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FP事務所の開業ガイド|FP資格だけでは足りない許認可・登録手続きを完全整理
FP事務所の開業には、生命保険募集人登録(費用無料・審査30〜60日)や第二種金融商品取引業登録(費用150,000円・審査3〜6ヶ月)など、販売する金融商品・サービスの種類ごとに異なる登録が必要。FP資格(AFP/CFP)は名称独占資格であり、それだけでは保険販売・投資助言・金融商品販売はできない。
この記事でわかること
この記事では、FP事務所(ファイナンシャルプランナー事務所)の開業に必要な許認可・登録手続きを、提供サービス別に整理して解説します。
- FP資格(AFP/CFP)だけでは行えない業務の具体的なケース
- 生命保険募集人登録(費用:無料・審査期間:30〜60日)の手続きの流れ
- 第二種金融商品取引業登録(費用:150,000円・審査期間:3〜6ヶ月)が必要になるケース
- 個人事業の開業届(費用:無料・即日〜数日)の提出タイミング
- よくある失敗パターンと、開業後に必要な継続的義務
FP資格があっても「無登録」では収益化できない業務がある
FP(ファイナンシャルプランナー)の資格(AFP・CFP・FP技能士)は、金融・税務・保険・不動産・相続などの幅広い知識を持つ専門家であることを証明する資格です。しかし、これらはあくまで名称独占資格または知識証明資格に過ぎず、特定の業務を行う「資格」ではありません。
FP事務所が提供する主なサービスと必要な登録
FP事務所が提供する収益源と、それに対応する許認可の組み合わせは以下の通りです:
| 提供サービス | 必要な登録・届出 | 根拠法 |
|---|---|---|
| 個人事業として独立する | 個人事業の開業届 | 所得税法第229条 |
| 生命保険・損害保険を販売する | 保険募集人登録 | 保険業法第276条 |
| 投資信託・ファンドを販売・仲介する | 第二種金融商品取引業登録 | 金融商品取引法第29条 |
| 個別銘柄の投資助言・推奨を行う | 投資助言・代理業登録 | 金融商品取引法第29条 |
| 相続・税務の一般相談・情報提供 | 登録不要(ただし税務代理は税理士に限定) | 税理士法第52条 |
重要 FP資格を持っていても、保険募集人登録なしに保険を販売した場合は保険業法違反(無登録募集)となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます(保険業法第317条の2)。
FP登録できないケース(欠格事由)
保険募集人登録・金融商品取引業登録には、それぞれ欠格事由があります。以下に該当する場合は登録を受けられません。
保険募集人登録の欠格事由(保険業法第279条)
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わってから5年を経過しない者
- 保険業法・金融商品取引法等の規定に違反して罰金に処せられ、5年を経過しない者
- 暴力団員等
第二種金融商品取引業登録の欠格事由(金融商品取引法第29条の4)
- 登録を取り消されてから5年を経過しない者
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
- 金融商品取引法その他政令で定める法律の規定に違反して罰金に処せられ、5年を経過しない者
- 役員のうちに上記のいずれかに該当する者がいる法人
重要 欠格事由の有無は自己申告です。申請前に必ず確認し、虚偽申請は登録取消・刑事罰の対象になります。
申請前の準備(3つのポイント)
ポイント1:提供するサービスの範囲を明確にする
FP事務所の開業準備で最初に決めるべきことは「どのサービスで収益を得るか」です。収益モデルによって必要な登録が異なります。
- 相談料収入型(フィーオンリーFP):保険・投資商品を自分では販売せず、相談料のみで収益化。登録不要(ただし個人事業の開業届は必要)
- 保険コミッション型:保険会社と代理店契約を結び、販売手数料で収益化。保険募集人登録が必須
- 金融商品販売型:投資信託・ファンドの販売仲介で収益化。第二種金融商品取引業登録が必須
ポイント2:個人か法人かを決める
個人事業主として開業するか、合同会社(LLC)・株式会社として法人化するかを開業前に決めてください。
- 第二種金融商品取引業登録は法人のみが申請可能(個人は申請不可)
- 保険募集人登録は個人でも可能
- 相談料収入のみの場合は個人事業主としての開業が最も手続きが少ない
重要 投資信託の販売・ファンドの仲介を行う予定なら、法人設立を最初に済ませる必要があります。法人登記には2〜4週間かかります。
ポイント3:所属する保険会社・証券会社を先に決める
保険募集人登録は、所属する保険会社・保険代理店を経由して申請します。「どの保険会社と代理店契約を結ぶか」を先に決めておかないと登録手続きが進みません。複数社を扱う場合は乗合保険代理店として登録する形になります。
FP事務所に必要な許認可・登録の全体像
FP事務所の開業に関わる主な届出・登録は以下の通りです:
①個人事業の開業届(全員必須)
- 申請先:所轄の税務署
- 費用:無料
- 提出期限:事業開始から1ヶ月以内
- 法的根拠:所得税法第229条
②生命保険募集人登録(保険販売する場合)
- 申請先:所属保険会社経由で金融庁
- 費用:無料(保険会社が負担)
- 審査期間:30〜60日
- 法的根拠:保険業法第276条・第277条
③第二種金融商品取引業登録(投資信託・ファンドを扱う場合)
- 申請先:管轄財務局
- 費用:150,000円
- 審査期間:3〜6ヶ月
- 法的根拠:金融商品取引法第29条
- 注意:法人のみ申請可能
④投資助言・代理業登録(個別銘柄の投資助言を行う場合)
- 申請先:管轄財務局
- 費用:150,000円
- 審査期間:3〜6ヶ月
- 法的根拠:金融商品取引法第29条
- 注意:特定の有価証券についての投資助言を業として行う場合に必要

生命保険募集人登録の必要書類と手続きの流れ
保険募集人登録は、FPが直接金融庁に申請するのではなく、所属する保険会社(または乗合代理店)を経由して申請します。
必要書類(申請者が準備するもの)
- 申請書(所属保険会社の所定様式)
- 一般課程試験の合格証明(生命保険協会が実施)
- 身分証明書のコピー
- 誓約書(欠格事由に該当しない旨)
取得までの流れ
- 所属する保険会社と代理店委託契約を締結
- 生命保険協会の一般課程試験を受験・合格
- 代申会社(所属保険会社)が金融庁へ登録申請
- 金融庁・管轄財務局が審査(30〜60日)
- 登録済通知を受領 → 営業開始可能
重要 一般課程試験は生命保険のみ対象です。損害保険を販売する場合は、損害保険協会の「損保一般試験」の合格も別途必要です。複数社の保険を扱う「乗合代理店」として活動する場合は、各保険会社ごとに委託契約と登録手続きが必要になります。

第二種金融商品取引業登録の詳細(投資信託・ファンドを扱う場合)
投資信託・集団投資スキーム(ファンド)の持分を顧客に販売・仲介する場合は、第二種金融商品取引業の登録が必要です。FP事務所がiDeCoや積立NISAのファンドを紹介するだけなら不要ですが、直接販売・受注を行う場合は登録が必要になります。
主な必要書類(第二種金融商品取引業登録申請)
- 登録申請書(様式第1号)
- 定款・商業登記簿謄本(法人のみ)
- 業務に関する規程類(業務フロー図を含む)
- 財務諸表(直近2期分)
- 役員・主要株主の履歴書・誓約書
登録要件のポイント
- 最低純資産額:1,000万円以上(金融商品取引法施行令第15条の7)
- 人的要件:外務員・内部管理責任者の配置が必要
- 業務フロー:顧客への説明義務・適合性原則の遵守体制が必要
重要 第二種金融商品取引業の登録は審査が厳しく、書類不備による補正が複数回発生することが多いため、実際の審査期間は3〜6ヶ月以上かかることも珍しくありません。専門の行政書士・弁護士への相談を強く推奨します。
登録前に要注意:FP事務所が陥りやすい法的グレーゾーン
FP事務所の開業時に問題になりやすい「グレーゾーン」が3つあります。
①税務相談の範囲(税理士法との境界)
税理士法第52条は「税理士でない者が税務代理・税務書類の作成・税務相談を行うことを禁じる」と定めています。FPが行える範囲は「一般的な税制の説明」や「情報提供」に限られ、個別の税務判断・申告書作成・節税提案は税理士でなければ違法です。
②投資助言の範囲(金融商品取引法との境界)
「個別の株式銘柄を推奨する」「具体的なポートフォリオを提示する」行為は、金融商品取引法上の投資助言・代理業に該当し、登録が必要です。FP試験の知識として株式を解説する「一般的情報提供」との境界は個別事案ごとに判断されます。
③保険商品の比較推奨(保険業法との境界)
FPが無登録のまま「この保険が良い」と特定商品を推奨することは、保険募集行為とみなされる可能性があります。登録前の段階でできることは「商品の仕組みの説明」や「比較情報の提供」に限られます。
重要 これらのグレーゾーンは、行政・裁判所による判断が事案ごとに異なります。不安な場合は事前に弁護士・行政書士へ相談することを強く推奨します。
個人事業の開業届の提出方法
フィーオンリーFPとして独立する場合でも、保険コミッションや相談料などの事業所得が発生する場合は、事業開始から1ヶ月以内に個人事業の開業届を税務署に提出する必要があります(所得税法第229条)。
必要書類
- 個人事業の開業・廃業等届出書(国税庁所定様式)
- マイナンバー確認書類
- 青色申告をする場合:「所得税の青色申告承認申請書」(開業届と同時提出推奨)
提出方法
- e-Tax(電子申告):マイナンバーカードがあればオンラインで完結
- 税務署窓口:控えに受付印をもらう場合は2部持参
- 郵送:控えを返送してもらうため、返信用封筒(切手付き)を同封
提出から事業所得の発生まで間が空く場合でも、事業を開始した日から1ヶ月以内が原則です。

FP事務所開業の流れ(STEP1〜5)
STEP 1:事業モデルの決定(開業1〜3ヶ月前)
提供するサービスを確定し、必要な登録の種類を明確にします。相談料のみか、保険コミッションを得るか、金融商品販売も行うかによって、必要な登録と準備期間が大きく変わります。
STEP 2:法人設立(第二種金融商品取引業等の登録が必要な場合 / 開業2〜4ヶ月前)
第二種金融商品取引業・投資助言・代理業の登録は法人のみ可能です。事業会社の設立(合同会社:約2週間、株式会社:約4週間)を先に行います。目標とする純資産額の確保も必要です。
STEP 3:保険会社との代理店契約・保険募集人登録(保険販売する場合 / 開業2〜3ヶ月前)
所属保険会社と委託契約を締結し、生命保険一般課程試験を受験・合格します。合格後、所属保険会社経由で金融庁への登録申請が行われます(審査期間30〜60日)。
STEP 4:個人事業の開業届提出(開業時または開業後1ヶ月以内)
事業開始日(または起算日)から1ヶ月以内に所轄税務署へ提出します。青色申告の承認申請書も同時提出が推奨です。
STEP 5:事業開始・顧客開拓
すべての登録が完了したら営業を開始します。名刺・Webサイト・SNSには登録番号(保険募集人番号等)を記載することが義務付けられているものもあります。
費用と審査期間のまとめ
FP事務所開業に関わる主な費用と審査期間を一覧にまとめます:
| 手続き | 費用 | 審査期間 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 個人事業の開業届 | 無料 | 即日〜数日 | 所轄税務署 |
| 生命保険募集人登録 | 無料(保険会社負担) | 30〜60日 | 金融庁(保険会社経由) |
| 損害保険募集人登録 | 無料(保険会社負担) | 30〜60日 | 金融庁(保険会社経由) |
| 第二種金融商品取引業登録 | 150,000円 | 3〜6ヶ月 | 管轄財務局 |
| 投資助言・代理業登録 | 150,000円 | 3〜6ヶ月 | 管轄財務局 |
| (参考)行政書士報酬 | 50〜150万円 | — | — |
※ 行政書士に金融商品取引業登録を依頼する場合の報酬相場。書類の複雑さにより大きく異なります。
許認可の詳細情報
FP事務所開業でよくある失敗パターン(5つ)
失敗1:FP資格取得直後に保険を販売してしまう(無登録営業)
FP2級・3級・CFPを取得したからといって、保険募集人登録なしに保険販売を行うと無登録募集として保険業法違反です。登録が完了するまでは「情報提供・相談」の範囲にとどめることが必要です。
失敗2:第二種金融商品取引業の登録を個人で申請しようとする
投資信託・ファンド販売の登録は法人のみが申請可能です。個人FPが「個人で登録したい」と財務局に問い合わせるケースがありますが、制度上認められていません。法人設立から始める必要があります。
失敗3:開業届の提出を後回しにして青色申告ができなくなる
青色申告承認申請書は開業日から2ヶ月以内(または確定申告期限の前日まで)に提出が必要です。開業届と同時に提出するのが最善で、提出が遅れると初年度は白色申告しかできなくなります。
失敗4:保険会社と代理店契約を先に決めずに独立する
保険募集人登録は所属保険会社が申請代行します。FPが独立を決める前に「どの保険会社・代理店と組むか」を先に決めておかないと、登録期間中(30〜60日)は保険販売ができません。顧客獲得が進んでいる場合は機会損失につながります。
失敗5:相続相談で税務判断・節税提案を行ってしまう(税理士法違反)
相続は多くのFPが相談を受ける領域ですが、「相続税の具体的な試算」「遺産分割の税務的な判断」「申告書の作成支援」は税理士のみができる業務です。FPとして行えるのは制度の説明・情報提供の範囲に限られます。税務アドバイスを行う場合は税理士との提携が必須です。
FP事務所開業後の継続的な義務
FP事務所として各登録を受けた後も、継続的な義務があります。
保険募集人登録後の主な義務
- 登録事項変更の届出:住所・氏名変更、所属保険会社の変更は速やかに届出が必要(保険業法第284条)
- 苦情対応・情報開示義務:顧客からの苦情は誠実に対応し、所属保険会社に報告
- 継続教育:各保険会社が実施するコンプライアンス研修・商品知識研修の受講が必要
第二種金融商品取引業登録後の主な義務
- 年次報告書の提出:毎事業年度終了後3ヶ月以内に財務局へ提出(金融商品取引法第46条の3)
- 帳簿書類の備付け:顧客との取引記録を10年間保存(金融商品取引業等に関する内閣府令第157条)
- 登録標識の掲示義務:営業所に登録番号・業者名を掲示すること
- 外務員の管理:外務員登録の維持と、外務員が行う勧誘の適切な監督
個人事業主としての義務
- 確定申告(毎年3月15日まで):事業所得・雑所得の申告
- 消費税の申告:課税売上が1,000万円超の翌々年から課税事業者として申告
まとめ:FP資格取得後の開業ロードマップ
FP事務所の開業は、「何のサービスで収益を得るか」によって必要な手続きが大きく異なります。
最小構成(相談料のみ):個人事業の開業届のみ → 費用ゼロ・即日対応可能
保険コミッション型:開業届 + 保険会社と代理店契約 + 保険募集人登録 → 費用ゼロ・2〜3ヶ月
金融商品販売型:法人設立 + 開業届 + 第二種金融商品取引業登録 → 費用150,000円〜・4〜8ヶ月
FP資格取得で感じた「お金の知識で人を助けたい」という気持ちを、適切な登録・届出を経て事業として実現するためには、複数の法律(保険業法・金融商品取引法・税理士法)の境界線を正確に理解することが重要です。
専門家への相談 第二種金融商品取引業・投資助言代理業の登録は、書類の複雑さと審査の厳しさから、行政書士・弁護士への依頼が一般的です。初期費用50〜150万円の投資となりますが、書類不備による審査の長期化を防ぐ観点から有効です。無料相談を実施している専門家も多いため、まずは相談だけでも検討してみてください。
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2025年6月19日
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