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ペット輸出入の動物検疫手続きガイド|犬・猫の係留期間・必要書類・申請方法を解説
ペット(犬・猫)の日本への輸入・日本からの輸出に必要な動物検疫手続きを解説。輸入検査は無料・条件充足時の係留は最短約1時間〜最大180日。マイクロチップ・不活化ワクチン2回・抗体価検査の3要件と、事前届出(到着40日前)・輸出申請(出発10日前)のポイントを網羅。
この記事でわかること
犬・猫などペットを海外から日本に連れて帰る(輸入)、または日本から海外へ連れていく(輸出)際には、農林水産省動物検疫所での検疫手続きが法律で義務付けられています。
この記事でわかること:
- 輸入検査の係留期間:条件充足時は最短約1時間、条件不足時は最大180日間
- 検査費用:輸入検疫検査は無料(係留施設の飼養管理費は自己負担)
- 事前準備の3要件:マイクロチップ装着・狂犬病ワクチン2回接種・抗体価検査
- 事前届出の締切:到着40日前までに動物検疫所へ提出必須
- 輸出手続き:出発10日前までにNACCS経由で申請し、英文検疫証明書を取得
- よくある失敗パターン5つと取得後の継続管理義務
動物検疫とは?どのような動物が対象か
動物検疫は、狂犬病や家畜伝染病などの疾病が日本に侵入することを防止するための制度です。農林水産省の動物検疫所(AQS)が、輸出入時に動物を検査します。
検疫対象となる主な動物
| 区分 | 対象 |
|---|---|
| 伴侶動物 | 犬・猫 |
| 家畜 | 牛・馬・豚・羊・山羊など |
| 家きん | 鶏・アヒル・七面鳥など |
| その他 | 兎・ミツバチなど |
この記事では特にペット(犬・猫)の輸出入手続きに焦点を当てて解説します。
根拠法令
- 狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)
- 家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)
両法に基づき、輸入検疫が義務付けられており、手続きを経ずに動物を輸入した場合は没収・廃棄の対象となります。
検疫未申請・違反時のペナルティ
動物検疫を受けずに輸入した場合、または虚偽の書類を提出した場合は、以下のペナルティが適用されます。
| 違反内容 | ペナルティ |
|---|---|
| 輸入届出の不提出・未申請 | 動物の没収・廃棄 |
| 虚偽申告・偽造書類の使用 | 3年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
| 係留中の無断持出し | 同上 |
個人がSNSや非公式ルートで犬・猫を輸入しようとして書類を偽造するケースが問題化しています。正規の手続きを必ず踏んでください。
重要 輸入検疫を受けずに入国させた動物は、法律により没収・廃棄の対象となります。動物の命を守るためにも、正規の手続きが不可欠です。
輸入検疫の概要:仕出国によって手続きが異なる
日本への犬・猫の輸入手続きは、仕出国・地域が「指定地域」か「指定地域以外」かで大きく異なります。
指定地域(狂犬病清浄国・地域)
「指定地域」とはオーストラリア・ニュージーランド・アイスランド・フィジー・ハワイなど、農林水産大臣が指定する狂犬病の清浄国・地域です。事前の要件を満たしていれば、到着後の係留期間は概ね1時間程度と短縮されます。
指定地域以外(非清浄国)
韓国・中国・アメリカ本土・EU各国など、日本の「指定地域」に該当しない国・地域からの輸入は、要件の充足状況により係留期間が最大180日間となる場合があります。
重要 仕出国の「指定地域」の確認は農林水産省動物検疫所(AQS)の公式サイト(maff.go.jp/aqs)で行ってください。指定国・地域は定期的に更新されます。
検疫対象疾病
| 疾病 | 対象動物 |
|---|---|
| 狂犬病 | 犬・猫(共通) |
| レプトスピラ症 | 犬のみ |



申請前の準備:3つの要件を輸入前に確認
輸入検疫の係留期間を最短にするためには、出国前に以下の3要件をすべて満たす必要があります。準備が不十分だと最大180日の係留となるため、余裕をもって準備を始めることが重要です。
①マイクロチップの装着(ISO規格)
- 必須要件:ISO 11784/11785規格のマイクロチップを皮下に装着
- 未装着の場合:「個体識別措置が講じられていない」とみなされ係留期間が180日間となります
- 装着は獣医師が行います。装着後は読取り機で番号を確認してもらうこと
- 確認方法:かかりつけ獣医師または「読取り機を持っている動物病院」で確認可能
②狂犬病ワクチン接種(不活化ワクチン)
- 必須:不活化ワクチンまたは遺伝子組換え型のみ有効(生ワクチンは認められない)
- 2回接種が必要:1回目から30日以上間隔を空けて2回目を接種
- 生後91日齢未満は無効:母親の移行抗体の影響で有効な接種と認められないため注意
重要 生ワクチンで接種した場合は、不活化ワクチンで接種し直す必要があります。海外の獣医師に接種を依頼する際は、必ずワクチンの種類を確認してください。
③抗体価検査(血清検査)
- 目的:狂犬病ワクチンの免疫獲得を確認すること
- 基準値:0.5 IU/mL以上
- 基準未達の場合:再検査または再接種が必要。基準達成日が待機0日目となります
- 検査機関:農林水産大臣が指定する検査機関で実施
- 費用:輸入者の自己負担(数万円程度)
輸入に必要な書類一覧
輸入検疫に必要な書類を事前に準備します。書類の不備は係留期間の延長に直結するため、チェックリストで確認してください。
| 書類名 | 提出タイミング | 備考 |
|---|---|---|
| 輸入届(事前届出) | 到着40日前まで | 便名未定でも「予定便名」で提出可能 |
| 輸出国政府発行の証明書 | 搭載10日前以内に発行されたもの | 政府機関(獣医検査当局)が発行 |
| マイクロチップ証明書 | — | ISO規格番号を記載 |
| 狂犬病ワクチン接種証明書(2回分) | — | ワクチン種別・接種日・接種獣医師名を明記 |
| 抗体価検査結果証明書 | — | 基準値0.5 IU/mL以上のもの |
| (レプトスピラ症ワクチン証明書) | — | 犬のみ・仕出国によって必要 |
重要 事前届出は「到着予定日の40日前まで」が締切です。届出が間に合わなかった場合は検疫期間が大幅に延長されます。旅行・帰国の予定が決まったら、すぐに動物検疫所への届出を行ってください。
輸入手続きの流れ(STEP1〜5)
STEP 1:仕出国・地域の確認(輸入準備開始)
農林水産省動物検疫所(AQS)の公式サイトで、ペットのいる国・地域が「指定地域」か「指定地域以外」かを確認します。手続きが大きく異なるため、最初に確認することが重要です。
STEP 2:マイクロチップ装着・ワクチン接種・抗体価検査(輸入の6か月〜1年前から)
抗体価検査の結果が出るまでに時間がかかるため、余裕をもって準備を開始します。マイクロチップ装着→ワクチン2回接種(30日以上間隔)→抗体価検査の順で実施。指定地域以外からの輸入では、抗体価検査の基準達成後さらに180日間の待機が必要です。
STEP 3:輸出国政府の証明書取得(搭載10日前以内)
仕出国の政府機関(獣医検査当局)に証明書の発行を依頼します。証明書の有効期間は搭載前10日以内発行のものが対象です。
STEP 4:事前届出(到着40日前まで)
到着予定の空港・港の動物検疫所に、輸入届出書と必要書類を提出します。NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)経由でのオンライン申請も可能です。
STEP 5:到着時の輸入検疫(到着当日)
到着後、動物検疫所の職員による書類確認・個体確認が行われます。すべての要件を満たしていれば、概ね1時間程度で完了します。要件未充足の場合は、180日から経過日数を差し引いた期間の係留となります。
係留期間と費用の目安
係留期間
| 条件 | 係留期間 |
|---|---|
| すべての要件充足(指定地域から) | 概ね1時間程度 |
| すべての要件充足(指定地域以外から) | 最短でも180日間 |
| 要件不足(マイクロチップ未装着等) | 最大180日間 |
係留期間が長い場合でも、面会は可能です(事前予約・時間制限あり)。老齢や既往症がある動物でも短縮・免除はされません。
費用
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 輸入検疫検査 | 無料 |
| 係留施設への輸送費 | 輸入者負担 |
| 係留中の飼養管理費(水道・電気代含む) | 輸入者負担 |
| 獣医師往診費用 | 輸入者負担 |
| 抗体価検査費用 | 輸入者負担(数万円程度) |
重要 検査そのものは無料ですが、係留が長期化すると施設費用が大幅に積み上がります。180日間の係留の場合、数十万円規模の費用になることもあります。事前に見積もりをとることをお勧めします。
動物関連ビジネスの許認可情報
輸出検疫の概要:日本からペットを連れ出す場合
ペットを日本から海外へ連れていく場合も、動物検疫所での輸出検査が必要です。輸出検疫では、日本出国時に英文の**輸出検疫証明書(Export Health Certificate)**が発行され、入国先の国で求められる書類となります。
日本は「指定地域(狂犬病清浄国)」であるため、多くの国への輸出は比較的スムーズに進みます。ただし、入国先の国の要件は各国によって大きく異なります。必ず渡航前に相手国の大使館・領事館または農務省等に確認が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 出発空港の動物検疫所 |
| 申請方法 | NACCS経由またはメール申請 |
| 申請期限 | 検査希望日の10日前まで(羽田空港は2週間前) |
| 取得書類 | 英文の輸出検疫証明書 |
輸出に必要な書類一覧
輸出検疫の申請に必要な書類は以下のとおりです。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 輸出検査申請書 | 農林水産省動物検疫所の書式(PDF/EXCEL)で作成。消せないペンで記入(鉛筆不可) |
| 開業獣医師発行の健康診断書 | 相手国が必要とする場合。個体情報・発行年月日・発行獣医師名・狂犬病予防接種年月日を記載 |
| 相手国指定の証明書類 | ワクチン接種証明・マイクロチップ証明など(相手国ごとに異なる) |
| 委任状 | 代理申請の場合のみ |
書類送付時の注意:メールで書類を送付する場合、添付ファイルの合計は14MBを超えないよう分割して送信してください。
輸出手続きの流れ(STEP1〜5)
STEP 1:相手国の入国条件確認
入国先の国の大使館・農務省・獣医検疫当局に、ペットの輸入に必要な書類・ワクチン・検査要件を確認します。相手国の条件は変更されることがあるため、出発直前にも再確認を行います。
STEP 2:帰国要件の確認(日本に戻る予定がある場合)
海外滞在後に日本に戻る場合は、帰国の輸入検疫に必要な要件も事前に確認します。短期滞在の場合でも輸入検疫は必要です。
STEP 3:動物病院で必要な予防接種・処置を実施
相手国の要件に基づいたワクチン接種・健康診断・マイクロチップ確認を行います。開業獣医師が発行する健康診断書には「個体情報・発行年月日・発行獣医師名・狂犬病予防接種年月日」が記載されている必要があります。
STEP 4:NACCS経由で輸出検査を申請(検査希望日の10日前まで)
NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)または動物検疫所へのメール経由で申請します。検査希望日の10日前までに申請・予約を完了させてください(羽田空港の場合は2週間前)。
STEP 5:出発10日以内に輸出検査を受け、証明書を取得
出発予定の空港の動物検疫所で検査を受け、英文の輸出検疫証明書を取得します。証明書の有効期間に注意し(相手国によって異なる)、出発日から逆算して手続きを行ってください。
よくある失敗パターン5つ
動物検疫の手続きで頻発する失敗パターンを紹介します。これらは係留期間の大幅延長や、最悪の場合ペットの没収につながります。
失敗1:生ワクチンで接種してしまった 日本の動物検疫では生ワクチンは認められません。不活化ワクチン・遺伝子組換え型ワクチンのみ有効です。海外の獣医師に接種を依頼する際は必ずワクチン種別を確認してください。生ワクチン接種後は不活化ワクチンで接種し直す必要があります。
失敗2:事前届出が間に合わなかった(40日前ルール) 輸入届出は到着40日前が締切です。「旅行感覚で連れてきた」ケースで最もよく発生します。長期海外赴任を終えて帰国する際も同様です。長期滞在の場合は出発前から準備を始めてください。
失敗3:マイクロチップがISO規格に適合していない ISO 11784/11785規格以外のマイクロチップは認められません。装着済みでも規格が合わない場合は「未装着」とみなされ180日間の係留となります。装着前に獣医師にISO規格かどうかを確認してください。
失敗4:抗体価検査の基準達成日から180日を数え間違えた 指定地域以外からの輸入では、抗体価検査の基準達成日から180日の待機が必要です。「基準を達成した日が0日目」であるため、日数の数え方に注意が必要です。航空券の予約変更で日程がずれると180日待機が再スタートになるケースもあります。
失敗5:輸出証明書の有効期間切れ 輸出国の政府証明書は「搭載前10日以内」に発行されたものが必要です。書類の準備が早すぎても無効になります。航空会社の予約変更で日付がずれると証明書が無効になるため、フライトが確定してから書類取得のスケジュールを組んでください。
特殊ケース:短期滞在・ペット輸入ビジネス
短期滞在(一時的な海外渡航)の場合
ペットを海外に短期連れ出して日本に戻る場合でも、帰国時の輸入検疫が必要です。農林水産省動物検疫所では「犬、猫の海外短期滞在」に関する案内も用意されています。詳細は動物検疫所に事前相談することをお勧めします。
ペット輸入ビジネス(ブリーダー・輸入業者)の場合
ペットを業として輸入する場合は、動物検疫手続きに加えて第一種動物取扱業の登録(動物の愛護及び管理に関する法律に基づく)も別途必要です。個人の引越しや旅行と異なり、事業としての動物取扱業登録が義務付けられています。
NACCSによるオンライン申請について
輸出入手続きはNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)によるオンライン申請が可能です。NACCSは法人・個人ともに利用できますが、利用には事前の登録が必要です。
取得後の継続管理義務
動物検疫を経て輸入した犬・猫については、以下の継続的な義務があります。
狂犬病予防法に基づく登録・予防接種(犬)
犬を輸入した場合、日本国内での飼育開始後30日以内に市区町村への犬の登録が必要です。また、毎年1回の狂犬病予防接種が義務付けられています。
| 義務 | 内容 | 違反時のペナルティ |
|---|---|---|
| 犬の登録 | 飼育開始後30日以内に市区町村へ登録 | 20万円以下の罰金 |
| 狂犬病予防接種 | 毎年1回接種 | 20万円以下の罰金 |
掲示義務(第一種動物取扱業者の場合)
ペット輸入を事業として行う第一種動物取扱業者は、登録証を見やすい位置に掲示する義務があります。また、事業所ごとに動物取扱責任者を選任し、氏名等を記した標識を掲示しなければなりません。
重要 犬の輸入後は必ず市区町村への登録と毎年の狂犬病予防接種を行ってください。未接種は20万円以下の罰金の対象となります(狂犬病予防法第27条)。
変更届・廃業届(事業者の場合)
第一種動物取扱業者として登録している場合、住所変更・業種変更・廃業の際は都道府県知事への届出が必要です。
まとめ:事前準備が最重要の動物検疫手続き
ペットの動物検疫手続きで最も重要なのは、輸入の場合は少なくとも1年前からの準備開始です。抗体価検査の基準達成後180日の待機が必要な場合もあり、準備が遅れると長期の係留となります。
輸入の要点まとめ
- マイクロチップ(ISO規格)装着
- 不活化ワクチン2回接種(30日以上間隔)
- 抗体価検査で基準値(0.5 IU/mL以上)達成
- 事前届出:到着40日前まで
- 検査費用:無料(係留費は自己負担)
輸出の要点まとめ
- 相手国の入国条件を事前確認
- NACCS申請は出発10日前まで
- 英文輸出検疫証明書を取得
ペット輸入ビジネスを始める場合や、手続きに不安がある場合は、動物検疫に詳しい行政書士や獣医師に相談することをお勧めします。手続きミスによる長期係留は動物にとっても大きなストレスとなるため、プロのサポートを活用してください。
行政書士への相談:許認可申請の専門家として、動物関連ビジネスの各種手続きにも対応しています。初回相談は多くの事務所で無料です。
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2026年5月2日
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