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鍼灸・マッサージ施術所の開設届出手順|整体院・鍼灸院の許認可ガイド
この記事でわかること
- 鍼灸院・マッサージ院・整体院の許認可と「施術所開設届」の位置づけ
- 届出が必要なケース・不要なケース(整体師・セラピストとの違い)
- 必要書類の一覧と保健所への提出手順
- 届出費用:無料、審査期間:即日〜1週間
- よくある失敗パターン5選と取得後の掲示義務
鍼灸院・整骨院・整体院の開業届出 比較表
「鍼灸院と整骨院は何が違うの?」「整体院は許可がいらないの?」—3業態の開業手続きを1表で整理します。
| 業態 | 必要な届出 | 必要な免許・資格 | 監督官庁 | 開業費用(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 鍼灸院(はり師・きゅう師) | 施術所開設届(保健所) | はり師・きゅう師国家免許 | 厚生労働省/都道府県 | 15〜100万円(設備整備費、届出は0円) |
| 整骨院・接骨院(柔道整復師) | 施術所開設届(保健所) | 柔道整復師国家免許 | 厚生労働省/都道府県 | 20〜100万円(設備整備費、届出は0円) |
| 整体院(無資格・民間資格) | 届出不要(法的規制なし) | 国家資格不要 | なし(消費者庁が相談受付) | 5〜50万円(届出は0円) |
重要 鍼灸院・整骨院は国家資格が必須で保健所への届出が義務。整体院は資格・届出とも不要ですが、あん摩・マッサージ・指圧の施術行為を「業として」行うと無資格施術違反(あはき法)になる点に注意してください。
この記事では鍼灸院・マッサージ施術所の施術所開設届の手続きを詳しく解説します。整骨院(柔道整復師)の届出は別の制度(柔道整復師法)です。
鍼灸院・整骨院・マッサージ施術所の違いと必要届出の比較
3業態はそれぞれ異なる法律に基づき、必要な資格・届出先・施設基準が異なります。開業前に自分の業態がどれに該当するかを正確に把握することが重要です。
| 業態 | 法的根拠 | 必要資格 | 届出先 | 届出種類 |
|---|---|---|---|---|
| 鍼灸院(鍼・灸) | 鍼師法・きゅう師法 | 鍼師・きゅう師国家資格 | 都道府県知事(保健所経由) | 施術所開設届 |
| 整骨院(柔道整復) | 柔道整復師法 | 柔道整復師国家資格 | 都道府県知事(保健所経由) | 施術所開設届 |
| マッサージ施術所 | あん摩マッサージ指圧師法 | あん摩マッサージ指圧師国家資格 | 都道府県知事(保健所経由) | 施術所開設届 |
重要 上記3業態はいずれも保健所への届出のみで開業可能(許可申請は不要)。ただし「整体院」「リラクゼーションサロン」は医療行為に該当せず無資格で開業できますが、医療行為的な施術は法的に禁止されています。
施設基準の違い
3業態の施設基準は概ね共通ですが、細部で異なります:
- 鍼灸院・マッサージ施術所: 専用の施術室(6.6㎡以上)・待合室・消毒設備が必要
- 整骨院: 施術室(6.6㎡以上)・施術床1床ごとに面積基準・消毒設備・施術台の形状規定あり
- 共通: 施術室は壁・扉で区切られた独立空間が必要(カーテン仕切りは都道府県によって要確認)
複数業態の組み合わせ
同一施術所で鍼灸+マッサージを行う場合は、両方の国家資格を保有するか、資格保有者を雇用する必要があります。届出は「施術所開設届」1枚で複数業態を記載可能。
あん摩マッサージ指圧師の免許取得ルート|養成施設3年→国家試験→免許証交付
あん摩マッサージ指圧師として施術所を開設するには、まず国家免許の取得が不可欠です。免許取得から独立開業に至る一気通貫フローを解説します。
免許取得の全体フロー
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 1. 養成施設入学 | 文部科学大臣認定の専修学校・大学(あん摩マッサージ指圧師養成課程)に入学 | 3年以上 |
| 2. 国家試験受験 | 公益財団法人東洋療法研修試験財団(JCMTE)が実施(毎年2月) | 1日 |
| 3. 合格・免許申請 | 合格証書を受取後、厚生労働大臣宛に免許申請(都道府県経由) | 2〜4週間 |
| 4. 免許証交付 | あん摩マッサージ指圧師免許証が交付される | 合格後1〜2ヶ月 |
| 5. 施術所開設届 | 所轄保健所へ施術所開設届を提出(費用:無料) | 開設後10日以内 |
重要 あん摩マッサージ指圧師の国家免許は厚生労働大臣が交付します(あはき法第2条)。免許証の原本は施術所内への掲示が義務付けられているため、開業前に必ず手元に確保してください。
養成施設(専修学校)の選び方
- 修業年限: 3年以上(昼間・夜間・通信課程あり)
- 認定機関: 文部科学大臣または都道府県知事が認定した専修学校
- 主な学習内容: 解剖学・生理学・病理学・東洋医学概論・実技
- 費用目安: 150〜400万円(3年間の学費合計)
国家試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施機関 | 公益財団法人東洋療法研修試験財団(JCMTE) |
| 試験時期 | 毎年2月(年1回) |
| 試験科目 | 解剖学・生理学・病理学・衛生学・あはき理論・東洋医学概論 等 |
| 合格率 | おおむね70〜80%(年度により変動) |
| 出願方法 | 受験願書をJCMTEへ郵送・窓口提出 |
免許申請の手順(国家試験合格後)
合格通知を受け取ったら、以下の書類を揃えて都道府県窓口(または厚生労働省)へ免許申請を行います。
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 免許申請書 | 都道府県衛生担当課または厚生労働省サイトからダウンロード |
| 合格証書(原本) | JCMTE(国家試験合格者に郵送) |
| 戸籍謄本または抄本 | 市区町村役場(3ヶ月以内のもの) |
| 住民票 | 市区町村役場 |
| 医師の診断書 | 業務に支障がないことを証明するもの |
| 手数料 | 9,000円(収入印紙) |
ポイント 国家試験合格から免許証交付まで通常1〜2ヶ月かかります。開業準備(物件選定・内装工事・保健所への事前相談)は試験合格後すぐに開始し、免許証が手元に届き次第、施術所開設届を提出するスケジュールが効率的です。
あん摩マッサージ指圧師として独立開業する流れ|開業届→施術所開設届→保健所検査
国家資格を取得したあん摩マッサージ指圧師が「独立開業したい」と考えたとき、何から始めればよいかを3ステップで解説します。
(a) 独立に必要な資金目安(自己資金200〜500万円)
マッサージ施術所の独立開業にかかる初期費用は、立地・規模・内装グレードによって大きく変わります。
| 費用項目 | 目安(1人開業・店舗型) |
|---|---|
| 物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料) | 50〜150万円 |
| 内装工事費(施術室・待合室・消毒設備) | 50〜200万円 |
| 設備費(施術ベッド・消毒器・備品) | 20〜50万円 |
| 運転資金(開業後3〜6ヶ月分) | 60〜100万円 |
| 合計目安 | 180〜500万円 |
重要 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、自己資金の3倍程度まで無担保・無保証で借入できる場合があります。資格者の独立開業は審査で有利に評価されるため、早めに相談することを推奨します。
(b) 物件選びの施設基準ポイント
あはき法施行規則が定める施設基準を満たさない物件では、保健所検査で不備指摘を受けます。契約前に以下を必ず確認してください。
| 確認項目 | 基準 |
|---|---|
| 施術室の面積 | 6.6㎡以上(畳4畳分が目安) |
| 施術室と待合室の区切り | 壁または扉で明確に分離(カーテン仕切りは都道府県により不可) |
| 待合室の面積 | 3.3㎡以上 |
| 採光・換気 | 窓・換気設備が必要(密閉された地下室は注意) |
| 消毒設備 | ベッドリネン・施術器具の消毒器が必置 |
ポイント 自宅兼施術所での開業も可能ですが、施術室と居住空間を壁・扉で区切る必要があります。マンションの場合は管理規約で事業利用が禁止されていることがあるため、必ず管理組合に確認してください。
(c) 開業届と施術所開設届の同時提出手順
独立開業時は「開業届(税務署)」と「施術所開設届(保健所)」の2種類の届出をほぼ同時に行う必要があります。混同しやすいため、手続き先と提出タイミングを以下で整理します。
| 届出の種類 | 提出先 | 提出期限 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 施術所開設届(あはき法) | 所轄保健所 | 開設後10日以内 | 無料 |
| 開業届(所得税法) | 所轄税務署 | 開業後1ヶ月以内 | 無料 |
| 青色申告承認申請書 | 所轄税務署 | 開業後2ヶ月以内 | 無料 |
重要 「施術所開設届」は保健所への届出、税務署の「開業届」とは別物です。施術を始める前に保健所へ提出が必要です(遅延すると50万円以下の罰金)。施術所を開設した日から10日以内に保健所へ届出してください。
施術所開設に許可申請は不要:保健所への届出だけで開業できる
鍼灸院・マッサージ院の開業に、県知事などへの許可申請は不要です。あはき法(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)は「保健所への届出」を義務付けているだけで、許可が下りるまで営業できないという制限はありません。
ポイント 施術所開設届は「許可」ではなく「届出」です。届出書類を保健所に提出すれば、受理された日から施術所を開設できます(費用:無料、審査期間:即日〜1週間)。
届出が必要なケース(あはき法第9条の2第1項)
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの国家免許を持ち、施術所を開設する場合に届出義務があります。
| 形態 | 必要な手続き |
|---|---|
| 鍼灸院を開業する(はり師・きゅう師) | 保健所への届出のみ(許可申請不要) |
| マッサージ院・指圧院(あん摩マッサージ指圧師) | 保健所への届出のみ(許可申請不要) |
| 鍼灸+マッサージの複合施術所 | 保健所への届出のみ(各資格分) |
| 訪問鍼灸・訪問マッサージ | 保健所への届出のみ |
| 整骨院・接骨院(柔道整復師) | 別制度(柔整法による施術所開設届) |
届出が不要なケース
- 整体院・リラクゼーションサロン(無資格・民間資格のみ): あはき法上の「施術所」ではないため、本届出は不要。ただし施術行為の種類によっては医業類似行為違反となる場合があります
- 医療機関に所属するセラピスト(理学療法士・作業療法士): 別の資格制度
届出なし・無資格での施術所開設は刑事罰対象
無資格施術(欠格事由)
あはき法が規定する施術行為(鍼・灸・あん摩・マッサージ・指圧)を、免許なく業として行うことは違法です。
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 無資格による施術(あはき法第13条の7) | 50万円以下の罰金 |
| 届出をせず施術所を開設(あはき法第13条の8) | 30万円以下の罰金 |
| 虚偽の届出(あはき法第13条の8) | 30万円以下の罰金 |
重要 整体院・リラクゼーションサロンという名称で開業していても、あん摩・マッサージ・指圧に該当する施術を「業として」行えば無資格施術違反となります(あはき法第1条)。整体院の許認可については後述の「整体院と鍼灸院・マッサージ院の法的違い」セクションを参照してください。
施術所への使用制限・閉鎖命令
都道府県知事は、あはき法に違反した施術所に対して使用制限・使用禁止・閉鎖を命ずることができます(あはき法第11条)。
申請前の準備
1. 国家免許の確認と保管
届出に際して、保有する国家免許の種類を確認します。
- はり師免許: 国家試験合格後、厚生労働大臣が交付
- きゅう師免許: 同上(はり師と別資格)
- あん摩マッサージ指圧師免許: 同上(3師のうち最も古い資格制度)
- 複数保有(3師併施): すべての免許証の写しが必要
注意 免許証の原本は施術所内に掲示義務があります(あはき法施行規則第24条)。紛失の場合は事前に再発行を申請しておきましょう。
2. 施術所の設備要件を整える
あはき法施行規則が定める設備基準を満たした施術所を確保します。
| 設備要件 | 内容 |
|---|---|
| 施術室 | 6.6㎡以上(自治体により異なる場合あり) |
| 待合室 | 独立した待合スペース(施術室と区別) |
| 消毒設備 | 洗い場・消毒器具(鍼灸には滅菌器が必要) |
| 採光・換気 | 十分な自然採光と換気が確保されていること |
3. 所轄保健所への事前相談(推奨)
届出書の様式や添付書類は自治体によって若干異なる場合があります。保健所の衛生担当窓口に事前相談することで、記入ミスや書類不足を防げます。
- 事前相談は予約不要(電話確認を推奨)
- 平面図の描き方・消毒設備の記載方法を確認しておくとスムーズ
必要書類一覧(個人申請)
| 書類 | 取得先 | 備考 |
|---|---|---|
| 施術所開設届(都道府県指定様式) | 保健所窓口・自治体HP | 届出日から施術業の種別・開設者氏名等を記入 |
| 国家免許証の写し | 申請者準備 | はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の各免許 |
| 施術所の平面図 | 申請者作成 | 施術室・待合室・消毒設備の配置を明示(自筆可) |
| 開設者の住民票 | 市区町村 | 3ヶ月以内のもの(自治体により不要な場合あり) |
注意 自治体によって書類の種類・様式が異なります。必ず事前に保健所の衛生担当窓口に確認してください。



必要書類一覧(法人申請の追加書類)
株式会社・合同会社・医療法人等の法人が施術所を開設する場合は、個人申請の書類に加えて以下が必要です。
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 法人登記事項証明書 | 3ヶ月以内のもの |
| 定款の写し | 事業目的に「はり・きゅう」「マッサージ」等の記載が必要 |
| 施術者(管理者)の資格証明書 | 管理者となる有資格者の免許証写し |
施術所の平面図について
個人・法人ともに「施術所の平面図」は必須です。専門家に依頼する必要はなく、手書きで可能ですが、以下の要素を明示してください。
- 施術室の面積(6.6㎡以上が目安)
- 待合室の位置と面積
- 消毒設備(滅菌器・流し場)の位置
- 出入口・窓の位置
届出書の重要項目|記入ミスが起きやすい欄
施術業の種別の記入
届出書には保有する資格の施術業を正確に記載します。
- ❌ 「マッサージ」とだけ書く → 正しくは「あん摩マッサージ指圧」(種別の省略は不可)
- ❌ きゅう師しか持っていないのに「はり・きゅう」と書く → 保有資格の範囲内のみ記載
- ✅ 3師併施の場合は「はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧」と全種別を明記
開設年月日
届出は施術所を開設した日から10日以内に提出します(あはき法第9条の2第1項)。
重要 「10日以内」は届出の提出期限。開設前に提出するのは問題ありませんが、開設後10日を超えると届出義務違反(30万円以下の罰金)となります。
管理者の記載
施術所には管理者を置く義務があります(あはき法第9条の2第4項)。複数の施術者がいる場合、管理者として届出する有資格者を明確にします。
開設届の記入例:施術所の名称・構造設備概要の書き方
保健所の窓口で「どう書けばいいか」と迷いやすい欄を実例とともに解説する。
施術所の名称
法律上の制約はないが、提供サービスが直感的にわかる名称が推奨される。保険適用や患者への説明がしやすくなるためだ。
| 保有資格 | 名称例 |
|---|---|
| はり師・きゅう師 | 「◯◯鍼灸院」「◯◯はり灸院」 |
| あん摩マッサージ指圧師 | 「◯◯マッサージ院」「◯◯あん摩治療院」 |
| 3師(はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧) | 「◯◯鍼灸マッサージ院」「◯◯治療院」 |
注意 「整体院」「カイロプラクティック院」という名称は、あはき法上の届出が不要な業態(無資格でも開業可)を指す。あはき法の有資格者が開業する施術所の名称に「整体院」と付けると、業態の混同を招く可能性があるため避けたほうが無難。
構造設備概要の記入
施術所の構造設備概要は、保健所の様式に「各室の用途・面積・設備」を記載する欄がある。以下は記入例だ。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 施術室 | 第1施術室 9.9㎡(施術台2台・ベッド2台・施術灯1台) |
| 待合室 | 6.6㎡(椅子4席・空気清浄機1台) |
| 消毒設備 | 施術室内に高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)1台・石鹸液・流水設備 |
| 換気設備 | 施術室:換気扇1台・窓1ヶ所(床面積の1/7以上の換気口面積を確保) |
平面図の書き方(手書きでOK)
保健所に提出する平面図は手書きで可だが、縮尺(1/50や1/100)を明記すること。必ず含める要素:
- 各部屋の名称(施術室・待合室・トイレ・収納等)
- 各部屋の寸法・面積(㎡で記載)
- 消毒設備の位置(施術室内)
- 出入口と窓の位置(換気の確認に使う)
- 施術台・ベッドの配置
ポイント 平面図は保健所が「設備基準を満たしているか」を確認する最重要書類。丁寧に書いて提出することで、検査当日の指摘事項を最小化できる。
保健所の実地検査で指摘されやすい3ポイント
施術所開設届を提出した後、保健所による**実地検査(立入検査)**が行われる。多くの場合は届出書類の確認と現地の確認で完了するが、以下の3点は指摘されやすいポイントだ。
ポイント①:待合室と施術室の区画が不十分
あはき法施行規則は「施術室と待合室を区画すること」を義務付けている。「カーテン1枚で仕切っているだけ」「パーテーションで半分に分けているだけ」は区画として認められない都道府県が多い。
重要 施術室と待合室の区画は壁(石膏ボード等の固定壁)または扉で行う必要がある。「カーテンで区画している」という申請内容で検査後に是正を求められた事例がある。内装工事前に保健所に確認しておくと安心。
ポイント②:換気設備の面積・風量が基準未満
あはき法施行規則では「施術室内の換気設備」が義務付けられており、都道府県の衛生基準では換気口の有効面積が床面積の1/10以上(または1/7以上)を求める条例が多い。
検査で指摘されやすいのは:
- 施術室の窓が小さく、換気口の有効面積が足りない
- 換気扇は設置しているが、換気口のサイズ記載が平面図にない
- 地下や内側の部屋で自然換気が見込めない
換気基準は都道府県条例で異なるため、内装設計段階で所轄保健所に確認してから工事に着手することを強く勧める。
ポイント③:消毒設備が施術室内に設置されていない
あはき法施行規則は「施術室に消毒設備(煮沸器その他の消毒器具)と清潔な流水を得られる設備を置くこと」を義務付けている。消毒設備は施術室内に置かなければならず、廊下や別室にあっても基準を満たさない。
設備の例(いずれかを施術室内に設置):
- 高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ): 業務用が理想だが家庭用の大型鍋での煮沸消毒も可能
- 紫外線消毒器: 一部の都道府県では認められる
- 洗面台(流し): 施術室内に設置するか、施術室から直結でアクセスできること
ポイント 検査前日に消毒設備・換気設備・区画の3点を再確認しておくと、当日の是正指摘を防げる。是正を求められた場合でも、軽微なものは数日以内の再検査で対応可能なケースが多い。
施術所の構造設備基準チェックリスト|保健所検査で確認される全項目
保健所への施術所開設届を提出すると、立入検査員が設備基準を確認します。以下のチェックリストを使って、開設前に全項目をクリアしておきましょう。
施術室の面積・区画
| チェック項目 | 基準 | 確認方法 |
|---|---|---|
| ✅ 施術室の面積 | 6.6㎡以上(畳4畳分相当) | 実測または建物図面で確認 |
| ✅ 施術室と待合室の区画 | 壁または固定扉で明確に分離 | カーテン・可動パーテーションは不可(都道府県による) |
| ✅ 待合室の面積 | 3.3㎡以上(自治体により異なる) | 実測で確認 |
重要 施術室の「6.6㎡以上」は純粋な施術スペースの面積です。受付カウンターや収納スペースは含まれません。実測時は施術ベッドを置いた状態で残り面積を確認してください。
換気・採光設備
| チェック項目 | 基準 |
|---|---|
| ✅ 換気設備(換気口) | 換気口の有効面積が施術室床面積の1/10以上(都道府県条例による) |
| ✅ 自然採光または照明 | 施術に支障のない明るさを確保 |
| ✅ 換気扇の設置 | 窓だけでは換気不足な場合は換気扇が必須 |
消毒・衛生設備
| チェック項目 | 鍼灸 | マッサージ |
|---|---|---|
| ✅ 滅菌器(オートクレーブ) | 必須(使い捨て鍼の場合は不要な自治体もあり) | 推奨 |
| ✅ 煮沸消毒器 | 必須(代替可) | 必要 |
| ✅ 流水設備(手洗い場) | 必須(施術室から直結アクセス可) | 必須 |
| ✅ リネン類の消毒設備 | 必須(施術ベッドカバー・タオル用) | 必須 |
ポイント 「使い捨て鍼のみ使用」と届出に明記すれば、オートクレーブが不要な自治体もあります。内装工事着工前に保健所に確認してください。
掲示義務(検査時に合わせて確認)
| 掲示物 | 掲示場所 |
|---|---|
| ✅ 施術者の氏名・国家免許番号 | 患者から見える場所 |
| ✅ 国家免許証の原本 | 施術所内に常時掲示(あはき法施行規則第24条) |
| ✅ 料金表(施術料金・出張料金) | 受付または待合室 |
検査前セルフチェックの手順
- 施術室・待合室の面積を実測し、6.6㎡・3.3㎡をクリアしているか確認
- 施術室と待合室の間が壁または固定扉で区切られているか確認
- 換気口のサイズを記録(保健所提出の平面図に記載が必要)
- 滅菌器・手洗い場が施術室内(または隣接)に設置されているか確認
- 免許証・料金表を掲示できる状態で準備
施術所開設届の提出フロー(STEP1〜5)
STEP 1:国家免許の確認と施術所の整備(開設前)
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の国家免許を確認し、設備基準を満たした施術所を準備します。
STEP 2:届出書類の準備(開設前〜開設直後)
所轄保健所の窓口またはホームページから「施術所開設届」の様式を入手。平面図を自作し、免許証の写しを準備します。目安:1〜3日
STEP 3:保健所への届出提出(開設後10日以内)
必要書類を揃えて所轄保健所の衛生担当窓口に提出します。窓口持参が原則(郵送可否は自治体による)。費用:無料、所要時間:30分〜1時間
STEP 4:保健所による受理・検査(即日〜1週間)
届出内容の確認後、必要に応じて施術所の立入検査が実施されます。設備基準を満たしていれば即日〜1週間で完了。
STEP 5:健康保険適用の登録(任意・健康保険適用施術を行う場合)
医師の同意書付きで健康保険を適用する場合は、地方厚生局へ「施術所の指定」申請が必要です(保険診療とは別の手続き)。
あん摩マッサージ指圧師が独立開業するまでの5ステップ
「あん摩マッサージ指圧師として独立したい」「開業に必要なことを全体像で知りたい」という方向けに、資金調達から集客開始までの5ステップを解説します。
ステップ1:開業資金の確保(目安:150〜300万円)
施術所の開業には物件取得・内装・設備で大きな初期費用がかかります。日本政策金融公庫の「創業融資」は無担保・低金利で利用しやすく、資格者の独立開業に活用例が多い選択肢です。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 物件取得費(保証金・礼金等) | 50〜100万円 |
| 内装工事費(施術室・待合室整備) | 50〜150万円 |
| 設備費(ベッド・滅菌器・消毒設備) | 20〜50万円 |
| 運転資金(開業後3ヶ月分) | 30〜60万円 |
ステップ2:物件・設備の確保(開設届提出の前提)
あはき法施行規則が定める設備基準(施術室6.6㎡以上・消毒設備・待合室)を満たす物件を選定します。自宅開業も可能ですが、施術室と生活空間を壁・扉で区切ることが必要です。
ステップ3:保健所への施術所開設届(開設後10日以内)
国家免許証の写し・施術所の平面図・住民票を揃えて所轄保健所へ届出を提出。費用は無料、受理後即日から施術を開始できます。
重要 施術所開設届は「許可」ではなく「届出」です。書類提出のその日から施術業を営むことができます。
ステップ4:保険請求・集客の準備(任意・推奨)
健康保険適用施術を行う場合は、地方厚生局への受領委任登録(開設届とは別手続き)が必要です。集客には、Googleビジネスプロフィール登録・訪問施術の連携先医師の確保を先行して進めます。
ステップ5:税務・社会保険の手続き(開業届・青色申告申請)
個人事業として開業する場合は、開業後1ヶ月以内に税務署へ開業届を提出します。青色申告承認申請書も同時に出すと最大65万円の特別控除が受けられます。スタッフを雇用する場合は労働保険・社会保険の加入手続きも必要です。
費用と審査期間のまとめ
| 項目 | 自分で手続き | 行政書士に依頼 |
|---|---|---|
| 申請費用 | 無料 | 29,800円〜 |
| 所要時間 | 即日〜1週間 | 1〜5日(代行提出) |
| 書類作成 | 自分で記入(様式はシンプル) | 行政書士が作成 |
| 施術開始 | 届出提出後、受理が確認でき次第 | 同左 |
届出費用(行政手数料)は無料。施術所開設届はあくまで届出であり、免許のような「審査による許可」ではありません。
重要 施術所開設届の提出と同時に、消防署への「防火対象物使用開始届」が必要な場合があります(延べ面積150㎡以上または3階以上のビル)。物件が対象かどうかは所轄消防署に確認してください。
鍼灸院・マッサージ院の開業費用の目安|テナント費用・設備投資・運転資金
「鍼灸院を開業するといくらかかる?」という質問に、費用項目ごとに具体的な目安を示します。開業形態によって初期費用は大きく異なります。
開業形態別の初期費用目安
| 開業形態 | 初期費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| テナント(新規内装) | 200〜500万円 | 好立地に開業可能。内装・設備コストが高い |
| テナント(居抜き) | 100〜300万円 | 前テナントの設備・内装を流用。工事費を圧縮 |
| 自宅開業 | 50〜150万円 | テナント費不要。施術室と生活空間の区画工事が必要 |
| 出張専門(訪問鍼灸・訪問マッサージ) | 30〜80万円 | 施術所不要(事務所のみ)。往診バッグ・交通費が主コスト |
テナント開業の費用明細(1人開業・20〜30㎡の標準的な施術所)
| 費用項目 | 目安 | 内訳 |
|---|---|---|
| 物件取得費 | 50〜150万円 | 保証金(家賃6〜12ヶ月分)・礼金・仲介手数料 |
| 内装工事費 | 50〜200万円 | 施術室の壁工事・待合室・手洗い場設置・換気設備 |
| 設備費(鍼灸) | 20〜60万円 | 施術台(1台3〜20万円)・オートクレーブ(5〜30万円)・施術灯 |
| 設備費(マッサージ) | 15〜40万円 | 施術ベッド・リネン・消毒器具 |
| 電子カルテ・予約システム | 0〜30万円 | 月額クラウド型(無料〜1万円/月)または買い切り型 |
| 運転資金(3〜6ヶ月分) | 60〜120万円 | 家賃・光熱費・消耗品の3〜6ヶ月分 |
| 合計目安 | 195〜600万円 | — |
重要 物件取得費のうち「礼金・仲介手数料」は原則返還されません。初期費用の見積もりでは「返還されない費用」だけで50〜80万円かかる点を考慮してください。
融資・補助金の活用
| 融資・補助金 | 特徴 | 上限目安 |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫 新創業融資制度 | 無担保・無保証で融資。国家資格者の開業は審査有利 | 3,000万円 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 広告・HP制作・設備購入費に活用可。年2〜4回公募 | 50〜200万円 |
| 各都道府県の創業支援融資 | 利子補給・信用保証料補助あり | 都道府県により異なる |
ポイント 日本政策金融公庫への融資申請は、内装工事着工前に相談するのがベスト。自己資金100万円以上を目安に準備しておくと審査に通りやすくなります。
月次ランニングコストの目安
| 費用項目 | 月額目安 |
|---|---|
| テナント家賃 | 8〜20万円(立地・規模による) |
| 光熱費 | 1〜3万円 |
| 消耗品(鍼・リネン等) | 1〜3万円 |
| 予約システム・レセプト | 0〜1万円 |
| 賠償責任保険料 | 5,000〜1万円 |
| 月次合計目安 | 10〜28万円(1人開業・テナント型) |
鍼灸院の開業費用の内訳|機器・設備・内装の実費と自己資金目安
「鍼灸院の開業にはいくらかかるか」という問いに、項目ごとの実費を示します。開業形態(テナント新規・居抜き・自宅)によって初期費用は大きく変わります。
鍼灸院に特有の設備費
鍼灸院はマッサージ院と比べて滅菌・消毒設備への投資が必須です。これが開業費用に占める割合は小さくありません。
| 設備 | 目安費用 | 必要性 |
|---|---|---|
| 施術台(治療ベッド)1台 | 3〜20万円 | 必須 |
| 高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ) | 5〜30万円 | 鍼灸院は必須(使い捨て鍼のみなら不要な自治体も) |
| 施術灯(照明)1台 | 1〜5万円 | 推奨 |
| 鍼(ディスポーザブル)1年分 | 3〜10万円 | 必須(消耗品) |
| 艾(もぐさ)・灸道具 | 1〜3万円 | きゅう師の施術がある場合 |
| 電子カルテ・予約システム | 0〜3万円/月 | 推奨(月額クラウド型) |
重要 「使い捨て鍼のみ使用」と届出に明記すればオートクレーブが不要な自治体があります。鍼灸院の開業費用を最小化したい場合は、まず所轄保健所に確認してください。
開業形態別の初期費用比較(鍼灸院)
| 開業形態 | 初期費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| テナント(新規内装) | 200〜500万円 | 好立地に開業。内装・設備費が高い |
| テナント(居抜き) | 100〜300万円 | 前テナントの内装を流用。工事費を圧縮 |
| 自宅開業 | 50〜150万円 | テナント費不要。施術室と居住空間の区画工事が必要 |
| 出張専門(訪問鍼灸) | 30〜80万円 | 施術所不要。往診バッグ・交通費が主コスト |
ポイント 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、国家資格者(はり師・きゅう師)の独立開業に活用されることが多い融資制度です。自己資金50〜100万円以上を準備したうえで開業前に相談すると審査に通りやすくなります。
月次ランニングコスト(鍼灸院・1人開業の目安)
| 費用項目 | 月額目安 |
|---|---|
| テナント家賃 | 8〜20万円 |
| 光熱費 | 1〜2万円 |
| 消耗品(鍼・もぐさ・リネン) | 1〜3万円 |
| 賠償責任保険 | 5,000〜1万円 |
| 予約システム | 0〜1万円 |
| 合計目安 | 10〜27万円(1人開業・テナント型) |
健康保険適用施術の手続き
あはき施術は条件付きで健康保険が適用されます。保険適用施術を行う場合は、施術所開設届とは別に地方厚生局への登録が必要です。
健康保険適用の対象
| 施術種別 | 対象疾患(医師の同意書が必要) |
|---|---|
| 鍼灸(はり・きゅう) | 神経痛・リウマチ・五十肩・頸腕症候群・腰痛症・頸椎捻挫後遺症の6疾患 |
| マッサージ(あん摩) | 医療上必要な場合の機能訓練(筋麻痺・関節拘縮等) |
保険適用外: 慢性的な疲労回復・肩こり・美容目的・健康維持を目的とした施術
登録先
地方厚生局(各都道府県の厚生局事務所)への届出が必要。登録後は、患者から医師の同意書を取得のうえ保険請求できます。
注意 受領委任払いを採用する場合は、都道府県との別途契約が必要です。
よくある失敗パターン5選
失敗1:開設後10日を超えて届出を忘れる
「施術所開設届は後回しでいい」と思い込み、開設から1ヶ月後に届出るケースが多い。開設後10日を超えると届出義務違反(30万円以下の罰金)となります。開設日に届出書の準備を始めましょう。
失敗2:消毒設備が基準を満たしていない状態で開設
鍼灸には滅菌器(オートクレーブ)が必要ですが、購入が間に合わないまま開設するケースがあります。保健所の立入検査で指摘されると是正指導・最悪は使用制限命令が出ます。
失敗3:訪問施術専門だから届出不要と思い込む
「自宅に施術所はないから関係ない」と誤解するケースがあります。訪問鍼灸・訪問マッサージを行う場合も施術所(事務所等)の届出が必要です。さらに「出張施術業務開始届」も別途提出が必要です。
失敗4:健康保険適用のための地方厚生局届出を忘れる
施術所開設届を提出しただけでは保険請求できません。地方厚生局への登録が別途必要です。患者から「保険が使えない」とクレームが来てから気づくケースが多い。
失敗5:保有資格より広い施術業の種別を届出に記載する
きゅう師の資格しかないのに「はり・きゅう」と記載したり、あん摩マッサージ指圧師でないのに「マッサージ」と記載するミス。保有資格の範囲内のみを届出に記載してください。
訪問マッサージ・訪問鍼灸を行う場合の特殊ケース
高齢化社会の進展により、在宅療養患者への訪問鍼灸・訪問マッサージの需要が高まっています。訪問専門で開業する場合の手続きを整理します。
必要な手続き(訪問施術の場合)
- 施術所開設届(あはき法第9条の2): 事務所や自宅を「施術所」として届出
- 出張施術業務開始届(あはき法施行規則第20条): 訪問施術を開始する旨を追加届出
- 健康保険適用登録(地方厚生局): 医師同意書付きで保険請求する場合
注意 訪問施術では、患者の自宅で施術するため「患者の自宅 = 施術所」にはなりません。必ず事務所・自宅等を「施術所」として届出が必要です。
自宅の一室で鍼灸院を開業する場合の注意点
「資金を抑えて自宅の一室で鍼灸院を開業したい」という方は少なくありません。自宅開業は可能ですが、テナント開業と異なる制限と確認事項があります。
自宅開業の3つのメリット
- テナント費用が不要: 保証金・礼金・月額家賃をゼロにできる(初期費用を100〜200万円以上削減可能)
- 通勤が不要: 開業直後の収益が安定するまでの生活費リスクを軽減できる
- 施設基準さえ整えれば保健所への届出は同じ: テナント開業と届出手続きに差はない
重要 自宅開業でも、保健所への「施術所開設届」は必須です。届出なしで自宅で施術業を行うと届出義務違反(30万円以下の罰金)となります。
保健所が確認する設備基準(自宅開業の場合)
自宅の一室を施術所にする場合でも、あはき法施行規則の設備基準を満たす必要があります。
| 確認項目 | 基準 | 自宅特有の注意点 |
|---|---|---|
| 施術室の面積 | 6.6㎡以上 | リビングや寝室の一角では面積が不足することが多い |
| 施術室と居住空間の区画 | 壁または固定扉で明確に分離 | カーテン仕切りは不可。間仕切り壁の設置工事が必要になる場合も |
| 待合スペース | 3.3㎡以上(都道府県による) | 玄関ホールで代用できる場合もある。事前確認必須 |
| 消毒設備 | 施術室内に消毒器・手洗い場 | 流し(洗面台)の設置工事が必要なことが多い |
| 換気設備 | 換気口の有効面積(床面積の1/10以上) | 外壁に窓がない部屋は換気扇設置工事が必要 |
ポイント 「LDKの一角をカーテンで仕切って施術所にしたい」という計画は、多くの都道府県で施設基準を満たせません。間仕切り壁の設置工事(15〜50万円が目安)が必要になるケースが多いため、保健所に平面図を持参して工事前に相談することを強く推奨します。
マンション・アパートでの自宅開業の注意点
マンション・アパートで自宅開業する場合、建物の管理規約に事業利用の制限があることが多くあります。
| 確認事項 | 確認先 | リスク |
|---|---|---|
| 管理規約での事業利用禁止の有無 | 管理組合・管理会社 | 開業後に退去を求められるリスクあり |
| 看板・表札の設置可否 | 管理組合 | 集客に影響する可能性がある |
| 来客(患者)の出入りの可否 | 管理組合・賃貸の場合は大家 | 事前確認なしで開業するとトラブルに発展することがある |
| 住居専用地域かどうか(用途地域) | 市区町村の都市計画課 | 第一種低層住居専用地域では事業所の設置が制限される場合がある |
重要 分譲マンションの場合でも、管理規約で住居専用と定められていれば施術所として利用できません。賃貸の場合は賃貸借契約書の「使用目的」欄も確認してください。「住居用」とのみ記載されている場合は大家の許可が必要です。
自宅開業の工事費目安と段取り
- 保健所へ事前相談(図面持参): 自宅の間取り図を持参し、区画方法・設備基準を確認
- 管理組合・大家への確認: 事業利用・看板設置・患者来客の可否を書面で確認
- 間仕切り工事・内装工事: 区画壁・流し(手洗い場)・換気設備の設置(目安: 15〜100万円)
- 設備の設置: 施術台・滅菌器の搬入(目安: 20〜50万円)
- 施術所開設届の提出: 完成後に保健所へ届出(費用: 無料)
整体院の許認可と鍼灸院・マッサージ院の法的違い
「整体院を開業したいが、整体院の許認可は何が必要か」という疑問は多く寄せられます。整体院の法的位置づけと、鍼灸院・マッサージ院との違いを整理します。
整体院に必要な「許認可」
整体師・整体院には国家資格制度がなく、「整体」という名称を使って開業するだけなら特別な許認可は不要です。
| 施術者の資格 | 施術所の許認可 |
|---|---|
| 整体師(民間資格のみ) | 整体院の開設に特定の許認可なし(許認可不要) |
| はり師・きゅう師の国家免許保有 | あはき法の施術所開設届が必要 |
| あん摩マッサージ指圧師の国家免許保有 | あはき法の施術所開設届が必要 |
| 柔道整復師の国家免許保有 | 柔整法の施術所開設届が必要 |
重要 整体院という名称でも、あん摩・マッサージ・指圧・鍼・灸に該当する施術を「業として」行えば、あはき法上の無資格施術(50万円以下の罰金)となります。民間の「整体師」資格だけでは、これらの施術を業として行うことはできません。
整体院の整体 許認可チェックリスト
- 施術内容は、あん摩・マッサージ・指圧・鍼・灸に該当しないか確認
- 国家資格(はり師等)を保有する場合は施術所開設届を提出
- 「整体師」「カイロプラクター」等の民間資格のみの場合は、届出不要だが施術範囲に注意
施術所の開設届 vs 整体院の開業届|手続き比較表
「鍼灸院と整体院の手続きは何が違うのか」は最も多い問い合わせの一つです。制度的な違いを一表でまとめました。
| 比較項目 | 鍼灸院・マッサージ院(あはき法) | 整体院(資格・法律なし) |
|---|---|---|
| 必要な届出 | 保健所への施術所開設届(義務) | 届出不要(特定の法律なし) |
| 必要な国家資格 | はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師のいずれか | 不要(民間資格のみで開業可) |
| 提出先 | 所轄保健所(都道府県経由) | なし |
| 費用 | 無料 | なし |
| 届出のタイミング | 開設後10日以内(遅延は罰金) | なし |
| 健康保険の適用 | 条件付きで可(医師の同意書が必要) | 不可 |
| 罰則(無資格施術) | 50万円以下の罰金(あはき法13条の7) | 施術の種類によりあはき法違反 |
重要 「整体院」という屋号を使って開業していても、あん摩・マッサージ・指圧に該当する施術を「業として」行えばあはき法上の無資格施術となります。整体院開業で「マッサージ」という言葉を使う際は施術内容の法的整理が必要です。
よくある誤解:整体師が鍼灸院に転向する場合
民間の「整体師」資格から、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師として開業し直す場合は、国家資格の取得(専門学校3〜4年+国家試験)が前提となります。資格取得後に改めて施術所開設届を提出することになります。
整体院・カイロプラクティック院として開業される方へ
許可取得後の義務(変更届・廃業届・掲示義務)
施術所開設届を提出した後も、法令上の義務が継続します。
変更届
以下の事項に変更が生じた場合は、変更後10日以内に保健所へ変更届を提出します(あはき法第9条の2第3項)。
- 施術所の名称・所在地
- 開設者の氏名・住所
- 施術者の追加・変更
- 施術の種別の変更
廃業届
施術所を廃業する場合は、廃業後10日以内に保健所へ廃業届を提出します。
掲示義務(あはき法施行規則第24条)
施術所内には以下を掲示することが義務づけられています。
| 掲示内容 | 根拠 |
|---|---|
| 施術者の氏名・国家免許番号 | あはき法施行規則第24条 |
| 施術の種類(はり・きゅう・あん摩等) | 同上 |
| 料金表(施術料金・出張料金等) | 同上 |
| 国家免許証の原本 | 患者が閲覧できる場所に掲示 |
重要 掲示義務違反は行政指導の対象となります。施術所の見やすい場所に、施術者の氏名・免許番号・料金表を常時掲示してください。
鍼灸院の開業費用|物件から施術設備まで初期投資の全体像
鍼灸院の開業には以下の費用を見込む必要があります。
| 費用項目 | 目安額 |
|---|---|
| 物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料) | 50〜150万円 |
| 内装工事費(施術台・流し台・消毒設備等) | 30〜80万円 |
| 施術設備(鍼治療器・灸具・施術ベッド等) | 20〜50万円 |
| 広告費(ホームページ制作・看板・SNS初期費用) | 10〜30万円 |
| 開業届・施術所開設届の手数料 | 0円 |
| 初期合計(目安) | 110〜310万円 |
重要 施術所の開設届自体は無料ですが、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の**国家資格取得(専門学校3年分の学費200〜300万円)**は開業費用には含まれていません。資格がない場合は取得が必須です。
さらに運転資金(家賃・光熱費・材料費の3〜6ヶ月分)として50〜150万円を別途確保することが推奨されます。特に鍼灸院は開業から患者が定着するまで3〜6ヶ月かかるケースが多く、運転資金の準備不足が閉業の主因の一つです。
療養費受領委任制度への申請手順|保険診療を取り扱うための手続き
鍼灸院で健康保険・国民健康保険を取り扱うためには、地方厚生局への受領委任の取扱いに係る申出が必要です。
STEP 1: 施術管理者の資格要件を確認する
- 施術管理者は以下の要件を満たすことが必要
- はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格者
- 実務経験1年以上(令和2年4月改正で追加)
- 施術管理者研修の受講修了(厚生労働大臣指定の研修機関で受講)
STEP 2: 地方厚生局に申出書類を提出する
- 提出先: 施術所の所在地を管轄する地方厚生局(例: 関東信越厚生局・近畿厚生局等)
- 主な提出書類: 受領委任の取扱いに係る申出書、施術所開設届のコピー、施術管理者研修修了証、免許証のコピー
- 申出から受理まで: 2〜3ヶ月(書類確認・審査あり)
STEP 3: 保険者(健保組合・市区町村)と個別確認する
- 承認後は保険診療の請求ができる施術所として登録される
- 患者の保険証を確認し、毎月請求書を地方厚生局経由で提出
重要 受領委任制度を通じて保険診療を行うには「施術管理者研修」の受講が必須です。未受講の施術管理者名義での申出は受理されません。研修の予約・受講には数ヶ月待つケースがあるため、開業計画の早期に手配することを推奨します。
まとめ
鍼灸院・マッサージ院・指圧院を開設する場合は、開設後10日以内に所轄保健所へ「施術所開設届」を提出します。費用は無料で、設備基準を満たしていれば即日〜1週間で完了します。
整体院の開業における許認可については、「整体師」という民間資格のみであれば特定の許認可は不要ですが、施術内容によっては無資格施術(あはき法違反)となるリスクがあります。国家資格(はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師)を保有する場合は、必ず施術所開設届を提出してください。
書類準備に不安がある場合や、健康保険適用・法人設立と同時進行で手続きが複雑な場合は、行政書士への相談をご検討ください。 初回相談を無料で受け付けている事務所が多く、スムーズな開業をサポートします。
施術系・フィットネス業態との許認可比較ガイド
同じく保健所への届出が必要な美容系施術所
建設業・廃棄物・雇用の申請ガイド
開業届・個人事業の申請ガイド
施術所の内装・設備工事に関連する許認可
保健所届出が必要な施術・美容系の開業ガイド
医療・福祉・ケア系の指定申請ガイド
許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2026年4月28日
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