〜60万円が相場ですが、書類作成の専門知識が必要な一般貨物許可では、申請件数・複雑さによって変動します。法令試験の対策支援を含む事務所を選ぶと安心です。
許認可の詳細を確認する
よくある失敗パターン5選
一般貨物自動車運送事業の許可申請で実際に起きやすい失敗を5つまとめました。
① 法令試験の対策不足で不合格
法令試験は「貨物自動車運送事業法」「道路交通法」「労働基準法」等から50問出題されます。対策なしで受験すると不合格になるケースが多く、2回不合格で申請却下です。最低1〜2ヶ月の学習期間を確保してください。
② 車庫の用途地域違反
「借りられる車庫が見つかった」と喜んで契約したが、市街化調整区域や農地で使用不可だったケース。事前に自治体の都市計画窓口で確認が必要です。
③ 残高証明書の発行日が古い
残高証明書には有効期限が設けられており、審査中に期限切れになると再取得が必要です。申請受理後の審査中も証明力が維持できるよう、申請直前に取得することを推奨します。
④ 運行管理者試験の合格者が離職
申請後に選任した運行管理者が退職・異動したケース。許可申請中は運行管理者の変更が難しく、新たな合格者を探す間、審査が止まります。
⑤ 申請後の資金不足
残高証明書で要件を満たしたが、審査期間中に事業資金を使い込み、運輸開始前の資金確認で要件割れするケース。申請後も資金水準を維持してください。
特殊ケース:貨物軽自動車・特定貨物・霊柩車
軽自動車・バイクを使う場合(貨物軽自動車運送事業)
軽自動車やバイクで他人の荷物を有償で運ぶ場合は、一般貨物ではなく**貨物軽自動車運送事業(届出制)**になります。許可申請は不要で、管轄の運輸支局への届出のみで開業できます。いわゆる「軽貨物ドライバー」はこちらです。
特定の荷主の荷物だけを運ぶ場合(特定貨物自動車運送事業)
特定の1社(荷主)との専属契約で、その荷主の荷物だけを運ぶ事業形態は「特定貨物自動車運送事業」として別途許可が必要です。要件は一般貨物より緩和されていますが、荷主以外の荷物を運ぶことは禁止されています。
霊柩車を使って遺体を搬送する場合
遺体(遺骨)の搬送には一般貨物自動車運送事業許可が必要です。霊柩車専門の葬儀業者もこの許可を取得しています。
注意 「自家用トラックを使って友人を手伝う」程度でも、報酬を受け取れば「有償運送」になり許可が必要です。「一回だけ」でも原則として違法になります。
許可取得後の義務
許可を取得したら終わりではありません。以下の義務を継続的に履行する必要があります。
運輸開始届(事業開始後1年以内・必須)
許可証受領後、実際に事業を開始したら1年以内に「運輸開始届出書」を地方運輸局に提出。事業を開始しないまま届出しない場合、許可が失効するリスクがあります。
標準的運賃の届出(任意だが推奨)
国土交通省が告示した標準的運賃を採用する場合、管轄の運輸支局に「運賃料金届出書」を提出します(任意)。標準的運賃を届け出ることで、適正な運賃交渉の根拠となります。
変更届・変更認可(随時)
- 営業所・車庫の移転、車両台数の増減 → 変更認可申請(事前申請が必要)
- 役員の変更、代表者の変更 → 変更届出(変更後30日以内)
帳簿記録の義務
- 運転日報: 乗務員ごとの乗務記録(1年間保存)
- 運行記録計(タコグラフ): 車速・走行距離の記録(装着義務あり / 記録は1年間保存)
- 事業報告書・輸送実績報告書: 毎年4月1日〜翌年3月31日の実績を7月10日までに提出
掲示義務
- 許可証: 営業所の見やすい場所に掲示
- 運賃料金表: 利用者が閲覧できる場所に掲示
- 安全管理規程(40両以上の事業者): 制定・届出が必要
重要 帳簿の不保存・虚偽記録は100万円以下の罰金の対象です。また、法令試験合格後も定期的な運行管理者の研修受講が必要です。

まとめ
一般貨物自動車運送事業の許可申請は、5つの許可基準(車両・施設・人員・資金・法令遵守)をすべて満たしてから申請する必要があります。審査期間は3〜6ヶ月かかり、その間に法令試験の合格も必要です。
申請手数料は無料ですが、トラック5台以上の確保・施設費・運転資金を含めると初期投資は500万円以上が一般的です。
自分で申請できるか迷っている方は、まず管轄の地方運輸局に無料で事前相談することをお勧めします。法令試験の出題範囲・書類の作成方法・要件の確認を一度プロに整理してもらうだけで、申請の成功率が大きく上がります。
書類の多さや法令試験の対策に不安がある場合は、貨物運送事業を専門とする行政書士への相談も検討してみてください。相場は30万〜60万円程度ですが、申請の確実性と時間節約を考えると費用対効果は高い選択肢です。
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許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2026年4月27日
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