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学習塾の開業に必要な届出まとめ|許可不要でも押さえるべき5つの手続き
学習塾の開業に許可は不要。税務署への個人事業の開業届(無料・1ヶ月以内)と消防署への防火対象物使用開始届(無料・7日前まで)が必須。収容人員30人以上なら防火管理者の選任と消防計画の提出も必要。従業員を雇う場合は社会保険・労働保険の加入手続きも発生する。
この記事でわかること
- 学習塾の開業に許可は不要か → 不要(届出のみ)
- 必須の届出は何か → 個人事業の開業届(税務署)と防火対象物使用開始届(消防署)の2種類
- 費用は? → 届出は無料。防火管理者講習が必要な場合は5,000〜12,000円
- 開業までの期間は? → 物件確保後、最短7日で営業開始可能
- 従業員を雇う場合の追加手続きとよくある失敗パターン5選も掲載
学習塾の開業に「許可」は必要か?
学習塾(個別指導・集団塾・英会話教室・そろばん教室など)の開業に、行政の許可は不要です。
学習塾は学校教育法上の「学校」(幼稚園・小学校・中学校・高校・大学など)に当たらないため、設置認可を受ける必要がありません。「認可外教育施設」として民間のサービス業として自由に開業できます。
ポイント 「学習塾に許可は要らない」が正解ですが、届出は必要です。届出を怠ると消防法違反や青色申告の機会損失につながります。
必要な手続きは以下の5種類(状況によって変わります):
| 届出先 | 手続き名 | 期限 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 税務署 | 個人事業の開業届出 | 開業から1ヶ月以内 | 無料 |
| 消防署 | 防火対象物使用開始届出 | 使用開始7日前まで | 無料 |
| 消防署 | 防火管理者選任届出(収容人員30人以上) | 防火管理者決定後 | 無料 |
| 消防署 | 消防計画作成届出(収容人員30人以上) | 防火管理者選任時 | 無料 |
| 税務署 | 給与支払事務所等の開設届出(従業員あり) | 開業から1ヶ月以内 | 無料 |
学習塾の開業に関連する業種情報
許可が必要になる「例外ケース」
通常の学習塾は許可不要ですが、以下の業態に該当すると別途の許可・届出が必要になります。
学童保育を併設する場合
放課後児童健全育成事業届出(市区町村)が必要です。小学生を対象に放課後の居場所を提供する場合は、児童福祉法に基づく届出が義務付けられています(届出なしは違法)。
認定こども園・幼稚園を兼ねる場合
設置認可(都道府県)が必要です。未就学児の教育・保育と学習指導を組み合わせる場合は、学校教育法・児童福祉法の適用を受けます。
寄宿舎・学生寮を運営する場合
旅館業法の許可または寄宿舎設置届が必要な場合があります。
重要 「少し学童保育っぽいこともやる」程度でも、対象児童の年齢・提供時間・内容によっては届出が必要と判断される場合があります。不明な場合は市区町村の担当窓口に事前確認することを強く推奨します。
申請前の準備
物件の選定と収容人員の確認
学習塾の物件選びで最初に確認すべきは収容人員です。収容人員は「生徒数+講師数+その他スタッフ数の合計」で算出されます。
| 収容人員 | 必要な消防手続き |
|---|---|
| 30人未満 | 防火対象物使用開始届のみ |
| 30人以上 | 防火対象物使用開始届 + 防火管理者選任届 + 消防計画作成届 |
注意 「今は生徒が少ないから大丈夫」は危険な判断です。将来的に30人を超えた時点で防火管理者を選任し、遡って届け出る必要があります。開業前に「最大で何人収容するか」を基準に考えましょう。
消防法上の「防火対象物の用途」の確認
学習塾は消防法上の防火対象物に該当します(政令別表第一「(7)項 学校、図書館など」)。物件の契約前に管轄消防署に防火対象物の用途区分を確認し、防火設備が要件を満たしているかチェックしてください。
開業届と青色申告の準備
個人で学習塾を開業する場合、事業開始から1ヶ月以内に税務署へ「個人事業の開業届出書」を提出します。同時に「青色申告承認申請書」も提出すると、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。
重要 青色申告承認申請書の提出期限は「開業日から2ヶ月以内または当年の3月15日のいずれか早い日」です。開業届と一緒に提出するのが確実。
必要な届出書類(個人開業の場合)
個人で学習塾を開業する場合の提出書類一覧です。
税務署への届出
① 個人事業の開業・廃業等届出書
- 提出先: 納税地(事業所)を管轄する税務署
- 期限: 事業開始日から1ヶ月以内
- 費用: 無料
- 書式: 国税庁ホームページからダウンロード可
② 青色申告承認申請書(推奨)
- 提出先: 税務署
- 期限: 開業日から2ヶ月以内または当年3月15日のいずれか早い方
- 費用: 無料
③ 給与支払事務所等の開設届出書(従業員を雇う場合)
- 提出先: 税務署
- 期限: 従業員雇用から1ヶ月以内
- 費用: 無料
消防署への届出
④ 防火対象物使用開始届出書
- 提出先: 物件所在地の管轄消防署
- 期限: 使用開始の7日前まで
- 費用: 無料
- 必要書類: 届出書+建物の平面図(間取り図)+案内図
⑤ 防火管理者選任届出書(収容人員30人以上の場合)
- 提出先: 消防署
- 期限: 防火管理者が決定次第、速やかに
- 費用: 無料(防火管理者講習の受講費として5,000〜12,000円が必要)
⑥ 消防計画作成届出書(収容人員30人以上の場合)
- 防火管理者選任と同時に提出

法人(会社)で開業する場合の追加手続き
法人(株式会社・合同会社など)として学習塾を開業する場合、個人開業の届出に加えて以下の手続きが必要です。
| 手続き | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 税務署 | 設立から2ヶ月以内 |
| 法人設立届出書 | 都道府県・市区町村 | 設立から2ヶ月以内 |
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所 | 設立日から5日以内 |
| 労働保険 保険関係成立届 | 労働基準監督署 | 初日の雇用から10日以内 |
法人の注意点 法人の場合、役員だけでも社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務です。「社員が私一人だから不要」は誤りです。
届出書類の重要項目と記入ミスポイント
個人事業の開業届でよくある記入ミス
「職業」欄: 「学習塾経営」「教育業」など具体的に記入。「その他」だけは認められない場合があります。
「事業の概要」欄: 「学習指導(小学生〜高校生対象)」のように対象・内容を明記。
「開業日」: 教室の賃借契約日や準備開始日ではなく、**最初の生徒に指導を行う日(または開業を意図した日)**が開業日です。
防火対象物使用開始届でよくある記入ミス
平面図の添付を忘れる: 届出書本体だけでは受理されません。消防署に確認してフォーマットに合った平面図を作成してください。
「用途」欄: 「塾・予備校」と記入。「事務所」と書くと用途が異なると指摘される場合があります。
提出タイミング: 「営業開始と同日」は遅すぎます。7日前までに提出が必要です。賃貸物件の場合、鍵を受け取ったら即座に準備してください。

開業までの流れ(STEP 1〜5)
STEP 1:物件選定と消防署への事前確認(目安:1〜3ヶ月前)
物件を決める前に、管轄消防署に「この物件で学習塾を開業するにあたり、防火対象物の用途区分と必要な設備要件を教えてほしい」と相談してください。建物の既存消防設備が学習塾の用途に対応しているか確認します。
STEP 2:物件契約・内装工事の開始(目安:1〜2ヶ月前)
物件を契約したら、内装工事と同時に防火対象物使用開始届の準備を始めます。届出には平面図が必要なため、工事業者に寸法を含む平面図の作成を依頼してください。
STEP 3:防火対象物使用開始届の提出(目安:使用開始7日前まで)
物件の管轄消防署に届出書・平面図・案内図を提出します。収容人員が30人以上になる場合は、この段階で防火管理者講習の受講申込みも行います。
STEP 4:個人事業の開業届の提出(目安:開業から1ヶ月以内)
税務署に開業届を提出します。同時に青色申告承認申請書も提出してください。e-Taxで電子申告も可能です。従業員を雇う場合は給与支払事務所等の開設届も一緒に提出します。
STEP 5:社会保険・労働保険の手続き(従業員を雇う場合)
従業員を雇う場合、労働基準監督署(労働保険)とハローワーク(雇用保険)、年金事務所(社会保険)への届出が必要です。雇用初日から10日〜5日以内と期限が厳しいため、雇用と同時に進めてください。
費用と期限のまとめ
| 手続き | 費用 | 期限 | 提出先 |
|---|---|---|---|
| 個人事業の開業届 | 無料 | 開業から1ヶ月以内 | 税務署 |
| 青色申告承認申請書 | 無料 | 開業から2ヶ月以内 | 税務署 |
| 防火対象物使用開始届 | 無料 | 使用開始7日前まで | 消防署 |
| 防火管理者選任届 | 無料(講習費5,000〜12,000円) | 選任後速やかに | 消防署 |
| 消防計画作成届 | 無料 | 防火管理者選任時 | 消防署 |
| 労働保険加入 | 保険料(給与×料率) | 雇用から10日以内 | 労働基準監督署 |
| 社会保険加入 | 保険料(給与×料率) | 雇用から5日以内 | 年金事務所 |
主な費用のまとめ:
- 届出費用: 合計0円(全て無料)
- 防火管理者講習(必要な場合): 5,000〜12,000円
- 開業時の実質的な行政手続き費用は極めて低コスト
学習塾開業でよくある失敗パターン
失敗1:開業届を出し忘れて青色申告の機会を逃す
開業後1ヶ月以内に届出を出せないと、青色申告の65万円控除が適用されません。この失敗で年間10〜20万円の節税機会を失う事業者が毎年多数います。開業日当日か翌日に税務署へ行く習慣をつけてください。
失敗2:防火対象物使用開始届を出さずに開業する
届出なしで営業した場合、消防法第44条により30万円以下の罰金が科せられます。また、届出違反を指摘された後の改善命令に従わない場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金と重い罰則があります。
失敗3:収容人員が30人を超えているのに防火管理者を選任しない
消防法第8条に基づき、収容人員30人以上の学習塾では防火管理者の選任が義務です。選任しないと消防法違反となり、消防署から是正命令が出ます。生徒が増えて30人を超えた時点で即座に手続きしてください。
失敗4:前払い授業料を受け取ったのに特定商取引法の対応を怠る
月謝ではなく前払いで2ヶ月分以上の授業料を受け取る場合、特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当します。書面交付義務や解除権(クーリングオフ)が発生し、違反時は業務停止命令や罰金のリスクがあります。
失敗5:従業員を雇ったのに社会保険・労働保険に未加入のまま
従業員を雇用した場合、労働保険(雇用保険・労災保険)と社会保険(健康保険・厚生年金)の加入は義務です。未加入が発覚すると最大2年遡って保険料を追徴されます。
失敗6:学童保育と塾を兼ねているのに児童福祉法の届出を出さない
放課後に小学生を預かり学習指導を行う場合、実態が「放課後児童健全育成事業」に該当することがあります。届出なしで運営すると児童福祉法違反となります。
前払い授業料と特定商取引法への対応
学習塾が「前払いで2ヶ月以上・合計5万円超の授業料を受け取る場合」、特定商取引法上の特定継続的役務提供に該当します(塾・家庭教師は政令で明示されています)。
特定継続的役務提供に該当する場合の義務
① 書面交付義務 契約前に「概要書面」、契約締結時に「契約書面」を交付しなければなりません。書面には法定記載事項(サービス内容・期間・費用・解除条件など)をすべて記載する必要があります。
② クーリングオフへの対応 書面受領から8日間は無条件で契約解除が可能です(返金義務あり)。
③ 中途解約への対応 生徒側はいつでも中途解約が可能で、残存期間分の授業料を返金する義務があります。違約金は法定上限(1ヶ月分または2万円のいずれか低い方)を超えて請求できません。
重要 「自分の塾は小さいから大丈夫」は通用しません。1名の生徒に5万円超の前払いをしてもらえば対象になります。経済産業省の「特定商取引法ガイド」を必ず確認してください。
開業後の義務
確定申告(毎年2〜3月)
個人事業主として学習塾を経営する場合、毎年2月16日〜3月15日の間に確定申告が必要です。青色申告を選択していれば最大65万円の特別控除が受けられます。
防火管理業務の継続(収容人員30人以上の場合)
防火管理者は消防計画に基づく防火教育・避難訓練の実施が義務付けられています。年に1〜2回の避難訓練の実施と記録の保管が必要です。
掲示義務
収容人員が30人以上の場合、消防計画の概要や避難経路図を建物内の見やすい場所に掲示する義務があります。
変更届の提出
- 事業所の移転: 新住所で再度、防火対象物使用開始届の提出が必要
- 収容人員の増加: 30人以上になった時点で防火管理者選任届を提出
- 廃業: 税務署へ「個人事業の廃業届出書」を提出
消防設備点検の受検(義務のある規模の場合)
一定規模以上の建物では、消防設備士または消防設備点検資格者による定期点検(年2回)と消防署への報告が必要です。物件契約時に管理会社・オーナーに確認してください。

まとめ
学習塾の開業は、許可の取得が不要なため行政手続きのハードルは低い業種です。ただし、届出を怠ると消防法違反や節税機会の損失につながります。
開業時の必須チェックリスト:
- ✅ 個人事業の開業届出書(税務署・開業から1ヶ月以内)
- ✅ 青色申告承認申請書(税務署・開業から2ヶ月以内)
- ✅ 防火対象物使用開始届出書(消防署・使用開始7日前まで)
- ✅ 収容人員30人以上の場合は防火管理者選任届+消防計画作成届
- ✅ 従業員を雇う場合は社会保険・労働保険の手続き
- ✅ 前払い授業料あり(2ヶ月以上・5万円超)の場合は特定商取引法の書面整備
専門家への相談 届出書類の作成や特定商取引法対応の書面作成に不安がある場合は、行政書士への相談が有効です。初回相談は多くの事務所で無料で受け付けています。開業前の一度の相談で、後からの失敗を防ぐことができます。
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2025年7月14日
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