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キッチンカーの営業許可ガイド|費用16,000円〜・複数保健所申請・車両構造基準を解説
キッチンカーの飲食店営業許可(食品衛生法第55条)は、出店する保健所管轄ごとに取得が必要。申請手数料は16,000〜19,000円、審査期間は2〜3週間。車両の給排水タンク基準・食品衛生責任者の設置など、固定店舗と異なるポイントを解説します。
この記事でわかること
- キッチンカーに必要な飲食店営業許可(食品衛生法第55条)の概要
- 申請手数料:16,000〜19,000円(都道府県により異なる)
- 審査期間:2〜3週間(事前相談含む)
- 許可有効期間:5〜8年(都道府県による。期限満了前に更新申請必要)
- 出店エリアが複数の保健所管轄にまたがる場合の対応
- 車両の構造基準(給排水タンク・手洗い設備・シンク)
- 申請書のキッチンカー固有の記載事項
- よくある失敗パターン5選と対策
キッチンカーに営業許可が必要なケース
キッチンカー(移動販売車)で調理した食品を販売・提供する営業は、食品衛生法第55条第1項に基づく飲食店営業許可の取得が必須です。「自動車による飲食店営業」として固定店舗と同一の許可区分に含まれます。
許可が必要な営業
- 調理した料理・飲み物を車内または車外のテーブルで客に提供する営業
- クレープ・たこ焼き・ラーメン・カレーなど、加熱・調理を伴うすべての移動販売
- ソフトクリーム・かき氷など、既製品を開封・盛り付けして提供する営業(簡易調理として許可対象)
許可が不要なケース
- 完全密封済みの工場製造品をそのまま販売するだけの場合(営業届出のみ)
- 農家が自家栽培した野菜を無加工のまま販売する場合
重要 たとえ同じ車両で営業していても、出店する保健所の管轄が変わるたびに別途許可が必要です。東京23区内でも、品川区の許可だけで新宿区に出店することはできません(都道府県単位の相互乗り入れ協定がある場合を除く)。
キッチンカー関連の業種ページ
許可を取得できない人・車両(欠格事由)
以下に該当する場合、飲食店営業許可を受けることができません(食品衛生法第55条第2項)。
人的欠格事由
- 食品衛生法またはその命令・処分に違反して刑に処せられ、執行終了から3年を経過していない者
- 許可取消から2年を経過していない者
- 法人の場合、その役員に上記いずれかが含まれる者
施設的欠格事由(車両構造基準の不適合)
- 給水タンク・排水タンク・シンクなど施設基準を満たさない車両
- 食品衛生責任者を設置していない(または設置予定がない)
- 申請する保健所の条例が定める基準に適合しない構造・設備
注意 申請書裏面には欠格事由に該当しないことを確認するチェック欄があります(食品衛生法第55条第2項関係)。虚偽記載は行政処分の対象となります。
申請前の準備
① 管轄保健所への事前相談
**申請の前に、出店予定エリアを管轄する保健所の食品衛生担当に事前相談することが必須です。**キッチンカーの施設基準は都道府県・自治体ごとに細部が異なるため、車両の図面(給排水タンク・シンク・調理設備の配置)を持参して確認します。
- 相談持参物:車両の外観・内部レイアウト図(手書き可)、タンク仕様書
- 相談所要時間:30分〜1時間程度
- 予約不要の保健所も多いが、事前電話確認を推奨
重要 複数の保健所管轄で出店する場合は、それぞれの保健所に個別に事前相談が必要です。同じ図面でも保健所によって追加改修を求められる場合があります。
② 食品衛生責任者の資格取得
飲食店営業許可を受けるには、食品衛生責任者を1名以上設置する必要があります。食品衛生責任者になれる資格は以下のとおりです。
資格保有者(講習不要):
- 調理師・栄養士・製菓衛生師・食品衛生管理者・食品衛生監視員等の資格保有者
講習受講で取得可:
- 都道府県知事等が認める食品衛生責任者養成講習会(所要時間:1日約6時間。受講料:10,000円前後)
③ 車両の施設基準への適合
申請する車両が保健所の施設基準を満たしているか確認します。令和3年(2021年)の食品衛生法改正で全国共通の施設基準が設けられましたが、細部は各自治体の条例で追加されます。
最低限確認すべき主要基準:
| 設備 | 基準の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 給水タンク | 清潔な水を常時供給できる容量 | 自治体により20L以上の目安 |
| 排水タンク | 給水タンク以上の容量 | 給水量の1.2倍以上が目安 |
| シンク(洗浄槽) | 使用目的別に2槽以上 | 1槽のみ不可とする自治体も多い |
| 手洗い設備 | 専用の手洗い場 | シンクとの兼用を不可とする自治体あり |
| 冷蔵設備 | 要冷蔵食材を管理できる冷蔵庫 | 冷凍・冷蔵の使い分けに注意 |
| 扉・窓 | 調理エリアを外部から遮断できる構造 | 害虫・ほこり侵入防止 |
必要書類一覧(個人申請)
保健所に提出する書類は以下のとおりです。書式は保健所窓口またはWebからダウンロードできます(自治体によっては食品衛生申等システムからのオンライン申請も可)。
| 書類 | 入手先 | 備考 |
|---|---|---|
| 営業許可申請書 | 保健所窓口 / オンラインシステム | 表裏2枚。自動車登録番号の記載欄あり |
| 施設の構造及び設備の概要図面 | 申請者作成 | 2部提出。タンク・シンク・冷蔵庫の配置を記載 |
| 食品衛生責任者の資格証明書 | 資格発行機関(調理師免許等) | 調理師免許の写し、または講習会修了証 |
| 申請手数料 | 保健所窓口で支払い | 16,000〜19,000円(都道府県・自治体による) |
| 水質検査成績書 | 水質検査機関 | タンク水・井戸水使用の場合のみ必要 |
ポイント 申請書の「施設の名称・屋号又は商号」欄には、
キッチンカー○○1号車のように車両を特定できる名称と号車番号を記載します。複数台ある場合は台数分の申請が必要です。

必要書類一覧(法人申請の追加書類)
法人で申請する場合は、個人申請の書類に加えて以下が必要です。
| 書類 | 入手先 |
|---|---|
| 登記事項証明書(法人の全部事項証明書) | 法務局(オンライン申請可) |
- 個人事業主の場合は不要
- 合同会社・株式会社・有限会社すべて必要
- 発行から3ヶ月以内のものを提出(保健所により期限が異なる場合あり)
申請書の重要記載項目(キッチンカー固有の記載ミスが多い欄)
キッチンカーの申請書には、固定店舗にはない特有の記載欄があります。記入ミスがあると書類返戻・再申請となり、開業が遅れます。
施設の所在地の記載方法
自動車営業の場合、施設の所在地の書き方は保健所によって異なります。事前に確認して以下のいずれかを記載します。
- 自動車保管場所の住所(最も多いパターン)
- 仕込み場所の住所
- 管轄保健所が指定する住所(公園・イベント会場等の場合)
重要 「施設の所在地」に自宅の住所を記載すると、その住所を管轄する保健所に申請が送付されてしまい、意図しない保健所への申請になります。出店エリアの郵便番号と保健所の管轄確認を事前に行ってください。
自動車登録番号の記載(申請書裏面)
申請書裏面の㊴欄(自動車登録番号)に、ナンバープレートの表記どおりに記載します。
- 例:
品川 500 あ 00-00 - 複数台営業する場合は台数分の申請書を提出
- 車両を変更した場合は変更届が必要
食品衛生責任者の記載
資格の種類(調理師・栄養士等の資格者 or 都道府県知事の講習会受講者)を正確に選択。講習会受講者は「受講した講習会名称」と受講年月日を記入します。


申請の流れ(STEP1〜5)
STEP 1:管轄保健所への事前相談(目安:申請の2〜4週間前)
出店エリアを管轄する保健所の食品衛生担当へ車両の図面を持参して相談。施設基準の適合確認と申請書類の指示を受けます。キッチンカーは保健所により基準が細かく異なるため、この工程を省略すると後工程での書類返戻リスクが高まります。
STEP 2:書類の準備と手数料の用意(目安:1〜2週間)
事前相談の指示に従い、申請書・施設概要図・資格証明書等を揃えます。手数料は16,000〜19,000円(現金持参が多い)。食品衛生責任者の資格がまだの場合は、この期間に養成講習会(約10,000円)を受講します。
STEP 3:保健所への申請書類提出(目安:1日)
揃えた書類を管轄保健所の窓口に提出。書類に不備がなければ受理され、施設検査の日時調整に進みます。書類の不備があると即日返戻となるため、提出前の最終確認が重要です。
STEP 4:施設検査(現地確認)(目安:申請受理から1〜2週間)
保健所の担当者が車両を直接確認します。給排水タンクの容量・シンクの槽数・手洗い設備の独立性・冷蔵設備の動作確認が主な検査内容です。キッチンカーの場合、車両を検査場所(保健所前・出店場所等)に持ち込む形式が一般的です。
STEP 5:許可証の交付・営業開始(目安:検査から3〜7日後)
検査通過後、許可証が交付されます。許可証の交付前に営業を開始すると食品衛生法違反(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)となるため、必ず許可証の受け取り後に営業を開始してください。
費用と審査期間のまとめ
| 項目 | 費用・期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 申請手数料 | 16,000〜19,000円 | 都道府県・自治体ごとに異なる。更新時も同額 |
| 食品衛生責任者養成講習会 | 約10,000円 | 資格(調理師免許等)保有者は不要 |
| 水質検査費 | 約5,000〜15,000円 | タンク水・井戸水使用の場合のみ |
| 自己申請時の合計 | 約16,000〜29,000円 | 資格保有・水道水使用の場合は最低16,000円 |
| 行政書士委託時の目安 | 65,000〜90,000円 | 申請書類作成・保健所折衝含む |
| 審査期間(事前相談〜許可証交付) | 2〜4週間 | 混雑状況・書類不備で延長あり |
| 有効期間 | 5〜8年 | 都道府県・業種による。満了前に更新申請必要 |
ポイント 複数の保健所管轄で営業する場合は、管轄数×申請手数料が発生します。例:東京・神奈川・埼玉の3都県をまたいで営業する場合、3か所の保健所それぞれに申請が必要です。
飲食店営業許可の詳細ページ
よくある失敗パターン5選
失敗①:保健所管轄をまたいで無許可営業になった
「東京都の許可があれば都内全域で営業できる」と思っていたが、保健所は市区町村ごとに管轄が異なります。渋谷区の許可だけで品川区に出店して行政指導を受けた事例があります。出店前に必ずその場所の管轄保健所を確認してください。
失敗②:申請書の「施設の所在地」に自宅住所を書いた
自宅住所を書いてしまうと、その住所を管轄する保健所に申請が送付され、出店エリアの保健所への申請にならない場合があります。自動車営業の所在地の書き方は保健所に事前確認が必須です。
失敗③:シンクが1槽のため施設検査で不合格になった
保健所によっては「食材洗浄用」と「器具洗浄用」の2槽シンクを求めます。1槽で申請したところ、施設検査で不合格となり車両改修が必要になったケースが多くあります。事前相談で槽数の要件を必ず確認してください。
失敗④:食品衛生責任者の資格を後回しにして開業が遅延
食品衛生責任者の養成講習会は月に数回しか開催されない地域もあります。資格取得を後回しにした結果、許可申請を出せず開業が2〜3ヶ月遅れた事例があります。車両発注と並行して講習会の予約を入れるのが賢明です。
失敗⑤:有効期限を失念して許可失効・一時停止
飲食店営業許可には有効期限(5〜8年)があります。更新申請を失念して許可が失効し、更新手続きが完了するまでの期間、営業停止を余儀なくされた事例があります。許可証に記載された有効期限を手帳やスケジューラーに登録し、期限の1ヶ月前に更新申請を行いましょう。
複数都道府県・管轄をまたいで営業する場合
キッチンカーで複数の都道府県・保健所管轄をまたいで営業するには、それぞれの管轄保健所に個別に申請して許可を取得することが原則です。
令和元年通知による「相互乗り入れ」
厚生労働省の令和元年12月27日付け通知(生食発1227第2号)により、他の自治体(知事・市長・区長)が発行した営業許可証を使って、自らの管轄地域内での営業を認める仕組みが整備されました。ただし、これを運用しているのは一部の自治体に限られます(令和5年時点で47都道府県中32都道府県が条件付きで認めている)。
重要 相互乗り入れを利用できるかどうかは、出店先の保健所に直接確認する必要があります。認めていない自治体での無許可営業は行政処分の対象です。
現実的な対応
- 常設出店エリア(ホームグラウンド)の保健所で許可取得
- 新エリアへの出店前に、そのエリアの保健所に確認
- 頻繁に出店する都道府県はそれぞれで許可取得(費用:各16,000〜19,000円)
許可取得後の義務
営業許可証の掲示
取得した営業許可証は、営業中に顧客から見やすい場所(車内の見えやすい位置)に掲示することが義務です(食品衛生法第57条)。
食品衛生責任者名の掲示
食品衛生責任者の氏名を営業施設(車内)に掲示する必要があります。
変更届(変更から10日以内)
以下の事項が変わった場合は、10日以内に保健所へ変更届を提出します。
- 申請者の氏名・住所・法人名の変更
- 食品衛生責任者の変更
- 使用車両(ナンバープレート・登録番号)の変更
- 施設の設備の重大な変更
廃業届(廃業・廃車時)
営業を廃止した場合、または使用車両を廃車した場合は、管轄保健所に廃業届を提出します。
許可の更新(満了の1ヶ月前目安)
有効期間(5〜8年)の満了前に更新申請が必要です。期限を超過すると許可が失効し、新規申請からやり直しとなります。更新手数料は新規と同額(16,000〜19,000円)です。
HACCP衛生管理記録の作成・保管
食品衛生法の改正(令和3年6月完全施行)により、すべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理の実施と記録の作成・保管が義務付けられました。キッチンカーは規模の観点から「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が適用されます。
ポイント HACCP記録には食材の温度管理・清掃記録・体調確認記録等が含まれます。保健所への提出義務はありませんが、立入検査時の確認対象となります。
まとめ:キッチンカーの営業許可申請をスムーズに進めるために
キッチンカーの飲食店営業許可は、固定店舗と同一の食品衛生法に基づく許可ですが、**「出店エリアごとに保健所が異なる」「車両の構造基準がある」「申請書に自動車登録番号が必要」**という独自の注意点があります。
成功のための3つのポイント:
- 事前相談を最優先に: 保健所の施設基準確認なしに車両発注すると、納車後に改修が必要になるリスクがあります
- 食品衛生責任者の資格は早めに: 車両制作と並行して講習会の予約を入れましょう
- 複数エリアの場合は各保健所に事前確認: 相互乗り入れの対応状況はエリアにより異なります
申請書類の作成・複数保健所との折衝・施設基準への適合確認など、手続きが複雑な場合は行政書士への相談も有効です。食品衛生法に精通した行政書士であれば、保健所との事前折衝から許可証受け取りまでをサポートします。
申請書類の準備に不安がある場合や、複数都道府県での営業を計画している場合は、行政書士への早めの相談をおすすめします。
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2026年6月23日
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