Guide
就労継続支援B型事業所の開設|指定申請・人員配置基準・設備基準・費用まとめ
就労継続支援B型の指定申請は都道府県の障害福祉担当課へ提出(手数料無料)。サービス管理責任者1名以上・職業指導員+生活支援員 利用者数÷10以上の人員配置と、訓練・作業室(1人あたり3㎡以上)の設備整備が必要。審査期間は事前協議から指定まで標準2〜3ヶ月。指定後は6年ごとの更新と運営規程の掲示義務あり。
この記事でわかること
- 就労継続支援B型とは何か、どんな事業者が申請できるか
- 指定を受けられない事業者の条件(欠格事由)
- 申請前に必要な人員配置(サービス管理責任者・職業指導員・生活支援員)の整備方法
- 設備基準(訓練・作業室の面積 1人あたり3㎡以上 など)
- 必要書類の全リストと事前協議から指定までの流れ
- 申請費用は無料・審査期間は2〜3ヶ月(事前協議含め4〜6ヶ月見込む)
- 指定後の義務(6年更新・変更届・運営規程掲示)
就労継続支援B型とは?制度の概要
就労継続支援B型は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第5条第14項に基づく障害福祉サービスです。雇用契約を結ばずに(非雇用型)就労機会や生産活動の機会を提供し、一般就労や就労継続支援A型への移行を見据えた支援を行います。
B型のサービス対象者
- 就労経験があるが、年齢や体力面から一般就労が困難な障害者
- 就労移行支援を利用したが、一般就労に結びつかなかった障害者
- ①・②に準ずる障害者で、就労の機会等を通じて生産活動にかかる知識・能力の向上が期待される者
A型との違い
A型は利用者と雇用契約を結び、最低賃金が適用されます。B型は雇用契約なしで、工賃(生産活動収益から必要経費を除いた額)を支払います。平均工賃は月額16,000〜20,000円程度が全国平均です(厚生労働省 令和5年度調査)。
重要 都道府県が指定権限を持つのは訪問系以外のB型(多くの定員規模の事業所)ですが、政令指定都市・中核市は市が指定権限を持つため、申請先は事業所所在地によって異なります。必ず事前に所管の障害福祉担当課に確認してください。
障害福祉サービス(訪問系)
指定を受けられない事業者(欠格事由)
以下に該当する場合、都道府県知事から指定を受けることができません(障害者総合支援法 第36条第3項・第4項)。
- 申請者が禁固以上の刑に処せられ、刑の執行終了日または執行免除日から5年を経過しない者
- 障害者総合支援法・児童福祉法・介護保険法等の規定により指定を取り消された日から5年を経過しない者(取消相当として指定辞退した場合も同様)
- 法人の役員(理事・監事・業務執行社員等)のうち欠格事由に該当する者がいる法人
- 申請書または添付書類に虚偽の記載・重要事実の記載漏れがある場合
- 労働保険・社会保険(健康保険・厚生年金)に未加入の法人(法人申請の場合)
- 社会福祉法人・NPO法人・株式会社等のいずれにも当てはまらない個人(B型の指定は法人のみ)
重要 就労継続支援B型の指定は法人格が必須です。個人事業主では申請できません。株式会社・合同会社・一般社団法人・社会福祉法人・NPO法人など、法人格を持った主体が申請してください。
申請前の準備
就労継続支援B型の指定を受けるには、申請前に以下の3つの基準を満たす事業所を整備することが必要です。事前協議は指定日の3ヶ月前(月末まで)が締め切りなので、逆算して準備を進めてください。
① 人員配置基準の充足
指定基準(厚生労働省令第174号 第170条〜)で定める従業員を確保します。
| 職種 | 必要人数 | 備考 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1名 | 管理業務に支障がなければ他職務と兼務可 |
| サービス管理責任者 | 利用者60名以下:1名以上 | 利用者61名以上は、60名超過後40名増すごとに1名追加 |
| 職業指導員 | 1名以上(常勤換算) | 職業指導員+生活支援員の合計が利用者数÷10以上 |
| 生活支援員 | 1名以上(常勤換算) | 同上 |
サービス管理責任者の要件:所定の研修(基礎研修・サービス管理責任者等研修)を修了し、かつ障害福祉サービス等の**実務経験3〜8年(資格の有無による)**を持つ者。
ポイント 「職業指導員と生活支援員の合計が利用者数÷10以上」は常勤換算で計算します。例えば利用者20名の場合、合計常勤換算2名以上が必要です。パートタイム職員の時間数を週40時間で割って合算できます。
② 設備基準の整備
| 設備 | 基準 |
|---|---|
| 訓練・作業室 | 利用者1人あたり3㎡以上(多機能型の場合は合計定員で計算) |
| 相談室 | 個人情報の漏洩防止措置(仕切り・個室等) |
| 洗面所・便所 | 利用者が使用するのに適した広さ |
| 多目的室 | 必要に応じて設置(休憩・食事等) |
事業所の物件は農地法・都市計画法・建築基準法等に抵触しない場所である必要があります。事前に自治体の建築指導課と福祉担当課の双方に相談してください。
③ 法人格の取得と運営規程の整備
法人格取得後に運営規程(事業の目的・運営方針・職員体制・利用定員・工賃の支払い方針等)を作成します。指定申請書に添付するとともに、指定後は事業所内の見やすい場所に掲示する義務があります。

必要書類一覧
指定申請に必要な書類(都道府県への事前協議・本申請共通)のリストです。自治体によって追加書類が必要な場合があるため、事前に所管の障害福祉担当課で確認してください。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 指定申請書(様式第1号) | 都道府県の所定様式 |
| 付表(B型用:付表9) | サービス種別ごとの基準遵守状況を記載 |
| 勤務形態一覧表 | 従業員の氏名・職種・勤務時間・資格を記載 |
| 組織体制図 | 管理者・サービス管理責任者・従業員の体制図 |
| 管理者の経歴書 | 管理者の職歴・資格を記載 |
| サービス管理責任者の経歴書 | 実務経験証明書・研修修了証の写しを添付 |
| サービス管理責任者の研修修了証・資格証 | 基礎研修・サービス管理責任者等研修の修了証 |
| 事業所の平面図 | 方位・各室の面積・用途を記載(縮尺入り) |
| 土地・建物の権利関係書類 | 所有の場合は登記簿謄本、賃貸の場合は賃貸借契約書 |
| 運営規程 | 事業の目的・職員体制・利用定員・工賃方針等を記載 |
| 利用者との契約書様式 | サービス等利用計画との連動内容を含む |
| 収支予算書 | 開設初年度の収支見込みを記載 |

申請書の重要項目・記入ミスが起きやすい箇所
就労継続支援B型の指定申請で補正(書類の修正要求)が発生しやすい箇所をまとめます。補正が発生すると審査が遅延し、指定日がずれ込む可能性があります。
① 付表(B型用:付表9)の記入漏れ
付表9はB型固有の運営基準(工賃の計算方法・平均工賃の公表義務・業務遂行状況の記録等)への対応状況を確認する書類です。「実施する」「実施しない」の選択欄を空白のまま提出するケースが多いです。
② 勤務形態一覧表の常勤換算計算ミス
職業指導員・生活支援員の「常勤換算数÷利用定員×10」が基準未満になっているのに気づかないまま提出するケースがあります。提出前に必ず計算を確認してください。
③ サービス管理責任者の実務経験証明書が不足
実務経験証明書は「直近の実務経験のある事業所の長(管理者)が発行」する必要があります。自己証明は不可です。また、基礎研修と実践研修の修了証がそれぞれ必要です(片方だけでは不可)。
④ 事業所の平面図に縮尺・面積の記載なし
平面図には方位・各室の縮尺・各室の面積(㎡)の記載が必須です。建築図面をそのままコピーしても、各室の用途が明記されていなければ補正対象になります。
⑤ 土地・建物の賃貸借契約書の有効期限切れ
契約期間が申請日時点で満了している賃貸借契約書は無効です。契約更新を事前に行い、有効期間内の契約書を提出してください。
申請の流れ(STEP1〜6)
STEP 1:法人設立・運営規程の整備(指定希望日の4〜6ヶ月前)
株式会社・合同会社・社会福祉法人・NPO法人等の法人格を取得します。法人登記後、サービスの目的・運営方針・利用定員・職員体制・工賃の支払い方針を定めた運営規程を作成してください。
STEP 2:人員・物件・設備の確保(指定希望日の3〜4ヶ月前)
サービス管理責任者・職業指導員・生活支援員を確保します。物件は訓練・作業室として「利用定員×3㎡以上」の面積を確保し、相談室・洗面所・便所を整備します。農地法・都市計画法上の問題がないか事前に確認してください。
STEP 3:都道府県への事前協議(指定希望日の3ヶ月前・月末まで)
都道府県(または政令市・中核市)の障害福祉担当課に事前協議書類を提出します。締め切りは指定希望月の3ヶ月前の月末です(例:10月指定希望の場合は7月末まで)。書類確認と実地調査の日程調整もこの段階で行います。
注意 都道府県によっては月次での受け付けではなく、年2〜4回の申請受付制をとっている場合があります。事前に担当課へ確認し、申請可能な時期を把握してください。
STEP 4:本申請書類の提出(指定希望日の20日前まで)
事前協議での指摘事項を修正した上で、本申請書類一式を指定期限(指定希望月の前月20日前後)までに提出します。補正があれば速やかに対応してください。
STEP 5:書類審査・現地確認(本申請後〜指定日)
担当者による書類審査と現地確認(施設の設備・面積・人員体制の実地確認)が実施されます。現地確認は2次審査期間(11日以降)に行われるのが通常です。
STEP 6:指定通知書の受領・国保連への請求登録(指定日以降)
指定日(通常月1日付)に指定通知書が交付されます。指定後は国保連合会へ請求事業者の登録を行い、利用者へのサービス提供開始と報酬請求ができる状態を整えます。

費用と審査期間のまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指定申請手数料 | 無料 |
| 行政書士報酬 | 30万〜60万円程度(書類作成代行) |
| 事前協議〜指定まで | 3〜4ヶ月(法人設立から含めると4〜6ヶ月) |
| 指定の有効期間 | 6年(令和6年改正以降。満了前に更新申請が必要) |
申請手数料は無料ですが、事業所開設に以下の初期費用が必要です:
- 物件費用: 敷金・礼金・改修費(訓練作業室の面積確保のため)
- 設備費: 作業台・椅子・工具類・PC等(事業内容による)
- 人件費: 開設準備期間中の人員確保コスト
- 登録費用: 国保連への請求事業者登録(初回のみ)
参考 行政書士への指定申請代行費用の相場は30万〜60万円程度です。サービス管理責任者の要件確認・勤務形態一覧表の作成・平面図の作成代行を含む場合は高くなります。初めて障害福祉サービスの指定を受ける法人は専門家への依頼を検討してください。
許認可の詳細を確認する
よくある失敗パターン5選
就労継続支援B型の指定申請で実際に起きやすいトラブルを5つまとめます。
① サービス管理責任者の研修が間に合わない
サービス管理責任者等研修は都道府県が年1〜2回開催します。開催時期によっては申請タイミングが半年〜1年延びることがあります。指定を希望する日よりも1年以上前から研修日程を確認し、申し込んでください。
② 物件の用途地域・建築用途違反
「工場跡地を作業場に転用したい」「農地に新設したい」というケースで、都市計画法・農地法の規制に抵触し申請できないケースがあります。物件契約前に自治体の建築指導課と福祉担当課の両方に相談してください。
③ 訓練・作業室の面積が不足
「利用定員20名で60㎡確保した」と思っていたが、廊下・相談室・更衣室の面積を誤って作業室面積に含めて計算していたケース。有効床面積(実際に作業できる面積)のみで計算する必要があります。
④ 工賃計算方法の理解不足
B型事業所は生産活動収益から必要経費を差し引いた額を工賃として支払う義務があります。「工賃=売上」と誤解して運営を開始し、後から指導を受けるケースがあります。
⑤ 指定後の変更届忘れ
管理者・サービス管理責任者・事業所所在地・利用定員を変更する場合は、原則として変更前10日以内(変更届)または事前の変更申請が必要です。届出なしで変更すると指定取消しのリスクがあります。
特殊ケース:多機能型事業所・他サービスとの複合運営
多機能型事業所(複数サービス種別の一体運営)
就労継続支援B型と就労移行支援・自立訓練(生活訓練)等を同一事業所で提供する「多機能型」形式が認められています。多機能型の場合、サービス管理責任者や一部設備を共用できるため、運営コストを抑えられます。ただし、各サービスの利用定員の合計で人員配置基準を計算する必要があります。
グループホームとの複合運営
共同生活援助(グループホーム)とB型を同一法人が運営する場合は、サービス管理責任者を別々に確保する必要があります(兼務不可)。
注意 就労継続支援A型とB型の複合運営(多機能型)は人員基準が複雑になります。特にA型は最低賃金の適用・雇用保険の加入義務があるため、B型と切り分けた管理が必要です。
指定取得後の義務
指定を受けた後も、以下の義務が継続します。違反があれば指定の停止・取消しの対象になります。
変更届・廃止届の提出
- 変更届: 管理者・サービス管理責任者の変更、利用定員の変更、事業所の移転等を行う場合は変更日から10日以内に都道府県へ届出
- 廃止・休止届: 事業を廃止・休止する場合は廃止日の1ヶ月前までに届出
指定の更新(6年ごと)
令和6年改正以降、指定の有効期間は6年です。有効期間満了前に更新申請が必要です。更新を怠ると指定が失効し、事業継続ができなくなります。
掲示義務
以下の書類を事業所内の見やすい場所に掲示することが義務付けられています:
- 運営規程(事業の目的・運営方針・職員体制・利用定員・工賃の支払い方針)
- 重要事項説明書(利用者向けの分かりやすい説明文書)
- 指定通知書(指定番号・指定日・有効期間が記載)
重要 平均工賃を毎年度末に算出し、都道府県へ報告する義務があります。また、算出した平均工賃はインターネット等で公表することが義務付けられています(障害者総合支援法 第48条第1項)。
帳簿・記録の保存
支援記録・個別支援計画・業務日誌・請求記録は、指定取消し後も含め5年間の保存が義務付けられています。
まとめ
就労継続支援B型事業所の開設には、法人格の取得→人員配置(サービス管理責任者・職業指導員・生活支援員)の確保→設備整備(訓練作業室 定員×3㎡以上)→都道府県への事前協議・本申請という流れが必要です。
申請手数料は無料ですが、事前協議から指定まで最短でも3〜4ヶ月かかります。サービス管理責任者の研修や物件探しも含めると、開設準備期間は6〜12ヶ月は見込んでください。
特に以下の点に注意してください:
- サービス管理責任者等研修は年1〜2回しか開催されないため、1年以上前から研修申込を計画する
- 物件は契約前に建築基準法・都市計画法上の問題がないか自治体2部門に確認する
- 指定後の変更届・更新申請・掲示義務・平均工賃の報告を見落とさない
書類作成や法令解釈に不安がある場合は、障害福祉サービスの指定申請を専門とする行政書士への相談が有効です。初めて開設する事業者では、専門家と連携することで申請ミスを防ぎ、指定までの期間を短縮できます。
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2026年5月9日
相談窓口
「障害福祉サービス事業指定申請(訪問系以外)」を専門家に任せたい方へ
行政書士に依頼すると、書類作成から申請まで一括でサポートを受けられます。フォームには「障害福祉サービス事業指定申請(訪問系以外)」が自動で入力されます。
障害福祉サービス事業指定申請(訪問系以外) について相談する(無料)✓ 初回相談 無料 / 24時間以内に返信