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サプリメント販売に必要な届出と法規制|食品衛生法・薬機法・機能性表示食品の手続き解説

サプリメント販売には「食品衛生法上の営業届出(手数料無料・即日受理)」「機能性表示食品の消費者庁届出(販売60日前)」「薬機法の広告規制(違反で最大200万円罰金)」の3手続き・規制がある。業種別の対象有無から申請手順・費用まで解説。

許認可ナビ編集部·

この記事でわかること

サプリメント(健康食品・ビタミン・ミネラル等)を販売するには、事業形態に応じて複数の届出・規制対応が求められます。

  • 食品衛生法の営業届出:冷凍・冷蔵保存が必要な商品を扱う場合、所轄保健所へ届出(手数料:無料 / 受理:即日〜数日
  • 機能性表示食品の届出:「体脂肪を減らす」等の機能性を表示して販売する場合、消費者庁へ販売60日前までに届出
  • 薬機法の広告規制:「○○に効く」「病気が治る」等の表現は薬機法違反。違反すると2年以下の懲役または200万円以下の罰金

本記事では、これら3つの手続き・規制を、費用・審査期間・必要書類とともに解説します。

サプリメント販売に許可は不要?届出と許可の違い

「サプリメント販売に許可が必要か」という疲問を持って検索した方に、まず結論から答えます。

結論:一般的なサプリメント販売に「許可」は不要です。届出だけでOKです。

ただし、製品の種類・製造形態・表示内容によって必要な手続きが変わります。以下の比較表で確認してください。

分類必要な手続き担当窓口費用審査期間
包装済常温サプリの小売不要(届出対象外)無料
冷藵保存が必要なサプリの販売食品衛生法 営業届出所轄保健所無料即日~数日
機能性を表示して販売消費者庁 機能性表示食品届出消費者庁無料販売60日前まで
特定保健用食品(トクホ)として販売消費者庁 許可申請消費者庁有料数ヶ月~1年
サプリメントを自社製造食品衛生法 食品製造業許可所轄保健所15,000~25,000円1~2ヶ月

医薬品との境界線(薬機法)

重要 「○○に効く」「病気が治る」「体重を○ kg落とせる」などの効能・効果を表示・広告すると、薬機法に抵触します。食品(サプリメント)は「健康の維持・増進」の範囲でのみ訴求が許可されています。

医薬品的な効能を謳う広告は、商品が食品であっても薬機法〇6条(誤大広告等の禁止)に違反し、2年以下の懲役または200万円以下の罰金の対象になります。SNS・通販サイト・口コミ欄の記載も規制対象です。

機能性表示食品と特定保康用食品(トクホ)の違い

  • 機能性表示食品:企業が消費者庁に届出するだけで表示可能(審査なし・自己貣任)。費用は実質無料だが、科学的根拠の文書整備が必要
  • 特定保康用食品(トクホ):消費者庁の許可審査が必要。有効性・安全性の証明書類に数百万円規模のコストがかかることも

サプリメント販売に資格は必要?

「サプリメント 販売 資格」で検索して本記事にたどり着いた方へ、まず結論をお伝えします。

結論:サプリメント(健康食品・ビタミン等)の販売に「資格」は一切不要です。

飲食店のように調理師免許や食品衛生責任者の資格が必須、といった国家資格の取得義務はありません。一般の人でも、法人でも個人でも、サプリメントの販売を始めることができます。

「資格なし」でも注意が必要な3つのケース

ただし、資格が不要でも「届出」が必要になるケースがあります。以下の3つに当てはまるか確認してください。

  • 機能性を表示して販売する場合:「体脂肪を減らす」等の機能性表示食品として販売するには、消費者庁への**届出(販売60日前まで)**が必要(資格ではなく届出)
  • 冷蔵保存が必要な商品を扱う場合:プロバイオティクス系等で冷蔵が必要なものは、所轄保健所への食品衛生法 営業届出が必要
  • 自社で製造する場合:錠剤化・カプセル充填等を自社で行う場合は食品製造業許可(許可申請)が必要

結論として、パッケージ済みサプリメントを仕入れて販売するだけなら、資格も届出も不要です。機能性表示や製造が加わると、初めて手続きが発生します。

サプリメント販売に必要な届出・許可の3パターン判定フロー

サプリメント販売に必要な届出・許可は、「何を謳うか」で大きく3パターンに分かれます。自分の販売形態がどのパターンに該当するかを確認してから手続きを進めてください。

販売形態別 必要届出・許可の判定フロー

謳いたいこと必要な届出・許可主な申請先
機能性を謳わない一般食品として販売食品衛生法 営業届出のみ市区町村 保健所
「体脂肪を減らす」等の機能性を謳う食品衛生法 営業届出 + 消費者庁への機能性表示食品届出保健所 + 消費者庁
「病気を治す」等の医薬品的効能効果を謳う原則販売不可(薬機法違反)

パターンA:一般食品として販売(機能性表示なし)

  • 必要な届出: 食品衛生法の営業届出(無料)
  • 避けられる表現例: 「免疫力を高める」「腰痛に効く」などの記載は薬機法・景品表示法違反
  • 代表例: 一般的なビタミンサプリ、コラーゲンサプリ、アミノ酸サプリ
  • 申請先: 市区町村の保健所・食品衛生調査室(届出は営業届出系システム HACCPlatまたは自治体窓口)

重要 一般食品として販売する場合でも、ワインサプリ・なた豆加工品・荒物哀店などは剤物届出の届出業種追加が必要な場合があります。営業届出後に必ず保健所へ確認しましょう。

パターンB:機能性表示食品として販売

  • 必要な届出: 消費者庁への機能性表示食品届出(販売開始60日前までに届出)
  • 必要条件: 安全性証明(メーカー責任)・機能性の科学的根拠(臨床試験・システマティックレビュー等)・表示基準への準拠
  • 届出周数: 届出から販売まで最低60日必要
  • 届出ポータル: 消費者庁機能性表示食品届出ポータル(無料)
  • 代表例: 「血圧を低下させる機能を持つ」「体脂肪を減らす」等を謳えるサプリ

パターンC:医薬品的効能効果を謳える(原則販売不可)

  • 状況: 「病気を治す」「芯が生える」「痒を沿す」等の表現は薬機法上の医薬品的効能効果とみなされる
  • 規制: 医薬品となるため、厳格な許可申請・届出なしには販売不可
  • 違反の報酒: 薬機法違反は最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金

痒を沿す・病気に効く等の表現は厳禁 「免疫によい」「芸属に効く」等の表現が医薬品的効能効果と判定されると、許可なしで販売していた場合は薬機法違反になります。表現については必ず法律専門家に事前確認をとってください。

サプリメントの製造・販売・輸入に必要な届出・許可比較表

販売の形態(自社製造・OEM製造・輸入販売)によって必要な手続きが異なります。下表で自分のケースを確認してください。

サプリメントの形態別 必要手続き一覧

届出・許可の種類販売のみ(OEM)自社製造+販売輸入販売
食品衛生法 営業届出✔ 必須✔ 必須✔ 必須
食品表示法 栄養成分表示✔ 必須✔ 必須✔ 必須
食品製造業許可(保健所)✗ 不要✔ 必須✗ 不要
平岡塚法など別途許可(剤化物・比較碍子等)製造内容による製造内容による輸入元内容による
消費者庁 機能性表示食品届出販売形態による販売形態による販売形態による
厚生労働省への製造所登録✗ 不要御廟項・医薬品絡わる場合✗ 不要

OEM製造(製造委託)で販売する場合

製造は外部の食品製造業許可取得済みの工場に委託し、自分は販売のみを行う形態です。

  • 食品衛生法の営業届出(選利品小売業など)
  • 届出先:市区町村の保健所・食品衛生調査室
  • 安全性の責任:委託元でなく**販売元(企画販売者)**が負う点に注意

自社製造+販売の場合

自社工場でサプリメントを製造・販売する場合、食品製造業の許可(保健所)が必要です。許可取得には施設基準(専用区画・手洗い設備二槽式・換気扇等)を満たす必要があります。

製造許可なしの自社製造は違反 食品製造業の許可なしに自社工場でサプリメントを製造・販売することは、食品衛生法違反となります。最大100万円以下の罰金が科される場合があります。

輸入販売(海外サプリメントの輸入販売)の場合

海外からサプリメントを輸入して販売する場合、輸入規制に加えて食品衛生法の営業届出が必要です。食品表示法による日本語表示も必須です。

サプリメント事業の許認可マップ|製造・販売・輸入で必要な手続きが違う

サプリメントビジネスで「何の許可・届出が必要か」は**事業形態(製造・販売・輸入)**によって完全に異なります。「サプリメント 製造 許可」と「サプリメント 販売 許可」は別の手続きであるため、まず事業形態を確認してから準備してください。

製造する場合(自社工場・OEM工場を保有)

製造施設には**食品製造業の営業許可(管轄保健所)**が必要です。

  • 申請先: 製造施設を管轄する保健所
  • 費用: 16,000円〜30,000円程度(都道府県により異なる)
  • 審査期間: 施設検査を含め1〜2ヶ月
  • 有効期間: 5年ごとに更新が必要
  • 施設基準: 洗浄設備・手洗い設備・換気設備など(事前確認推奨)

重要 製造工場への立入検査(施設確認)が申請プロセスに含まれます。施設基準を事前に確認し、改修が必要な箇所は申請前に対応してください。

国産OEM販売する場合(製造委託・自社は販売のみ)

国内の食品製造業許可を持つOEM工場に委託して自社ブランドで販売する場合は、販売者への追加許可は原則不要です。

  • 取得義務: OEM製造工場側(取引先が取得済みかを事前確認)
  • 販売者側の義務: 食品表示法に基づく原材料・栄養成分表示の遵守
  • 注意: 製造工場の許可証コピーを契約書等とともに保管することを推奨

海外製品を輸入販売する場合

海外のサプリメントを輸入して販売する場合は**食品等輸入届出(厚生労働省 検疫所)**が必要です。

  • 申請先: 輸入港を管轄する検疫所
  • 届出タイミング: 輸入のたびに事前届出が必要
  • 費用: 届出自体は無料(検査が必要な場合は別途検査費用)
  • 審査期間: 書類審査3〜7日(検査時は2〜4週間程度)
  • 根拠法令: 食品衛生法第27条

注意 海外製造品を「国産風」に見せる表示は景品表示法違反リスクがあります。製造国の明示が必要です。

機能性表示食品として販売する場合

「〇〇を含み、△△の機能がある」などの健康機能表示をつけて販売する場合は、消費者庁への機能性表示食品届出が別途必要です。

  • 申請先: 消費者庁 食品表示課
  • 届出タイミング: 販売開始の60日前までに提出
  • 費用: 届出自体は無料(機能性の根拠となる研究論文・臨床試験費用は別途)
  • 未届出で機能性を表示すると: 景品表示法違反として最大売上高の3%の課徴金

サプリ販売で必要な届出一覧|OEM製造 vs 自社製造で分岐

サプリメント販売に必要な届出は、製造形態(OEM委託か自社製造か)表示内容で決まります。以下の分岐表で自社のケースを確認してください。

販売形態製造形態機能性表示必要な手続き費用
包装済みサプリの小売(常温)OEM or 仕入れなし不要無料
包装済みサプリの小売(冷蔵)OEM or 仕入れなし食品衛生法 営業届出無料
サプリ販売(機能性表示あり)どちらでもあり消費者庁 機能性表示食品届出無料
サプリ自社製造+販売自社製造なし食品衛生法 食品製造業許可15,000〜25,000円
OEM製造委託+販売外部委託なし不要(製造委託先が許可保有)無料

OEM製造委託(おすすめ) 製造を外部に委託し、自社ブランドで販売する「OEM販売」は、販売側に食品製造業許可が不要です。初期コストを抑えてサプリメントビジネスを始めたい場合、OEMが最も現実的な選択肢です。

「許可」と「届出」の違いを混同しないために

  • 許可(食品製造業許可・トクホ許可等):行政が審査し、認可した場合のみ事業ができる。費用・期間ともに大きい
  • 届出(食品衛生法営業届出・機能性表示食品届出等):内容を提出するだけで自動受理。許可ではなく「通知」の性格が強い

サプリメント販売で必要になるのはほぼ「届出」のみ(自社製造の場合だけ「許可」が必要)です。

サプリメント販売で届出・許可が必要になるケース

「サプリメント販売」は一口に言っても、事業内容によって必要な手続きが大きく変わります。まず自社の販売形態を確認してください。

ケース①:包装済みサプリメントの単純小売(常温保存)

仕入れた錠剤・カプセル・粉末サプリメントをそのまま販売する小売業のうち、常温で長期保存可能な包装食品の販売は「公衆衛生に与える影響が少ない」として食品衛生法上の営業届出は不要(届出対象外)です。ただし、機能性の表示をして販売する場合は消費者庁への届出が必要です。

ケース②:冷蔵・冷凍保存が必要なサプリメントの販売

生菌(プロバイオティクス)や酵素系サプリメントで冷蔵保存が必要なものを販売する場合、冷凍冷蔵倉庫業として食品衛生法上の営業届出が必要です(所轄保健所へ)。

ケース③:サプリメントを自社製造して販売

カプセル充填・錠剤化・パウダー調合等を自社で行う場合は、食品製造業の許可(食品衛生法第55条)が必要です。届出ではなく「許可申請」であり、難易度が上がります。OEM製造委託(他社に製造してもらい自社ブランドで販売)の場合は、製造側が許可を持つため販売側は原則不要です。

重要 どのケースに該当するかは、取扱商品の保存方法・製造の有無・機能性表示の有無で決まります。判断に迷う場合は、所轄保健所に事前相談することを強くお勧めします。

届出前に必ず確認:薬機法・景品表示法の重大リスク

食品衛生法の届出よりも優先して把握すべきなのが、薬機法と景品表示法の規制です。届出は手続きの問題ですが、広告規制違反は即時処罰の対象となります。

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)

  • 第68条:未承認医薬品等の広告禁止
  • 違反事例:「○○病に効く」「血糖値を下げる」「がん予防」等の効能効果表示
  • 罰則:2年以下の懲役または200万円以下の罰金(同法第85条)

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

  • 優良誤認表示(実際より著しく優良に見せる表示)の禁止
  • 事例:科学的根拠なしに「脂肪燃焼」「アンチエイジング」等と断定表示
  • 措置命令・課徴金(売上高の3%)の対象

注意 「食品だから何を書いてもいい」は間違いです。「免疫力を上げる」「体質改善」等の表現も、文脈によって薬機法違反と認定されます。厚生労働省は「健康食品の虚偽誇大広告」の取締りを強化しており、SNS広告・LP・口コミも監視対象です。

申請前の準備

準備①:販売する商品の「表示区分」を決める

食品表示法では、健康に関する表示ができる食品を以下の区分に整理しています。販売前に自社製品がどの区分に該当するかを明確にしてください。

区分根拠許可・届出
特定保健用食品(トクホ)健康増進法消費者庁長官の許可(科学的審査あり・難易度高)
機能性表示食品食品表示法消費者庁への届出(販売60日前・事業者責任)
栄養機能食品食品表示基準届出不要(規格基準型・成分含量の基準を満たせばOK)
一般食品(健康食品)届出不要(機能性の具体的表示は原則禁止)

準備②:食品衛生責任者を確保する

食品衛生法上の届出対象業種に該当する場合、食品衛生責任者の設置が必要です。

  • 資格要件:①食品衛生責任者養成講習会(1日6時間)修了者、または②調理師・栄養士・製菓衛生師等の有資格者
  • 同一施設に食品衛生管理者が在籍する場合は不要
  • 講習会費用:5,000〜7,000円程度(都道府県食品衛生協会主催)

準備③:HACCPに沿った衛生管理の準備

令和3年6月の食品衛生法改正で、原則すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されました。

  • 小規模事業者は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」(簡易版)でOK
  • 具体的には:温度管理・洗浄消毒の手順書を作成し、記録を残すこと
  • 手順書のひな形は、食品衛生協会等のウェブサイトで無料配布されています

確認ポイント 自社が届出対象外(常温保存の包装食品小売)の場合でも、HACCPに沿った衛生管理は推奨されます。記録を残しておくと、保健所の問い合わせや取引先の監査に対応しやすくなります。

必要書類一覧(食品衛生法 営業届出の場合)

以下は、食品衛生法上の営業届出が必要なケース(冷蔵・冷凍保存が必要な食品の販売等)における主な必要書類です。

個人事業主・法人共通

  • 営業届出書(保健所指定様式 または 厚労省「食品衛生申請等システム」からオンライン提出)
  • 食品衛生責任者の資格証明書(講習修了証 または 国家資格証の写し)
  • HACCP衛生管理計画書(小規模事業者向け簡易版可)

法人の場合は追加で

  • 法人の登記事項証明書(発行から3ヶ月以内)

届出書に記載が必要な事項

  • 届出者(事業者)の氏名・住所
  • 施設の名称・所在地
  • 営業の形態(届出対象業種の種別)
  • 主として取り扱う食品等
  • 食品衛生責任者の氏名

オンライン提出を推奨 厚生労働省の「食品衛生申請等システム(https://ifas.mhlw.go.jp)」を使えば、24時間いつでもオンラインで届出が可能です。窓口に出向く必要がなく、受理証明も電子で取得できます。

食品衛生法営業届出制度の概要ポスター。許可・届出・届出対象外の3分類と対象業種一覧
厚生労働省「営業届出が必要になる場合があります!」告知ポスター。許可・届出・届出対象外の3区分と、届出対象業種一覧を図示(令和3年6月1日施行)出典:厚生労働省

申請書の重要記入ポイント(ミスが多い箇所)

営業届出書の記入では、以下の箇所でミスや不備が発生しやすいです。提出前に必ず確認してください。

①「営業の形態」欄の誤記入 届出対象業種は厚生労働省告示で定められており、自社の業態と最も近い業種を選択します。「包装食品小売業」「冷凍食品小売業」等、業種名が細かく分類されているため、不明な場合は保健所に事前確認を。

②「主として取り扱う食品等」の記載不備 取扱食品は「ビタミンCサプリメント」のような製品名ではなく、「健康食品(カプセル・錠剤)」「栄養補助食品」等の品目分類で記載します。

③食品衛生責任者が変更になった際の届出忘れ 食品衛生責任者が変更になった場合、変更後10日以内に変更届出が必要です。忘れると行政指導の対象となります。

④施設所在地と配送拠点のずれ(EC事業者に多い) ECサイト運営の場合、事務所と倉庫が別所在地になることがあります。届出が必要な「施設」がどこを指すかを、保健所に確認してから記入しましょう。

食品衛生申請等システムの利用方法ガイド。Step1アカウント登録からStep2届出提出の手順
厚生労働省「食品衛生申請等システム」操作ガイド。Step1(事業者情報登録)からStep2(各種申請・届出)までのPC・スマホ両対応の手順とシステム画面を図解出典:厚生労働省

申請の流れ(食品衛生法 営業届出)

STEP 1:届出対象業種の該当確認(目安:1〜2日)

厚生労働省の告示(届出対象業種リスト)と自社業態を照合します。「食品衛生申請等システム」の業種選択画面でも確認できます。不明な場合は所轄保健所に事前相談してください。

STEP 2:食品衛生責任者の確保(目安:数週間〜1ヶ月)

既に有資格者(調理師・栄養士等)がいる場合は即時対応可能です。新たに取得する場合は、都道府県食品衛生協会の養成講習会(1日6時間)に申し込みます。人気の講習会は数週間先まで満員になることもあるため、早めに予約してください。

STEP 3:HACCP衛生管理計画書の作成(目安:1〜3日)

小規模事業者向けの「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に対応した手順書(ひな形)を作成します。食品衛生協会のウェブサイトから業種別ひな形を無料ダウンロードできます。

STEP 4:届出書の作成・提出(目安:1〜2日)

「食品衛生申請等システム(https://ifas.mhlw.go.jp)」にログインして届出書を作成し、オンライン提出します。または所轄保健所窓口への持参・郵送でも可能です。

STEP 5:受理完了(目安:即日〜数日)

オンライン提出の場合、受理証明が電子で発行されます。窓口提出の場合、保健所が内容を確認後に受理通知が届きます。届出は許可制と異なり、施設検査なし・書類審査のみで受理される仕組みです。

費用と審査期間

手続き費用(自己申請)費用(行政書士依頼)審査期間
食品衛生法 営業届出無料2〜5万円即日〜数日
機能性表示食品 届出無料(資料作成費別途)50〜150万円(科学的根拠整備含む)60日以上
特定保健用食品 許可43,000円〜(審査手数料)数百万円〜(臨床試験・申請資料作成)1〜2年以上

食品衛生法の届出だけであれば、手数料は一切かかりません。 コストが発生するのは、食品衛生責任者の養成講習会費(5,000〜7,000円程度)のみです。

機能性表示食品の届出では、届出自体は無料ですが、科学的根拠資料(機能性の根拠論文・安全性評価資料)の整備に多大なコストがかかります。規模の小さい事業者には、栄養機能食品(規格基準型)からスタートする方法が現実的です。

よくある失敗パターン5選

サプリメント販売ビジネスを始める際に多い落とし穴を整理しました。開業前に確認してください。

失敗①:届出不要と思い込んで届出を忘れる(冷蔵製品のケース) 常温保存可能なサプリメントの小売は届出対象外ですが、冷蔵保存が必要なプロバイオティクス(乳酸菌)製品等は届出対象です。「自分の商品は大丈夫だろう」と確認を省略するのが最大の落とし穴です。

失敗②:機能性の表示をして薬機法違反になる 「脂肪燃焼をサポート」「疲れにくい体に」等の表現は、届出なしに食品に表示すると薬機法違反や景品表示法の優良誤認に該当する可能性があります。機能性を表示したい場合は、必ず機能性表示食品の届出を先に行ってください。

失敗③:機能性表示食品の届出を販売直前に行う 機能性表示食品の届出は、消費者庁が受理してから60日間の審査期間があります。販売開始の60日以上前に届出が必要ですが、直前に届出て販売を止めるケースが後を絶ちません。

失敗④:食品衛生責任者が未確保のまま届出を急ぐ 届出書には食品衛生責任者の氏名を記載する必要があります。責任者が決まっていない状態で届出をしようとして提出が遅れるケースがあります。まず責任者を確保してから届出準備に入りましょう。

失敗⑤:OEM製造元の許可確認を怠る 自社ブランドでサプリメントをOEM製造委託する場合、製造委託先が食品製造業の許可を持っているかを必ず確認してください。無許可の製造元に委託した製品を販売すると、販売側も法令違反に問われる可能性があります。

注意 違反事業者に対し、厚生労働省・消費者庁・都道府県は近年監視を強化しています。SNSの誇大広告・未届出での機能性表示は、行政指導のみならず刑事告発に発展したケースもあります。

機能性表示食品として販売する場合の追加手続き

「体脂肪を減らす」「記憶力を維持する」等、特定の保健の目的に資する機能性を表示して販売するには、消費者庁への届出が必要です。

機能性表示食品 届出の流れ

  1. 機能性の根拠資料の整備

    • 研究レビュー(システマティックレビュー)による機能性の科学的根拠の整理
    • 自社で実施した臨床試験(RCT)または研究レビューのいずれか
  2. 安全性評価の実施

    • 食経験の評価、または安全性試験(喫食実績調査・毒性試験等)
  3. 表示パッケージの作成

    • 機能性の表示・栄養成分表示・消費者庁への届出番号の記載
  4. 消費者庁「食品表示企画課」への届出提出

重要 機能性表示食品の届出資料の作成には、食品表示の専門家(登録試験機関・行政書士・食品表示コンサルタント等)のサポートを検討してください。資料不備による差戻しで販売開始が数ヶ月遅れるケースもあります。

費用目安:資料作成・研究レビューを含めて50〜150万円が相場です(製品・成分・根拠文献の状況により大幅に変動)。

2024年9月施行:機能性表示食品制度の重大改正(紅麹問題を受けた義務化)

小林製薬の紅麹サプリによる健康被害問題(2024年3月)を受け、機能性表示食品に関する規制が大幅に強化されました。届出済みの事業者・新規届出を検討している事業者は、以下の変更点を必ず確認してください。

【2024年9月1日施行】健康被害情報の報告義務化

食品表示法・食品衛生法の改正により、機能性表示食品等を販売する事業者に健康被害情報の報告義務が課されました。

重要 機能性表示食品の消費者から健康被害の訴えがあった場合、行政機関(消費者庁・保健所)への報告が義務となりました。報告義務違反には罰則があります(食品表示法違反)。

報告義務の対象:

  • 自社が届出・販売している機能性表示食品に起因すると疑われる健康被害情報
  • 医師の診断書・受診記録など健康被害の可能性を示す情報を入手した場合
  • 報告期限: 情報入手から15日以内(重篤な健康被害は直ちに

【2025年4月1日全面施行】GMP適合性確認の要件化

届出資料の要件に「製造工程管理(GMP)適合性確認」が追加されました。

  • 新規届出(2025年4月以降): GMP認定機関による適合性確認書類が届出資料に必要
  • 既存届出の更新・変更届出時も同様に適用
  • GMP対象となる工程: 原材料の受入から最終製品の出荷まで

注意 GMP適合性確認には認定機関への申請・審査が必要で、取得まで3〜6ヶ月かかることがあります。新規販売を計画している場合、このリードタイムを計画に織り込んでください。

届出資料の追加要件(2025年4月以降)

項目改正前改正後(2025年4月〜)
安全性評価食経験または安全性試験食経験または安全性試験(評価基準の明確化・厳格化)
製造管理任意GMP適合性確認書類が必須
健康被害報告任意(ガイドライン推奨)義務(2024年9月〜)
機能性根拠研究レビューまたはRCT同左(根拠の質の要求水準が上昇)

参考: 消費者庁「機能性表示食品の今後について(2024年8月)」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims)

薬機法・景品表示法の広告規制

サプリメント販売において最も多い法的トラブルが、広告表現の問題です。以下の点を必ず確認してください。

薬機法が禁止する表現(第68条:未承認医薬品等の広告禁止)

NG表現の例(薬機法違反になる可能性が高い)

  • 「○○病・○○症状に効く」
  • 「血糖値を下げる」「血圧を下げる」
  • 「がんの予防になる」「ウイルスを殺菌する」
  • 「医師が認めた」(未承認医薬品との混同)

OK表現の例(一般的な表現として許容されやすい)

  • 「コラーゲンを含む」(成分の事実表示)
  • 「健康的な毎日をサポート」(疾患・症状への言及なし)
  • 栄養機能食品の規定された栄養機能表示(「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける」等)

景品表示法が禁止する表現

  • 根拠なき「No.1表示」:「○○効果No.1」等の最高位表示は、合理的根拠なしに表示すると違反
  • 「お客様の声」の誇大表現:体験談も「個人の感想です。効果を保証するものではありません」の表示が必要

行政措置の実態:消費者庁は毎月のように機能性表示食品・健康食品の広告規制違反で措置命令を発出しています。課徴金は対象商品の売上高の**3%**です。

許可取得後の義務

食品衛生法上の営業届出を行った後も、以下の義務が継続します。

変更届出(変更後10日以内)

以下の事項が変更になった場合、所轄保健所への変更届出が必要です:

  • 食品衛生責任者の変更
  • 施設の所在地・名称の変更
  • 取り扱う食品の種類の大幅変更

廃業届出(廃業後速やかに)

事業を廃止した場合、保健所への廃業届出が必要です。忘れると届出者名簿に残り続けます。

HACCPに沿った衛生管理の継続記録

手順書に従った衛生管理の実施を記録として残してください。保健所の監視・指導時に確認対象となります。

食品衛生責任者の掲示義務

食品衛生法上の届出施設(倉庫・販売所等)では、食品衛生責任者の氏名を施設内に掲示することが義務付けられています。

  • 掲示場所:施設内の見やすい場所(入口付近推奨)
  • 掲示事項:食品衛生責任者の氏名
  • 様式:各都道府県食品衛生協会が販売している「食品衛生責任者プレート(1,000〜2,000円程度)」の利用が一般的

掲示義務の見落としに注意 掲示が確認されない場合、保健所の巡回時に指導対象となります。自社の届出施設に必ず掲示していることを定期的に確認してください。

食品衛生法改正による営業許可・届出制度の見直し概要図。改正前後で業種が再編された経緯を図解
食品衛生法改正による営業許可・届出制度の見直し概要図(厚生労働省)。改正前の「34業種許可制」から改正後の「32業種許可+届出対象業種+届出対象外」への再編フロー出典:厚生労働省

まとめ

サプリメント(健康食品)の販売に必要な届出・規制対応を整理すると、以下のようになります。

【開業前チェックリスト】

  • 自社の商品が届出対象業種か確認した(保健所への事前相談推奨)
  • 機能性の表示をする場合、消費者庁への届出(販売60日前まで)の計画を立てた
  • 広告文・LP・SNS投稿の薬機法・景品表示法チェックを行った
  • 食品衛生責任者を設置した(届出対象の場合)
  • HACCP衛生管理計画書を作成した
  • 届出施設に食品衛生責任者プレートを掲示した

食品衛生法の営業届出は手数料無料・手続きも簡素ですが、機能性表示食品の科学的根拠整備や薬機法広告チェックは専門知識が必要です。特に広告表現の適法性判断は、行政書士や食品表示の専門コンサルタントへの相談が有効です。開業前の法的リスクの洗い出しに投資することで、後の違反・課徴金リスクを大幅に下げることができます。

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最終更新:2025年5月7日

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